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速攻レースインプレッション

タフなきさらぎ賞勝ち馬として、いざクラシックへ!

文/出川塁、写真/森鷹史


3歳重賞のきさらぎ賞が創設されたのは1961年のことで、当初の条件は意外にも中京の砂1200m(砂は現在のダートとは少し異なる馬場)。芝での開催となったのは1970年で、同年のタニノムーティエ、翌1971年のヒカルイマイと2年連続して勝ち馬が春の二冠馬となり、西のクラシック登竜門としての意義を確たるものとした。その後、1987年に京都へ移り、当初の条件は芝2000m。1991年から現在の芝1800mとなった。

そのきさらぎ賞が35年ぶりに中京に戻ってきた。現在の中京芝は1800mの設定がないため、距離も例年より1ハロン長い2000m。これは阪神芝2000mで行なわれた1994年以来のことで、この年はシンガリ人気(11番人気)だったサムソンビッグが単勝1万7200円の大穴をあけている。

ただし、有力馬ほど間隔をあけてクラシックに臨むのが主流となった近年は、きさらぎ賞の位置づけも微妙になりつつの感がある。勝ち馬が同年春のG1を制したのは2003年のネオユニヴァースが最後。出走馬に広げても2011年のオルフェーヴルまで遡らなくていけない。移ろいの早い競馬の世界で10年前といえば、ひと昔では片づけられない時間と言っていいだろう。

その後も2015年のルージュバック、2016年のサトノダイヤモンドと夢のふくらむ勝ち方を披露した馬はいるのだが、どちらも一冠目に直行して春の二冠には手が届かなかった。対して、21世紀になってから春のクラシックを制したきさらぎ賞組の3頭(前出のネオユニヴァース、オルフェーヴルと2006年メイショウサムソン)はすべてスプリングSを勝っている。もはや最近では考えにくいローテではあるものの、本番前にさらに1戦挟めるほどのタフさを備えていることが、きさらぎ賞組の春戴冠の条件なのかもしれない。

その意味で、今年のきさらぎ賞組は面白いかもしれない。というのも、変則日程になったことで冬場の開催6週目でタフな馬場になっていたからだ。ひとつ前の3勝クラス・トリトンSの勝ち時計は、スローペースでもあったが良馬場で1分36秒8という遅さ。そもそも急坂の中京芝2000mというコース自体、直線平坦の京都芝1800mに比べてタフさを求められる。もちろん「馬場やコースのタフさ」と「詰めた間隔で使えるタフさ」は別物だが、それでも例年とはちょっと違う個性を持ったきさらぎ賞勝ち馬が誕生するはずだ。

レースを先導したのは、2年目の若武者・泉谷楓真騎手が騎乗する9番人気のタガノカイ。最初のホームストレッチでは伏兵勢がそれに続いて先行集団を形成しかけたところ、2枠発進の3番人気のラーゴムが1コーナーの入りで内から自然と3番手に上がっていく。

対して、1番人気のランドオブリバティ、2番人気のヨーホーレイクは馬群から少し離れた最後方に近い位置。特に前走のホープフルSで逸走して競走中止となっていたランドオブリバティはスタート直後に挟まれたこともあり、三浦皇成騎手はかなり慎重に乗っているように見える。ただ、やや行きたがっているところはあるものの、懸念されたコーナリングは特に問題なくこなしているようだ。

前半1000m通過の61秒2は、いまの馬場を思えばまずまずのペースか。11頭立てということもあって馬群はバラけ気味で、3~4コーナーでジャンカルドが空いたインから2番手まで上がり、後ろの人気2頭が差を詰めてきたことを除けば、大きな動きはなく最後の直線へと入っていく。

直線を向いてすぐに始まる中京の急坂を登りきったところで、堂々とラーゴムが先頭に立つ。ただ、そこからまだ200m以上残っているのが中京の妙で、後方で脚を溜めていたディープインパクト産駒の2騎が一気に差を詰めてきた。特に離れた大外から突っ込んでくるヨーホーレイクの追い上げは急で、ゴール前の勢いは完全に上回っていた。

しかし、そこまで。最後までしのいで重賞初制覇を飾ったのはオルフェーヴル産駒ラーゴム。いつもの京都芝1800mであればディープインパクト産駒の切れ味に屈していたかもしれないが、今年は舞台が違った。その点、昨年の全兄ストーンリッジに続くクビ差②着となったヨーホーレイクは巡り合わせが悪かったか。さらに3馬身半差の③着ランドオブリバティは着順には満足できないだろうが、ひとまず無事にレースを終えたことを収穫としたい。

勝ったラーゴムに話を戻すと、母方にフォーティナイナーの血が入るのは同父のG1馬であるラッキーライラックやエポカドーロと同じ。また、母はかなりアメリカンな血で構成されているが、実際にはWild Riskなど欧州系の血もしっかり活きている。血統表の字面以上に渋太いところがありそうで、タフなきさらぎ賞勝ち馬としてクラシックでひと暴れといきたいところだ。


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