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速攻レースインプレッション

今年の勝ち馬は皐月賞でも侮るなかれ!?

文/出川塁


京成杯といえば、勝ち馬が皐月賞でちょいちょい穴を出す印象があった。2000mで行なわれるようになった1999年、オースミブライトが早速6番人気②着に入ると、2007年にサンツェッペリンが15番人気②着、2010年にもエイシンフラッシュが11番人気③着に激走。本番で人気になった2005年のアドマイヤジャパン(3番人気③着)と2008年のマイネルチャールズ(1番人気③着)を含め、2010年までは京成杯勝ち馬がかなりの確率で皐月賞で好走を果たしていた。

ところが2011年以降、皐月賞でも馬券になった京成杯勝ち馬は2018年8番人気③着のジェネラーレウーノのみ。この馬がいるおかげで辛うじてイメージが保たれているとも言えるが、以前に比べてその頻度は明らかに落ちている。

なぜ京成杯組が皐月賞で馬券になりにくくなったかといえば、ホープフルSが2014年にG2、2017年からはG1となった影響があるのは間違いない(※現行のホープフルSは、厳密にはラジオNIKKEI杯2歳Sが阪神から移設され、G3から昇格したかたち)。ほど近い時期に同条件で格の高いレースが設けられた以上、より期待されている馬がそちらに集うのは自然の成り行きで、そのぶん京成杯にメンバーが集まりにくくなっているのは否定できない。

先述した皐月賞好走の京成杯勝ち馬の戦歴を見直すと、6頭すべてが2歳時にオープン③着以内か500万下(現1勝クラス)①着の実績を持っている。しかし、そうした2歳戦で実績を残した馬はホープフルSに向かうようになり、京成杯には新馬戦や未勝利戦を勝ち上がったばかりの馬が集うようになっている。実際、過去2年はラストドラフト、クリスタルブラックと1戦1勝馬が連勝中だ。

今年の出走12頭もすべて1勝馬で、そのうち9頭は前走が新馬戦か未勝利戦を勝ったばかり。しかも、その多くは逃げ・先行で勝ち上がっており、父キズナが3頭、父キングカメハメハ父モーリスが各2頭で、ほかにもキンカメ系が2頭と血統の幅もあまりない。とらえどころがないメンバーとも言えるのだが、それでも人気順はつけられ、1~6番人気が①~⑥着を占め、1、2番人気がちゃんと①②着に入るのだから集合知というのは恐ろしいものである。

逃げ・先行で勝ってきた馬ばかりといっても、先々を見据えて控える競馬も経験しておきたい。ゲートが開いても積極的にハナを奪いにいく馬は見当たらず、1周目のゴール板のあたりでは他馬の様子を窺いながら手綱を絞るジョッキーが目立った。結果、3F目には14秒0、4F目も13秒3というラップが刻まれ、前半1000m通過は63秒7のスローペース。逃げ・先行馬が揃った場合の「あるある」とも言える展開になった。

逃げることになったのは2番人気のタイムトゥヘヴン。名前からもわかるかもしれないが、桜花賞馬キストゥヘヴンの仔だ。2番手の内に1番人気のグラティアス、外に3番人気のタイソウが並び、さらに4番人気のヴァイスメテオールが続く。そのまま馬順の大きな入れ替わりはなく、12頭がひとかたまりになって勝負どころの3~4コーナーを回っていく。

ここで1頭だけ滑らかな動きを見せたのが、グラティアスルメール騎手だった。先を行くタイムトゥヘヴンがいくぶん膨れてぽっかり空いた4コーナーのラチ沿いをロスなく回り、直線に入って余裕をもって追い出しを開始。1番人気馬がいちばんスムーズな競馬をさせてもらったのだから、ゴール板で2馬身半の着差をつけていたのも当然といったところだろう。勝ち馬には離されてしまったものの、逃げたタイムトゥヘヴンが残って②着。③着にはテンバガーが渋太く伸びてヴァイスメテオールを競り落とした。

晴れて重賞ウイナーとなったグラティアス京成杯勝ち馬が最近の皐月賞であまり結果を残していないのは前述した通りだが、血統的には侮れない特徴を持っている。2歳女王レシステンシアの半弟という点はもちろん、それ以上に注目したいのが母の血だ。母の父がDanehill系で、5代にNijinskyが入るのはジェネラーレウーノと共通している。また、母方にDanehillNijinskyが入るハーツクライ産駒というのは、昨年の皐月賞②着馬サリオスと同じ。引き続きルメール騎手を鞍上に迎えるようなら、クラシック戦線でも中心をなす1頭になる可能性は十分に秘めている。


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