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速攻レースインプレッション

血統の新しい潮流が示された結果に!?

文/出川塁


2015年のノンコノユメ以来、ゴールドドリーム、サンライズノヴァ、ルヴァンスレーヴ、ワイドファラオ、カフェファラオと、過去6年の勝ち馬はのちにすべてG1(Jpn1を含む)を勝利。その世代の馬が出走できる最初の中央ダート重賞とあってユニコーンSはメンバーが揃いやすく、屈指の出世レースとなっている。

ただ、今年の様相は少々違うように見えた。過去6年は1番人気馬が単勝1倍台か2倍台だったの対し、今年1番人気となったラペルーズの最終的なオッズは4.5倍ルーチェドーロ(4.7倍)、ケイアイロベージ(5.4倍)も差がなく続き、明確な本命馬が不在の状況となったのだ。

大事なのはあくまでユニコーンSを勝つことであって、のちにG1馬となった過去6年の勝ち馬も1番人気に推されたのは2頭と意外に少ない。ただ、確固たる1番人気馬が順当に勝ったり、そうした本命馬を負かす新たな実力馬が現れたりといったレースにはならないことをオッズは示していた。

あるいは、ダート種牡馬の過渡期に入った影響もあるのかもしれない。これまでユニコーンSで強かったのは過去10年で3勝のゴールドアリュールを筆頭に、アグネスタキオンフジキセキといったダートもこなすサンデーサイレンス系の種牡馬だった。しかし、サンデー直仔の種牡馬たちは表舞台から去りつつあり、昨年は海外繋養種牡馬の産駒がワンツー。そして今年は⑧着まで非サンデー系種牡馬の産駒が占めることになった。

前述したようにユニコーンSは中央競馬で世代初のダート重賞で、血統の新しい潮流が最初に示されるレースと考えることもできる。今年でいえば、産駒が3頭出走したヘニーヒューズはすでに砂の第一人者といっていい活躍を見せている。同馬は輸入が遅かったためすでに18歳だが、いずれも産駒が2頭ずつ出走したキズナリオンディーズマクフィあたりはまだ若く、今後さらなる活躍を期待できるのではないか。

もちろん、今年の勝ち馬スマッシャーの父であるマジェスティックウォリアーにも注目したい。海外繋養時代の産駒であるベストウォーリアに続き、ユニコーンS2勝目。実績を積み上げたあとに輸入されたため、こちらも16歳だが、国内では2世代目の産駒から重賞勝ち馬が出た。

このスマッシャーは、1枠2番から五分のスタートを決めて中団待機。前3走すべてで上がり1位を記録した通り、今回も末脚を活かす作戦だ。向こう正面でピンクカメハメハが内ラチに激突、落馬するアクシデントもあったものの巻き込まれる馬はなく、馬群は3コーナーへ。重馬場で前半3F34秒0、5F58秒0のペースは、平均かわずかに速いぐらいとみていいだろう。実際、逃げ馬を早めにつかまえにいったサヴァは長い直線をよく粘って②着。どちらかといえば差し有利ではあったが、前がまったく残れない流れではなかった。

スマッシャーにとっては、4コーナーから直線の入り口にかけての勝負どころで馬群がバラけたのも幸いした。直線を向いて追い出しにかかったところで前をさえぎる馬は見当たらず、あとは自慢の決め手を発揮するだけ。4戦連続上がり1位の末脚を炸裂させて見事に重賞初勝利を飾った。

開業2年目となる吉岡辰弥厩舎にとっても、これが初めての重賞タイトルとなった。吉岡師は、今年2月末に惜しまれつつ解散した角居勝彦厩舎で約10年にわたって調教助手を務めた経歴を持つ。昨年は14勝を挙げ、2年目の今年は早くも18勝と前途洋々だ。同じく角居門下では、辻野泰之厩舎も3月の開業から3ヵ月あまりで8勝と好スタートを切っている。稀代の名調教師の教えがこうして息づいているのは、ファンにとっても嬉しいことである。

最後に、辛い事実にも向き合わなければならない。先に落馬したことを触れたピンクカメハメハは、その後、急性心不全のため死亡したことがJRAから発表された。昨年7月のデビューから1年にも満たず、サウジダービー制覇の快挙からわずか4ヵ月。騎乗していた北村宏司騎手の容態も心配だ。起こりうる事態だとわかっていても慣れることはできないし、これが競馬だと割り切りたくもない。今はただ悼み、祈るのみである。


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