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速攻レースインプレッション

白毛初のG1馬誕生、来春も手に汗握る熱戦を期待

文/浅田知広


世の中、希少価値が高いモノほど価格も高くなりやすいもの。しかし白毛馬が他の毛色よりも高いなんて話は聞いたことがない。

仮に白毛馬ソダシがこの阪神JFを制したところで、現状、日本で走る白毛馬の多くが同じ「シラユキヒメ一族」から出ているため、もし白毛馬の価格が上がったとしても、それは果たして白毛人気なのか一族の血統評価なのか。メイケイエールのような白毛以外のシラユキヒメ一族の価格推移と比較しないと……、などとあれこれ考えていた阪神JF発走5分前であった。

ともあれ、今年の阪神JFで注目を集めたのは「白毛」「シラユキヒメ一族」だった。1番人気は白毛馬ソダシ。函館の新馬戦を快勝すると、続く札幌2歳Sは先行した馬にとって非常に厳しい展開を乗り切り2連勝。この時点ではまだ軽い馬場、上がりの速い勝負でどうかという疑念も残ったが、前走アルテミスSを上がり33秒9で2番手から押し切り、無傷の3連勝でここに駒を進めてきた。

サトノレイナスを挟み、3番人気に支持されたのは「白くないシラユキヒメ一族」メイケイエール。小倉で新馬、小倉2歳Sを連勝すると、前走のファンタジーSも2歳コースレコードで制して、こちらも無傷の3連勝だ。スピードが勝ったタイプでさらなる距離延長が不安視された分の3番人気だが、実績だけで評価すればソダシとの「2強」と言ってもいいだろう。

この2頭の間に割って入った2番人気サトノレイナスは2戦2勝とやはり無敗馬。こちらは前走サフラン賞が強烈で、4コーナーほぼ最後方から差し切り、この先まだ400mくらいは脚を伸ばせますよ、と言わんばかりの勝ちっぷり。その中山よりも、今回の阪神外回り1600mが向いているのは間違いない。

さて、なにが行くのかというスタートだったが、先手を取ったのはこちらも希少性では負けていない熊本産馬ヨカヨカだった。出遅れた前走ファンタジーSでデビューからの連勝が止まり⑤着に敗れており、ここは無理をせずとも行けるなら行くという態勢か。

ききょうSをレコードで逃げ切ったポールネイロンが掛かり気味に2番手につけ、ソダシは好位の一角。これを前に見てサトノレイナスは中団あたりからの競馬になった。

もう1頭の人気馬メイケイエールは前に壁を作れない大外枠を引いたこともあり、ゆったりとゲートを出して後方から。パトロールビデオを見るとスタート直後に隣の馬と接触していたが、そこで怒って掛かるのではなく、大外に弾かれ馬群から離れたことで、まずまず落ち着いていたようだ。しかし、そのまま3コーナーに突入するわけにもいかず、徐々に馬群へと寄せていくとクビを上げて掛かり加減に。なんとか中団で乗り切ったという向正面だった。

前半の600m通過は34秒9、800mは46秒8とそう速くはない流れ。4コーナー手前では後方の数頭を除き馬群がかたまったため、メイケイエールはかなりの距離損を強いらながらそのまま大外へ。一方、ソダシサトノレイナスは馬群の中で虎視眈々。前さえ開けば、という態勢だ。

しかし直線前半、2頭にとってはその「前さえ開けば」がなかなかかなわない展開になった。ソダシの前にはポールネイロンエイシンヒテンがおり、その外に出そうとしたところへはインフィナイト。これはちょっと苦しいか、というところでポールネイロンが後退し、内へと切り替えたのが残り400mあたり。ソダシの後ろにいたサトノレイナスも当然、一気に前を割れるような態勢ではなかった。

そうこうしている間に、大外から鋭く脚を伸ばしたのがメイケイエールだ。ようやく前が開いたソダシを交わし、内ラチ沿いを行くヨカヨカに並びかけたところが残り300mあたり。一気に後続を突き放そうか、という脚色だった。しかしここからが距離適性なのか、はたまた道中のロスの影響か。ヨカヨカに並んでからのもうひと伸びがなく、そこに襲いかかったのが、前が開いたソダシサトノレイナスだった。

間から力強く先頭に立つソダシ、その内から鋭く伸びるサトノレイナス。最後は2頭が馬体を離したクビの上げ下げの勝負、ゴール寸前ではサトノレイナス優勢かに見えたが、そこからサトノレイナスのクビが上がり、ソダシのクビが下がりかけたところがゴール。白毛馬による史上初のG1制覇の瞬間だ。

ソダシはこれまでの重賞2勝、札幌2歳S、そしてアルテミスSとも天候は「晴」で、コース上の日の当たるところでは馬体がまさに白く輝いて見えたもの。今回は曇天でその馬体こそ輝くことはなかったが、見事に2歳女王となる輝かしい勝利を手中にした。

無傷の4連勝での優勝は牝馬限定になった1991年以降、その1991年ニシノフラワー、そして2002年ピースオブワールドに続くレース史上3頭目。ピースオブワールドは骨折のため桜花賞には出られなかったが、ニシノフラワーは桜花賞、そしてスプリンターズS(当時12月)と翌年にG1・2勝を重ねている。

果たしてソダシもこれに続くことができるのか。惜しくも勝利を逃したサトノレイナスや、札幌2歳Sに続いてソダシに迫ったユーバーレーベン(③着)が今後も強敵になっていくのはもちろん、メイケイエール(④着)の巻き返しも十分にあり得るだろう。さらに、ここには出走していなかった馬も含め、来春の桜花賞ではどんな戦いを見せてくれるのか。また、今回のような手に汗握る熱戦を期待したいところだ。


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