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速攻レースインプレッション

円熟味あふれる手綱捌きで偉業達成に王手

文/後藤正俊(ターフライター)


3戦3勝のセリフォスを筆頭に、ジオグリフスプリットザシーダノンスコーピオンドウデュースドーブネ無敗馬が6頭揃った今年の朝日杯FS。良馬場に回復したものの、連続開催で阪神芝の馬場は荒れ気味で、昨年、グレナディアガーズがマークした1分32秒3のレコードに迫るような高速決着は期待しづらい状況だったが、来春のクラシックを展望する意味では、マイルのスピードとともにスタミナも試される舞台となった。

レースは1番枠カジュフェイスの逃げで、前半3F34秒3のペースとなり、3連勝中の1番人気セリフォスは向正面は3~5番手の好位、3~4角は中団の少し前で追走する形となった。一方で2番人気のジオグリフはデビュー2戦とも1800mを使ってきたためか、札幌2歳S以来のレースだったためか、後方から2番手の位置取りとなった。

この日の阪神芝の直線は荒れた内を突くと伸びづらく、外を回っても届きにくい感じの難しそうな馬場コンディション。4角では馬場の良いところを通ろうと各馬が接触するシーンも見られた。

直線に入り、セリフォスC.デムーロ騎手がうまく馬場中央に持ち出して満を持して仕掛けると、道中でセリフォスの後方外目で運んでいた武豊騎手ドウデュースが遅れずに並び掛けていく。セリフォスの内からはダノンスコーピオンも伸びてきてゴール前は3頭の激しい追い比べとなったが、外のドウデュースがきっちりと半馬身差で差し切ってゴールした。勝ちタイムは1分33秒5だった。

ドウデュースは直線前半でオタルエバーと接触したものの影響は見られず、完璧なレース運びと仕掛けのタイミング、そして絶妙なコース取りは、さすがはレジェンド・武豊騎手円熟味あふれるレースだった。武豊騎手は22度目の挑戦で朝日杯FS初制覇を果たし、JRA平地G1完全制覇に王手をかけた。

ホープフルS(2017年にG1昇格)がまだG1ではなかった2015年朝日杯FSで、完全制覇達成を狙った武豊騎手のエアスピネルがゴール直前でM.デムーロ騎手のリオンディーズに差されて②着惜敗を喫した。レース後に「多くのファンが完全制覇を期待していたが」と聞かれた武豊騎手は、仲の良いM.デムーロ騎手に対して「空気の読めないイタリア人がいたもので」とジョークで切り返していたことが思い出されるが、今度はそのM.デムーロ騎手の弟C.デムーロ騎手騎乗のセリフォスを相手に雪辱を果たした。

2019年ワールドプレミアの菊花賞以来、2年2ヵ月ぶりとなったJRA・G1制覇が「キーファーズ」の勝負服だったことも、武豊騎手にとっては感慨深かったのではないだろうか。キーファーズ松島正昭代表「武豊騎手を応援する」と公言し、今年の凱旋門賞のブルーム、ジャパンCのジャパンの鞍上は武豊騎手だった。武豊騎手キーファーズにとって日本でのG1初制覇で、その期待に応えた形だ。記憶に残るレースばかりが続いた今秋の競馬だが、武豊騎手がいよいよ完全制覇がかかるホープフルSで、またひとつ大きな記録、記憶を付け加えてくれるのか、興味が尽きない。

ハーツクライ産駒のドウデュースは、すでに1800m戦で連勝しているだけに、今後の距離延長はほぼ心配ないと思うし、父同様の成長力も期待できる。東京、小倉、阪神と異なる競馬場できっちりと勝ち切れた順応性の高さも大きな武器になるだろう。朝日杯FS勝ち馬として、2012年のロゴタイプ以来となる皐月賞制覇も十分に期待できそうだ。

②着セリフォスダイワメジャー産駒、半馬身差③着のダノンスコーピオンロードカナロア産駒で、血統的には来春のNHKマイルCに出走していても不思議ないと思う2頭だが、スピード能力はかなり高そう。馬場傾向的に伸びづらそうな印象があった大外を回って⑤着まで突っ込んだジオグリフの潜在能力も高い。母アロマティコは秋華賞とエリザベス女王杯で③着、半兄アルビージャも2000m以上で活躍しており、クラシックで巻き返してくる可能性が十分ありそうだ。


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