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速攻レースインプレッション

本命の評価に応えてしっかり勝ち切り、完全にひと皮むけた感じ

文/出川塁


全国的に天気が崩れた今週末は、中央競馬の3場は土曜から道悪の競馬になった。その後も天候は回復せず、日曜日は朝イチから、中京は芝ダートともに不良、中山と小倉は芝は重、ダートは不良まで悪化した。一部では大雪の予報もあっただけに開催できたのは幸いだったが、道悪の巧拙や枠順の影響は避けられない状況となった。

中山の重賞・AJCCが不良で行われるのは2012年以来のことで、当時勝ったのはルーラーシップ。同馬はその前年の金鯱賞でも不良馬場のなか大出遅れをものともせず勝っており、道悪は鬼レベルの強さを誇った。②着のナカヤマナイトも道悪巧者を数多く送り出したステイゴールドの産駒で、やはり馬場が悪化すると血統がものをいう。

この2頭について補足すると、ルーラーシップは自身の母母父に、ナカヤマナイト父ステイゴールドの母母父にノーザンテーストが入る。種牡馬としては11年連続、BMSとしては17年連続でリーディングに輝いたノーザンテーストが、その現役時代に勝った唯一のG1であるフォレ賞もまた道悪だった。

国内におけるノーザンテーストの直系は残念ながら途絶えてしまったが、先述したルーラーシップステイゴールドなどを通じてその血は広がり続けている。そして今週末の道悪競馬では、ステイゴールドの後継にあたるオルフェーヴルゴールドシップフェノーメノの産駒が各地の芝のレースで勝利を挙げていた。

AJCCにも父ステイゴールドステイフーリッシュ父オルフェーヴルタガノディアマンテ父ドリームジャーニーヴェルトライゼンデがエントリー。ご存知の通り、ドリームジャーニーオルフェーヴルは全兄弟の関係にあたり、自身はいずれもノーザンテースト3×4のクロスを持つ。競走馬として兄は稍重までしか経験しなかったが、弟は泥んこ馬場のダービーを勝ち、重馬場の凱旋門賞で2年連続②着と道悪でも抜群に強かった。加えて、兄弟で有馬記念を計3勝という中山巧者でもある。

昨年のステイヤーズSで②着のオルフェーヴル産駒タガノディアマンテにもチャンスはありそうだったが、より期待されたのはドリームジャーニー産駒ヴェルトライゼンデのほうだ。ホープフルS②着、ダービー③着などG1でも活躍し、古馬初戦のここでは同じく4歳のアリストテレスサトノフラッグに次ぐ3番人気の支持を集めた。

スタートは五分に出て、中団待機からアリストテレスをマークするような位置でレースを進めていく。勝負どころの3~4コーナーでは並走するようなかたちとなり、最後の直線でもよく追いすがった。しかし、半馬身差まで詰めたところが無情にもゴール板。またしてもタイトルには手が届かず、4度目の重賞②着という結果に終わった。

新馬戦は重で3馬身差の圧勝、不良の今回も②着と血統通りに結果を出しているのはさすがだなと思うのだが、鞍上・池添謙一騎手によると「だいぶ馬場に脚をとられた」とのこと。また、最後まで手前を替えなかった影響もありそうで、実は血統イメージほどの道悪巧者でも中山向きでもないのかもしれない。確かに、ダービー、神戸新聞杯と左回りの良馬場だった過去2戦ではいずれもいい走りを見せている。舞台替わりを待って勝負か。

このヴェルトライゼンデと同じように、かつてはアリストテレスも②着が続いたものだ。それが昨年の夏から2連勝して菊花賞に臨むと、初のG1でもクビ差の②着に好走。今回も本命の評価に応えてしっかり勝ち切り、完全にひと皮むけた。春の目標に据える天皇賞・春でも最右翼といって過言ない存在だろう。

そして、またしてもルメール騎手である。例年春のG1シリーズが近づく3月頃から調子を上げてくるスロースターターの印象だが、今年は1月からフェアリーS、京成杯に続く3週連続重賞制覇。今週末の6勝で早くも全国リーディング首位に躍り出た。

昨年12月は勝率19.4%、単勝回収率62%とルメール騎手にしては振るわなかったが、一流のアスリートは切り替えの早さも一流。今年も主役の座を譲る気はさらさらなさそうである。


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