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速攻レースインプレッション

一直線の末脚で大混戦を抜け出す、今度はG1でも!?

文/浅田知広


今年からG2へと昇格した富士S。マイルCSへ向けた一戦として長く定着しているが、重賞昇格当初はスプリンターズS(当時12月)のステップレースで、これよりさらに前にはジャパンCに招待された外国馬の「叩き台」として東京芝1800mのオープン特別として行われていた。

このレース一番の思い出といえば、そんなオープン特別時代・1987年の外国招待馬トリプティクだろうか。当時、競馬に足を突っ込みかけたくらいの当方「ジャパンCの参考VTR」としてあとから見た程度だったが、それでも4コーナー最後方から一瞬のうちに先頭に立った脚は衝撃的だった。

今になれば、4コーナー最内を距離損なく回って云々と言えなくもない。しかし、当時のファン「超一流馬の力をまざまざと見せつけられた」という雰囲気は感じ取れるはず。ご覧になったことがない方はぜひ映像を探してみてほしい。

さて、G2になった今年の富士S。まず登録馬を見た段階から上位拮抗、1番人気は「ラウダシオンか、いやそれとも……」と人気順の予想すら難しかったが、ふたをあければ1番人気が5.0倍で、5番人気でも僅差の6.2倍。加えて3~5番人気がその6.2倍横並びの票数差という、なかなか目にすることもないような大混戦である。さらに10倍台前半にも4頭と、多くの馬にチャンスがありそうな一戦となった。

ただ、レースの大枠としては3歳勢VS古馬勢スマイルカナ(2番人気)やラウダシオン(3番人気)をはじめとする3歳馬5頭と、サトノアーサー(1番人気)など古馬勢の激突がひとつ見どころだったと言えるだろうか。

好ダッシュを決めたスマイルカナがすんなり先手を取るのか、というスタート直後の態勢だったが、しばらく行ったところで外からシーズンズギフトが競りかける形になり、3歳牝馬2頭が後続を引き離して3コーナーへ。3番手にはやはり3歳のラウダシオンがつけ、中団にタイセイビジョン(3歳)やヴァンドギャルド(4歳)。1番人気のサトノアーサー(6歳)は後方からになり、全体を見渡せばおおむね3歳馬が前、古馬が後ろという展開になった。

前半の600m通過は33秒8、800mは45秒4のハイペース。4コーナーでは内を回ったスマイルカナが先頭を奪い返して直線に向かったが、この展開では長い府中の直線を粘りきれるほどのスタミナは残されていなかった。

脚があがったこの2頭を目標に、後続が殺到して残り400mを通過。3番手からほぼ持ったきりの手応えでまず前を捕らえにかかったのがラウダシオンで、さすがG1馬、という力を見せるかと思われた。しかし、あともう少しで先頭に立とうかというところから、内へ外へとふらついてしまったのだ。

ここに外から襲いかかったのがヴァンドギャルドだった。ふらついたラウダシオンも決して止まってはいなかったが、ヴァンドギャルドは大外から一直線。横からの映像では一直線に見えても、パトロールビデオを見れば……、というケースも多いものだが、こちらは前からの映像でも残り400mあたりから見事なまでの一直線だ。重賞未勝利馬で格こそ下でも「まだまだ若いなお前」と言わんばかり、経験を積んだ古馬らしい走りでの差し切り勝ちとなった。

そのヴァンドギャルドは2走前のマイラーズCでは先行2頭が①②着を占める中、ほぼ最後方から③着に食い込んだが、2歳時のホープフルS⑥着以来のG1出走となった安田記念では、不利もあったとはいえ⑩着敗退。同じ東京芝1600mで仕切り直しとなった一戦を見事に勝利で飾り、今年は阪神芝1600mで行われるマイルCSへと向かうことになる。過去2勝を挙げているコースだけに、コース替わりに不安ナシ。今回の走りを見れば、さらなる強敵相手になっても安田記念とは違う結果を期待できるだろう。

一方、②着に敗れたラウダシオンも、NHKマイルC(9番人気)の勝利がフロックではないことは十分に証明してみせた。M.デムーロ騎手によれば、ラチを頼った方が良い馬とのこと。枠順や他の先行勢との兼ね合いもあるが、内から抜け出すような形を取れれば、今度はまっすぐ走って2つ目のG1タイトルを手にするチャンスも大いにありそうだ。


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