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速攻レースインプレッション

春の二冠を制した父と同じくこれから本領発揮!?

文/出川塁


皐月賞トライアルの第一弾はどうしたって「弥生賞」と言ってしまう、正式名称「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」である。というと文句を言っているように聞こえそうだが、レース名に冠されるほどの名馬であることに異存はないし、いずれ慣れることもわかっている。

振り返れば、2001年に年齢表記が変わったときがそうだった。最初のうちは脳内で「昔でいう7歳馬」などと年齢を換算していたものだが、今では古い資料で「4歳馬の頂点に立ったダービー馬」などとあると一瞬とまどうぐらいだ。最近では「3勝クラス」といった表記にも違和感がなくなってきた。

年齢やクラスは毎週の予想で必ず意識することになるので、いやでもすぐに定着していく。一方、「ディープインパクト記念」を強く意識するのは、レース前の1週ぐらいのもの。正直なところ、口で話すときは今後も当分「弥生賞」で止めてしまいそうだが、原稿に書くときは気をつけなくてはならないと自戒している。

もっとも、レース名が変わったからといって中身までは変わらない。たとえば頭数。昔から少頭数戦になりやすく、名前が変わった昨年が11頭立てで、今年も10頭立て。ディープインパクトのような馬が出てくるから、優先出走権を狙う陣営は他のレースに回るという意味合いもあったと思われるのだが、有力馬が一冠目に直行するのが普通になった近年もやはり頭数が揃わない。

そして、少頭数戦ゆえにペースが落ち着きやすい。そのため、ここではマイラー色のある馬でも好走しやすい。たとえば、過去10年の前走距離別成績を見てみると、次のようになっている。

前走距離着別度数勝率複勝率単勝回収率複勝回収率
芝1600m2.3.3.1011.1%44.4%25%125%
芝1800m4.3.1.2213.3%26.7%314%108%
芝2000m4.4.6.377.8%27.5%20%72%

出走例、好走例ともに多い芝2000mからの臨戦が主流ではあるが、芝1600mや芝1800mからでもまったく引けをとらない。むしろ、芝1600mの複勝率44.4%や芝1800mの回収率の高さに魅力を覚えるほどだ。

今年の出走馬の前走距離を見渡しても、やはり前走芝2000mが10頭中7頭と最大勢力となっている。そのなかにはホープフルSを制して最優秀2歳牡馬にも選ばれたダノンザキッドも含まれている。過去2年のホープフルS勝ち馬とは違って皐月賞には直行せず、かつての王道のローテーションでクラシックに挑もうとしている。G1どころか重賞勝ちがあるのもこの馬だけとあっては、単勝1.3倍の支持を集めるのは当然だろう。

しかし、は先のデータを元に、距離延長馬に狙いをつけた。該当するのはシュネルマイスターゴールデンシロップの2頭だけ。ただし、過去10年、前走が新馬戦・未勝利戦だった馬は[0.1.0.15]というデータから後者は苦しいとみて、前者の単勝で勝負することにした。ルメール騎手を配してきたのも大いに心強い。

全馬揃ったスタートで目立った出遅れはなし。何が何でも逃げたいという馬はおらず、横山武史騎手が左右を見回しながらタイトルホルダーがハナに立つ。外からシュネルマイスターが2番手に続き、ダノンザキッド2番枠発進から外に持ち出して4、5番手につけた。

前半1000m通過は62秒6で想定通りのスローペース。3コーナーあたりからじわじわとペースが上がってレースの佳境を迎えても、単勝を託したシュネルマイスターは手応えよく2番手を追走しており、チャンスは十分にありそうだ。一方、外を回って追い上げにかかるはずのダノンザキッドは動きが少し重い感じ。

しかし、このスローペースで逃げたタイトルホルダーも脚が溜まっていた。4コーナーで上手に勢いをつけ、直線に入ってたちまちリードを築き上げる。一方、シュネルマイスターの伸び脚はといえば、手応えほどの鋭さはなく、差しきれるような勢いには見えない。さらに外からダノンザキッドも坂を上ってようやくエンジンがかかったようだが、時すでに遅し。結局、危なげなく逃げ切ったタイトルホルダーが、名前通り重賞ウイナーの仲間入りを果たしたのだった。

このスローで弾け切れなかった②着のシュネルマイスターは距離の壁を思わざるをえず、皐月賞に関してはいささかの不安を感じる結果に。③着のダノンザキッドは連勝が止まってしまったが、前哨戦にはひと叩きという以外にも本番に向けて試走という側面もあるだろうし、意義のある一走になったと思いたい。

話をタイトルホルダーに戻すと、自身だけでなく父ドゥラメンテにとっても重賞初勝利となった。父もこの時期に一挙に強さを増して春の二冠奪取につなげたことを思うと、これから暖かくなるにつれて本領を発揮してくる産駒が続いてもまったく不思議はない。このタイトルホルダーは人気者のメロディーレーンの半弟という血統でもあり、今後距離が延びることもプラスに働きそうだ。母の父がSadler's Wells系Motivatorで、Mill Reefのクロスを持つなど配合の裏付けもある。

しかし、今にして思えば、母の父がSadler's Wells系で、Mill Reefのクロスを持つのはシュネルマイスターも同じ。ついでに言えば、Gone Westが4代目に入っているのも共通している。この馬を狙うならなんでタイトルホルダーも一緒に買わないんだとは思うのだが、気づくのはいつもレースが終わってからなのである。


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