独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

速攻レースインプレッション

タイムを見れば明白、文句なしの朝日杯FS覇者

文/木南友輔(日刊スポーツ)


朝日杯FSは関西のG1を締めくくる一戦となっている。今年のポイントは言うまでもなく、秋の阪神連続開催(5回阪神9日間、6回阪神8日間)。マイルCS、阪神JF、朝日杯FSと同じ芝外回りマイルの舞台でG1が3つ行われたわけだが…、例年の春の東京マイルG1(NHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念)3競走がひとくくりにはできないように、同じコースのG1で、それぞれに面白かった。

先週からは芝Bコース使用。阪神JFは逃げたヨカヨカが⑤着に粘り、前年レシステンシアのレコード決着(1分32秒7)には及ばないものの、1分33秒1の決着は06年ウオッカに並ぶ史上2位タイの高速決着だった。同日の古馬2勝クラスが1分33秒5なので、上々の数字だろう。グランアレグリア圧勝のマイルCS、そして、先週好時計の阪神JFを振り返ると、今週の朝日杯FSも天候次第である程度の時計勝負になることが考えられたと思う。

昨年もこの朝日杯FS「速攻レースインプレッション」を書かせてもらっている。着眼点の1つが、「新馬勝ち直後、あるいはデビュー4、5戦程度の2歳馬が古馬の準オープン(3勝クラス)と互角の数字で走ることを求められる、それがこの朝日杯FSというG1の本質だ」ということ。昨年の朝日杯FSを勝ったサリオスは同日元町Sモズダディーとまったく同じ1分33秒0で走った。今年は元町Sではなく、サンタクロースハンデだったが、同日9Rに同じコースで古馬3勝クラスのレースが行われた。勝ったトリプルエースの数字が1分32秒6。朝日杯FSはこの数字に迫れるのか、上回れるのか、まずはそこに注目した。

先行馬が多い顔ぶれ。そのなかでハナを奪ったのは京王杯2歳S覇者のモントライゼルメール騎手だった。後続を離す形の逃げになり、前半33秒7はさすがに速い。これをリズム良く好位3番手で進めていたのが、グレナディアガーズ。力みながらその後方外を走っていたのが、レッドベルオーブ。速い流れでやや位置を下げていたのがステラヴェローチェだった。直線半ばで先頭に立ったグレナディアガーズが力強く押し切り、勝ちタイムは1分32秒3。未勝利勝ち直後の馬がG1を勝ったという点で、フロック視されてしまうかもしれないが、タイムを見れば、フロックではなく、上位馬は例年と同等クラス、勝ち馬は文句なしの朝日杯FS覇者であることがわかる。

ゲート入り、スタート直前の映像でステラヴェローチェレッドベルオーブは少しテンションが高いのが気になった。致命的な出遅れはなかったが、慎重なスタートになった分、最後は届かなかったという面も…。④着バスラットレオンは夏のデビュー当時から評判になっていた馬で、京都2歳Sの1週前にはコントレイル、ダノンファラオと併せ馬をしていた。勝ち馬には最後突き放されてしまったが、マイルの距離、流れは合っていたようだ。

⑤着ブルースピリットは秋明菊賞の逃げ切りが見事だったが、新馬戦を見直すと、後方から差す競馬センスも持っている。2番手で運び、ジワジワと伸びるこの日の競馬はさすが藤岡佑騎手だった。同じ舞台のデイリー杯2歳Sで②着だったホウオウアマゾン、③着のスーパーホープは⑨着、⑪着に沈んだ。今年のデイリー杯2歳Sのレコード決着は馬場の影響によるものが大きかったのだろう。調教で動いていた新潟2歳S覇者ショックアクションは⑬着。2歳戦の休み明けは難しい。

さて、手前みそだが、今朝の自分の紙面コラムを転載させていただく。なぜ、グレナディアガーズが7番人気だったのかといえば、それはレッドベルオーブ完敗した2走前が原因だった。そして、前走の未勝利戦はこの日の勝利をはっきりと予感させるものだった。それがわかってもらえると思う。


「先週は香港国際競走が行われた。あらためて感心したのは主催者「香港ジョッキークラブ」の顧客(ファン)向けのサービス=馬券を買うのに大事な情報の充実度。最も強調できるのが、細かな馬具装着(馬装具)の申告が義務付けられていることだ。日本で発表される馬装具がブリンカー(Bで表記)だけなのに対し、香港は実に18種類の文字表記がされている。たとえば、E=耳栓、CP=チークピーシズ、XB=クロスノーズバンド(鼻革)など。仮にアーモンドアイが香港で走ったら、出馬表には常にSR(シャドーロール)の文字が付される。厩舎関係者には大変な手間となる事前申告だが、ファンにとっては有益な情報だろう。

前置きが長くなったが、朝日杯FSは◎グレナディアガーズに決めた。秋の阪神開催初日だった前走は芝1400mを1分20秒4の好時計で勝利。同日のファンタジーS(メイケイエール=先週の阪神JF④着)には0秒3劣るが、翌日の古馬3勝クラスが1分20秒7の決着なので優秀な数字なのは間違いない。

超高速馬場だから出た時計で、相手関係には恵まれたレースだった。それは認める。ただ、デビュー2戦、特に直線でフラフラ走り、☆レッドベルオーブに完敗だった2走前とは走りが違いすぎる。同じ走りをできるなら、好勝負になるのだが…。右回りが良かったのか、1400mの距離がいいのか、馬体重は大きく変わっていないが…。何度もレースを見直していて、はっきりと気付いた。

メンコ(覆面)だ。デビュー2戦は素顔で走っていたのに、前走は黒いメンコを着用している。フランケル産駒で高い能力を持っている一方、危うさを抱えた馬。推測だが、メンコを着用し、走りに全集中した結果が前走の圧勝劇を生んだ。となれば…、事前に発表される馬装具ではない以上、パドックと返し馬に注目するのみ。デビュー2戦は忘れていい。◎がメンコを着用していれば、前走の再現、好位から川田騎手と悠々と抜け出す競馬を期待したい」


来週はホープフルS、中山大障害、有馬記念。個人的なスタンスが「2歳王者はマイル以下の距離で決めるもの」なので、年度代表馬投票で最優秀2歳牡馬にはグレナディアガーズに票を入れるつもりだ。ちなみに香港の馬装具の表記でメンコはH(フード)となっている。


TOPページに戻る