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速攻レースインプレッション

先々に向けて大きな期待を抱かせる重賞初制覇

文/浅田知広


良くも悪くも、とてつもないことがたくさん起こった年だった、という印象が残る2020年。そんな中でもJRAの年間売り上げは約3兆円で前年比103.5%9年連続のプラスとのこと。無観客競馬の期間もあり、多方面に多大な影響があったと想像されるが、スターホースの活躍や関係者の努力の成果がひとつ現れた数字だと言えるだろう。まだまだ先は見通せないものの、まずは開催中止のような事態にはならないこと、そして有馬記念のころには多くのファンが生で白熱した戦いを目の当たりにできることを願いたい。

さて、そんな2021年のスタートは東西の金杯から。西のほうは中京の京都金杯となったが、こちら関東はその名の通り「中山金杯」がメインレースだ。

G3のハンデ戦ではあるが、一昨年のウインブライト(クイーンエリザベス2世C、香港C)を筆頭に、ラブリーデイ(宝塚記念、天皇賞・秋)、フェデラリスト(中山記念)、ヤマカツエース(金鯱賞)と、同年にG1、G2を制する馬も勝利を手にしているこの一戦。今年、ここで好発進を決めるのはどの馬か。

1番人気に推されたのは条件戦2連勝中のヒシイグアス。一昨年はスプリングS⑤着、ラジオNIKKEI賞⑨着と、重賞では上位人気(3、1番人気)の支持に応えられなかったが、その2戦を除けばこれまで[4.3.0.0]。約1年半ぶりの重賞の舞台で好結果を残せれば、前記各馬に続く活躍が期待できそうだ。

ただこの中山金杯、人気馬が勝つには勝っても相手がなかなか……というのが近年の傾向である。2018年1→2→10番人気、2019年3→7→9番人気、そして昨年が2→6→11番人気。ここ3年の傾向通りなら①~③着は「人気順」のため、買う馬さえ決まればフォーメーションを組みやすい。しかしどの穴馬が馬券圏内に突入するかという予想が悩ましく、かつおもしろいところだ。

17頭ほぼ揃ったスタートから先手を取りに行ったのは14番人気のロザムールで、外から11番人気のウインイクシードが2番手へ。内の3番手に昨年の③着馬テリトーリアルがつけ、ヒシイグアスは好位から中団あたりの追走となった。

スタートから3ハロン目に13秒1を記録するなど落ち着いたペースになり、前半の1000m通過は62秒0。前年末のAコースから、馬場のいたんだ部分をラチの内に追いやるCコース替わりでもあり、これは逃げ・先行勢に有利そうな展開だ。しかし前にいるのは14番人気と11番人気の馬である。

これはどうなんだと改めて成績を見れば、ロザムールは条件戦とはいえ2走前の⑫着を除いて近走(後で数えると過去9戦)③着以内ばかり。そしてウインイクシードは調べるまでもなく、昨年のこのレースでテリトーリアルに先着(②着)している。

いや、もしかしてそのまんま? と思って画面に目を戻せば馬群は3コーナー。後方各馬が動きはじめていたものの、どう見ても前のロザムールウインイクシードテリトーリアルあたりの方が手応えで上回っている。

そのロザムールの外にウインイクシードが並んで4コーナーへ。ロザムールの鞍上・北村宏司騎手の手がここで動きはじめたが、馬にはこれに反応するだけの余力あり。2頭が1馬身半ほど抜け出して最後の直線へと入っていった。

おおお、ちょっとこれ本当に(行った行ったが)あるんじゃないか、という脚色のまま残り200mを通過して最後の坂へ。しかし、ここで2頭の脚が止まった……、というよりは、好位~中団で最後までスタミナを残していた別の2頭が襲いかかった。1番人気ヒシイグアスと、5番人気ココロノトウダイだ。

2頭が併せ馬のような形で前2頭を交わしたのは残り100m付近。最後はヒシイグアスココロノトウダイを競り落として重賞初制覇。そして③着にはウインイクシードが粘り込み、1→5→11番人気。今年も上位3頭は人気順、だけどちょっと難しい、という3連単6万4390円という決着になった。

優勝したヒシイグアスはこれで3連勝。明け5歳馬だが半年を超える休養が2度あったため、まだキャリア9戦での出走だった。先に挙げた後の同年G1優勝馬であるラブリーデイやウインブライトも中山金杯を制した時は5歳。その戦績こそすでに重賞で好走を重ねていた2頭とは異なるものの、先々大きな期待を持てそうなのは同じだ。今回はハンデ54キロ。まずはもう少し重いハンデ、あるいは別定戦でどんな走りを見せてくれるのかが次への注目点となる。

そして、惜しくもクビ差②着だったココロノトウダイは、これまで3度の重賞は⑤⑦⑥着、それ以外は②①①①①着。年齢こそヒシイグアスのひとつ下だが、似たもの同士のワンツー決着と言っていいだろう。こちらももちろん、さらなる大きな舞台へと楽しみが広がる一戦となった。


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