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速攻レースインプレッション

結果としてはクリンチャー1強だったと言いたくなる圧勝劇

文/浅田知広、写真/森鷹史


2010年に創設され、トランセンドやエスポワールシチーという名馬も勝利を飾ってきたみやこS。毎年のように多頭数で行われてきたレースだが、今年はわずか10頭となった。

一瞬「なんで?」と思ったが、どうやら先週行われた福島民友C(オープン・福島ダート1700m)の影響と思われる。このレースがダート戦になったのは2015年以降。その2015年はみやこSの前週だったが、2016~19年はみやこSの翌々週に移動し、今年は(福島開催が来週までのためか)前週に戻ってきた。

その結果、みやこSの出走頭数も「福島民友Cが前週」だった2015年と同様の少頭数になった、という流れである。番組作りもいろいろ大変なところはあるだろうが、来年はまた違う順番・間隔になりそうな印象も受ける。

さてその10頭。1番人気はクリンチャーで単勝3.4倍、2番人気のベストタッチダウンが3.6倍、そして3番人気のエアアルマスでも3.9倍と、上位3頭は大混戦。この3頭はいずれも「芝からダートへ」「芝に戻らず」「ダート5戦以上で掲示板外0~1回」という共通点を持っていた。

1番人気のクリンチャーは菊花賞②着の実績馬だが、6走前の仁川Sからダートに転じて[0.4.1.1]。前走の太秦Sでははじめて馬券圏外の④着に敗退したが、叩き良化型で斤量1キロ減になる今回は巻き返しが期待される。

続く2番人気のベストタッチダウンは芝で5戦1勝止まりも、ダートでは条件戦3連勝を含む[4.1.1.1]。2走前のアンタレスSはスタートで躓き脚をひねったこともあり⑭着に敗れたものの、前走・太秦Sを逃げ切って大きく巻き返した。

そして3番人気のエアアルマスは芝でも伸びしろがありそうだったが、ダートに転じて[4.0.0.1]。2走前の武蔵野Sは内枠で揉まれて⑪着大敗を喫するも、前走の東海S(1月)で重賞初制覇。今回はそれ以来の一戦となる。さて、どの馬が勝利を手にするのか。ここ2年は芝未経験馬が勝利を飾っているが、阪神代替の今年は果たして……。

太秦Sに続いて逃げ切りでの連勝を狙うベストタッチダウンが先手を奪い、外からエアアルマスが2番手へ。序盤の4ハロンは12秒6-11秒2-12秒7-12秒1。1周目のゴール板前あたりで速くなり、コーナーで落ち着きかけたものの、向正面に入るとまた速くなり、という展開だ。その後の2ハロンも11秒9-12秒0。極端に速いというほどではなくても、ベストタッチダウンにとっては突っつかれる形。脚抜きの良い馬場ならまだしも、良馬場でこの息の入らない流れはちょっと苦しい。

結果、3コーナーに入って外からエアアルマスが進出すると、並びかけられたベストタッチダウンは踏ん張りきれず。4コーナーで早々に後退してしまったのだった。

直線入り口では内エアアルマス、外クリンチャーが並び、3番手のヒストリーメイカーをじわじわと引き離して一騎打ちかという態勢に。しかし、この争いに決着がついたのもやや早めの残り300m地点だった。外のクリンチャーエアアルマスを競り落とし、リードを2馬身、3馬身と広げにかかる。失速したエアアルマスを交わしてヒストリーメイカーが2番手に上がったが、クリンチャーがこれを寄せつけず3馬身差の快勝。②着にヒストリーメイカー、さらに4馬身離れた③着には道中最後方からエイコーンが入り、エアアルマスは④着に敗退した。

残り600mからのラップは12秒2-12秒0-13秒2。エアアルマスはおそらくラスト1ハロン14秒前後は要しているのではなかろうか。そして、もっと早くつぶされたベストタッチダウンは、上がり3ハロン41秒9でクリンチャーから4秒5差のしんがり負けである。

そんな展開の中、道中3~4番手で立ち回って圧勝を収めたクリンチャーの強いこと。単勝オッズこそ上位3頭接戦だったが、結果としてはクリンチャー1強だった、と言いたくなる内容だ。いや、なんでこれまでダートで勝てなかったのか?

ともあれ、2018年の京都記念以来、ダートでは初めてとなる念願の重賞タイトルを獲得したクリンチャー。同時にチャンピオンズCの優先出走権も得て、次はいよいよダートG1ということになるだろうか。厳しい展開が向くタイプだとすれば、オープン特別やG3では本領を発揮できていなかったとも考えられる。G1の舞台になれば、大幅な相手強化を「味方」につけた力走が見られる可能性もありそうだ。


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