速攻レースインプレッション
課題は残ったが、デアリングタクトへの挑戦権は得た
文/編集部(T)、写真/瀬戸口翔

今年のチャレンジCには前走①着馬が2頭いて、そのうちの1頭は前走で新潟記念を制したブラヴァス。もう1頭がデビューからU型コースの芝1600~1800mで4戦4勝、ここが重賞初挑戦となるレイパパレだった。
負けなしとはいえ、ここは初のO型コースの芝2000mで、しかも重賞勝ち馬もいるメンバーだから、“試金石"とみられてもおかしくなかった。ところが、その単勝オッズは1.6倍で、これはデビュー以来もっとも低いオッズ。つまり、多くの人が「ここは通過点」と考え、結果もレイパパレが勝利する結果になったわけだ。
近年のチャレンジCは連勝馬が勝つケースが続いていて、18年エアウィンザーは4連勝、昨年のロードマイウェイは5連勝で優勝している。ただ、この2頭はそれまでに敗戦を経験していたし、チャレンジCも2番人気での勝利だったから、“スケール感"の面ではレイパパレの方が上回っている印象も受ける。
とはいえ、レイパパレもまったく危なげのない勝利だったかというと、決してそうではなかった。11頭立てということもあって、前半1000m通過が62秒0。これは過去4戦でもなかったスローペースで、序盤は頭を振りながら行きたがる場面が続いた。
ただ、そこはさすがの川田騎手で、1コーナー手前でスッと前を行くジェネラーレウーノの後ろに入れたのがファインプレー。その後も怪しい素振りはあったものの、何とか馬を落ち着かせる。勝負所で抑えきれない感じで先頭に立つ形になったが、追いすがるブラヴァス、ヒンドゥタイムズの追撃を振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
レース後、川田騎手は「返し馬から気持ちが入りすぎてしまっていて、お兄さんやお母さんの血が騒ぎ出したな、という雰囲気で競馬を迎えた」とコメント。確かに、母シェルズレイは行きたがる気性が課題の馬だったし、2歳時にホープフルS(芝2000m)を勝った全兄シャイニングレイは、古馬になってから芝1200m重賞を制している。
今後、中距離路線で戦うのか、距離を短くするのか。いずれにしても、この気性とどう付き合うかが課題になるのは間違いない。母は松田国英厩舎の調教助手として、シャイニングレイは自厩舎の管理馬として携わった高野師がどういう判断を下すか、今後の注目になるだろう。
その先に待つことになるのが、今年の牝馬三冠馬デアリングタクトをはじめとする強豪たち。有名な話だが、レイパパレとデアリングタクトは秋華賞で“ニアミス"を起こしている因縁の相手だ。3戦3勝で出走を目指した秋華賞で、レイパパレは6分の4で通過という抽選に外れて出走ならず、結果はデアリングタクトが三冠を達成している。
レイパパレを“幻の秋華賞馬"という声もあるようだが、抽選を突破して秋華賞に出ていたとして、三冠はあったのかなかったのか、それはタラレバの話でしかない。とはいえ、「デアリングタクトとレイパパレが直接対決したら?」というテーマは、競馬ファンとしても大いに気になる。
レイパパレにとって、この勝利でそのチャンスを引き寄せたことは間違いない。その対決が来年のヴィクトリアマイルになるのか、それ以外のレースなのかはまだ分からないが、チャンスはいずれやってくるはず。今年のジャパンCの三冠馬対決のように、それぞれが力を出し切れる舞台で、その一戦が行われることを期待したい。