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速攻レースインプレッション

文字通りの3強対決に多くのファンが満足したに違いない

文/後藤正俊(ターフライター)


女王アーモンドアイと牡牝の無敗の3冠馬2頭が初対決した昨年のジャパンCは、競馬史上最高のレースと言われた。今年の天皇賞・秋もそれに匹敵するハイレベルな顔合わせとなった。4歳になった3冠馬コントレイル、スピード女王グランアレグリア、シャフリヤールとともに3歳最強の双璧を成すエフフォーリア。それぞれ違う道筋を歩んできた3強の激突。単勝オッズも1番人気コントレイルが2.5倍、2番人気グランアレグリアが2.8倍、3番人気エフフォーリアが3.4倍と「3強」を象徴するオッズとなった。

東京芝2000mの大きなポイントとなるスタートは各馬ほぼ互角。カイザーミノルが先手を奪ったが、ゆったりとしたペースにグランアレグリアが2番手につける予想外の展開になった。5ハロン通過は60秒5のスローペースで流れ、エフフォーリアは6番手の外、1番枠をひいたコントレイルは8~9番手の内というポジショニングで進んだ。

淡々とした流れのまま直線を向くと、グランアレグリアが馬場の良いところを探しながら楽な手応えで先頭に立つ。そこに外からエフフォーリアが襲い掛かり、さらにその外に出したコントレイルが続く。直線半ばから3強の対決が繰り広げられ、入場制限が先週までの2倍(指定席券の販売数が4479席→9362席)となった東京競馬場の観客が固唾を飲んでその決着を見守った。

残り100mあたりでエフフォーリアグランアレグリアを交わして抜け出す。コントレイルが追うがその差はなかなか詰まらない。ゴール板ではエフフォーリアコントレイルに1馬身差をつけ、グランアレグリアはそこからクビ差の③着。④着以下はさらに1馬身3/4差がつく、文字通りの3強対決となった。強い馬たちが力を出し切った死闘は、多くのファンが満足したに違いない。

エフフォーリアは2002年シンボリクリスエス以来となる19年ぶりの3歳馬勝利を飾った。当時は中山で行われたため、東京での3歳馬優勝は1996年バブルガムフェロー以来だった。横山武史騎手は菊花賞のタイトルホルダーに続いて2週連続のG1制覇で、天皇賞・秋はレース名に「秋」が付いていない時代から含めると、1969年メジロタイヨウの祖父・横山富雄元騎手、2009年カンパニーの父・横山典弘騎手に続いて、父子3代制覇の偉業を達成した。

エフフォーリアは折り合いに苦労する面が少なそうな馬とはいえ、弱冠22歳の横山武史騎手の落ち着き払った騎乗は見事なものだった。東京芝2000mでスローな流れとなると、内に執着したくなりそうなものだが、馬の力を信用していたのだろう、堂々と馬群の外を回る横綱相撲に徹した。先に抜け出したグランアレグリアを射程に入れ、後方から来るコントレイルを抑え切るには仕掛けのタイミングも難しかったはずだが、自信満々の仕掛けに見えた。菊花賞の逃げ切り勝ちですっかり自信を深めたのだろう。

リーディング順位は2021年10月31日終了時点で全国5位につけ、昨年の6位を上回っていて、初の年間100勝も見えてきた。とても昨年に重賞初制覇を果たしたばかりの騎手とは思えないほどの急成長で、もちろん本人の努力が大きいのだろう。

エフフォーリアの強さも本物だ。敗れたのはダービーのハナ差②着だけで6戦5勝。勝ったレースはいずれも完勝という印象で、ダービーも③着以下には差をつけている。シンボリクリスエスやバブルガムフェローも3歳時にここまで大人びたレースは見せていなかった気がする。良馬場の瞬発力勝負には多少の不安があるかと思っていたが、この日の上がり3ハロンは33秒2。皐月賞のレースぶりから馬場が渋っても問題なさそうだし、この折り合いなら距離延長も不安はなさそうで、この後、予定通りに有馬記念に出走すれば主役を務めることになりそうだ。

コントレイルは過去最長間隔の6ヵ月半ぶりで、メンバー中最速の上がり33秒0の脚を使っているのだから、3冠馬の名に恥じない立派なレースぶりだったと思うし、引退レースとなる予定の次走・ジャパンCでも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるはず。

グランアレグリアは微妙に距離が長かった可能性がありそうだし、降雨でパンパンの良馬場ではなかった点も影響したように思える。ペースを考えれば無理に抑えないで2番手を進んだことは間違いではなかったはずで、上がり33秒8を使って差されたのでは仕方がない。それでも、コントレイルとクビ差なのだから、果敢な中距離挑戦に拍手を送りたいレース内容だった。

3歳で天皇賞・秋を狙うという道を切り開き、バブルガムフェロー、シンボリクリスエスできっちりと結果を出した藤沢和雄師が、調教師として最後の天皇賞・秋で3歳馬に敗れたのも何かの縁だろう。登録している香港マイルに出走し、ゴールデンシックスティを破る快挙を見せてもらいたい。

3強以外では、8ヵ月ぶりのレースで、不利15番枠に入りながら⑤着だったヒシイグアスの健闘が目立った。5歳馬だがまだ出走数が少なく、さらに成長が期待できそう。⑦着ペルシアンナイトは、コントレイルに次ぐメンバー中2位の上がり33秒1を計時した。もう4年も勝ち星から遠ざかっているが復調気配を見せており、マイルCSに出走すれば無視できない存在になりそうだ。


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