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速攻レースインプレッション

戸崎騎手に導かれて実力発揮、昨年の雪辱を果たす

文/後藤正俊(ターフライター)


秋G1の1番人気馬の全勝か、ルメール騎手G1・5連勝か、どちらの記録が継続されるのかが注目されていたチャンピオンズC。国内無敗のクリソベリルは1.4倍の圧倒的な人気を集め、ルメール騎手カフェファラオは6.0倍の離れた2番人気。だがレースは注目の2頭がともに馬群に沈んでしまった。

直線で堂々と抜け出したのは4番人気チュウワウィザードだった。道中はクリソベリルを前に見ながら中団を進み、直線に向くと外からクリソベリルに並びかけて手応えの違いを見せつける。追い出されると気持良く弾けて、直線先頭で逃げ込みを図るインティを楽に交わし、追い込んだ3番人気ゴールドドリームを寄せ付けずに2馬身半差をつけた。②着はゴールドドリーム、③着はインティクリソベリルは④着、カフェファラオは⑥着だった。上位4頭は昨年の①~④着馬と同じで、①④着が入れ替わっただけだった。

チュウワウィザードは今年、メンバーがやや手薄だった川崎記念こそ②着に6馬身差をつける圧勝だったが、この2戦の帝王賞、JBCクラシックはともにクリソベリルから離れた③着。クリソベリルとの対決では分が悪いようにも思われていた。だが考えてみれば、昨年のチャンピオンズCでは直線で前が詰まる致命的な不利がありながら0秒3差④着になっており、まともなレースだったら当時2キロ差だったクリソベリルとほとんど差がないレースをしていたはずだった。帝王賞とJBCクラシックはともに休み明けで、ひと叩きされた今回こそがこの馬の実力だったのだろう。

G1級レースはJBCクラシック、川崎記念に続いて3勝目。何よりもこの馬の凄さは、デビュー以来18戦して、馬券圏内から外れたレースが不利のあった昨年のチャンピオンズCの④着だけという点だ。JRA各場に加え、大井、川崎、船橋、名古屋と地方コースにはそれぞれの特徴があり、多くの馬に得手不得手があるものだが、チュウワウィザードは常に能力を発揮する。他のダートのトップホースに比べて480kg台の馬体はやや小柄に映るものだが、それだけ器用さもあるのだろう。

このチャンピオンズC優勝で来年のサウジCの優先出走権を手に入れた。コロナ禍もあり海外遠征にはハードルがあるが、ゴールドドリームクリソベリルが⑥⑦着に敗退した今年の雪辱を、環境に左右されないチュウワウィザードに果たしてもらいたいものだ。また将来的には種牡馬としての期待がさらに高まった。キングカメハメハ産駒の種牡馬は成功率が高く、今年デビューした初年度産駒からすでに2頭の地方重賞勝ち馬を輩出しているホッコータルマエとともに、ダート界の看板種牡馬として君臨していくのではないだろうか。

けがから5月に復帰した戸崎騎手は今年の重賞4勝目で、JRA・G1は2018年皐月賞のエポカドーロ以来1年8ヵ月ぶり8勝目チャンピオンズCもすべてにそつのない、戸崎騎手らしいレースだった。勝ち星は月ごとに着実に伸ばしてきており、もう完全復活を遂げたと言ってもいいだろう。

②着ゴールドドリームはサウジCから帰国後の2戦がやや不本意な成績だったが、平安Sは海外遠征の疲れ、南部杯は超高速決着が敗因だったと考えられる。G1級レースはこれで5勝②着6回。年が明けると8歳になるが、まだまだ衰えは見られない。③着インティは成績にムラはあるものの、このレースは昨年に続いて③着。中京コースとの相性の良さもあるが、自分のペースで先行できた時には、昨年フェブラリーS以来のG1制覇のチャンスがあるはずだ。

クリソベリルはどうしたのだろうか。多少かかり気味にも見えたが、楽な手応えで3番手を追走。ペースも前半1000m通過が60秒3なので、それほど速すぎたわけでもなかった。だが直線半ばではもう手応えが怪しくなり、チュウワウィザードに交わされた後は地力で粘ったものの、いつものような豪快な脚はまったく見られなかった。

馬体重は12kg増の554kgだったが、昨年のチャンピオンズCは550kgだったので、太かったわけではないだろう。敢えて理由を探せば前走から中4週のローテーションで疲れが残っていたのかもしれない。最終追い切りも控えめだったように見えた。能力の高さは誰もが認めているもので、立て直してくれば再び主役に返り咲いてくれるだろう。

カフェファラオはデビュー6戦目で、古馬強豪が勢揃いしたメンバーを相手に1キロ差だったことを考えれば、⑥着は健闘だったとも言える。さすがのルメール騎手でも紛れの少ない流れになると、マジックを発揮できなかった。今後の成長に期待したい。

次のダートG1は年末の東京大賞典。チャンピオンズCからどの馬が出走するのかはまだ分からないが、狙いを一本に定めて3連覇を目指すオメガパフュームもいるし、地方勢からモジアナフレイバー、ノンコノユメの昨年③②着馬も9日の勝島王冠の結果次第で出てくるだろう。2020年を締めくくるのにふさわしい激闘が展開されそうだ。


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