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速攻レースインプレッション

大波乱を演出した人馬は「アッパレ」、G1馬は次走の本領発揮に期待

文/後藤正俊(ターフライター)


昨年の3冠牝馬デアリングタクトの今年初戦として注目を集めた金鯱賞グローリーヴェイズキセキの参戦もあり、盛り上がりをみせた。だが、馬券検討を難解にさせたのは開催替わりの中京コースの馬場状態。12、13日のまとまった降雨で、13日は終日不良馬場。マイル戦でも良馬場の時と比べて5秒ほどの馬場差となっていた。

14日は快晴で馬場はどんどんと乾いてきたが、それでも金鯱賞重馬場発表。桜花賞で重馬場、秋華賞で稍重馬場を克服しているデアリングタクトだが、スタミナ勝負になると牡古馬相手に分の悪さも考えられる。ジャパンCで4キロ差だったグローリーヴェイズキセキとの斤量差も2キロに詰まっており、真価が問われる一戦となった。

スタートは各馬ゆったりと出たが、他に主張する馬がいないと見るやギベオンが先手を奪った。グローリーヴェイズはそつなく好位の3~4番手に取り付いた。スタートは普通に出たキセキだが、今回はハナを主張せずに最後方待機策をとった。デアリングタクトはやや荒れてきた内に包まれるのを嫌ってか、外の馬を見ながらすぐに外に出した。レース前から決めていたのかもしれないが、一流騎手の仲間入りを果たした松山弘平騎手の落ち着いた手綱さばきだった。

ギベオンの逃げはほぼ平均ペースで、2番手サトノフラッグとの1馬身差を保ちながら前半5ハロン通過が61秒4。直線に向いて最内を通り、早めに手は動くもののなかなかバテない。馬場の真ん中を割ろうとするグローリーヴェイズはあまり手応えが良くなく、外のポタジェに交わされる。その外をデアリングタクトが猛追し、さらに大外をキセキが上がってくるが、馬場が重いせいか、それほどの切れ味が見られない。中団以降のグループでは唯一、ギベオンに迫ったデアリングタクトだが、クビ差まで追い詰めたところがゴールで②着惜敗。③着は半馬身差でポタジェ。さらにハナ差で④着グローリーヴェイズ、半馬身差で⑤着キセキという結果になった。

ギベオンはシンガリの10番人気。ノーマークで展開に恵まれた逃げに見られるかもしれないが、もともとデビュー4戦目にNHKマイルCで②着となった素質馬で、中京2000mは3歳時に中日新聞杯を制し、昨年の金鯱賞もサートゥルナーリアの④着に粘っている得意のコース。その後はふた桁着順が3戦続いたが、前走の白富士Sではトップ重量の59キロを背負って、55キロのポタジェから0秒4差⑤着となっていたので、一時の不振からは脱していたのだろう。人気の盲点になっていた。

何よりもデビュー4年目、30回目の挑戦で重賞初制覇を果たした西村淳也騎手のペース判断の確かさが光った。これまで重賞では昨年の福島牝馬Sのランドネでの③着が唯一の馬券対象というのが信じられないほど、テン乗りでの落ち着いた騎乗ぶりだった。この騎乗で今後は依頼も増えるはずで、今年はベスト10入りも狙えそうだ。それにしても単勝2万2730円、3連単78万3010円、そしてWIN5は的中1票で5億5444万6060円という大波乱の立役者になったギベオン-西村淳也騎手には「アッパレ」の言葉しかない。

結果だけを見れば、デアリングタクトグローリーヴェイズキセキの3頭がけん制し合い、人気薄の逃げ馬にしてやられた、という構図なのかもしれないが、有力馬は今後にG1を控え、大目標を見据えた仕上げだったのだろう。特にデアリングタクトは、次走が香港のクイーンエリザベス2世Cなのか、大阪杯など国内路線になるのかは未定だが、2キロ差のグローリーヴェイズキセキを退けたレースぶりは改めて強さを感じさせるもので、1度使われた上積みで、次走は本領を発揮してくれるだろう。いずれは実現するであろう昨年のジャパンCに続くコントレイルとの3冠馬対決も大いに楽しみだし、アーモンドアイが引退した後、クロノジェネシス、グランアレグリアとともに「牝馬の時代」を継承していく存在になることは間違いない。

グローリーヴェイズは重馬場や久々の2000m戦が敗因と考えられる。天皇賞・春へ向かえば有力候補となるだろうが、ディープインパクト産駒で小柄な部類に入る馬体だけに、パンパンの良馬場での中距離での切れ味勝負も見てみたい気がする。キセキは戦法がなかなか定まらないが、個人的にはハイペースでの逃げをもう一度見てみたい。

4連勝中だったポタジェは連勝こそストップしたが、初の重賞挑戦でこの相手に正攻法の競馬で③着に食い込んだのは立派だと思う。父ディープインパクト、半姉ルージュバックと血統も筋金入りで、良馬場だったらさらに際どいレースになっていたのではないだろうか。まだ4歳でキャリアも9戦と少なく、今後はG1戦線を賑わせるような存在になるはずだ。


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