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速攻レースインプレッション

得意舞台で完璧な騎乗、見事に連覇達成

文/後藤正俊(ターフライター)


今年最初のJRA・G1、フェブラリーSは船橋から昨年のNARグランプリ年度代表馬ミューチャリーを含めフルゲートの16頭。テーオーケインズがサウジC、チュウワウィザードがドバイワールドCと海外を目指し、急きょ引退を撤回したオメガパフュームも出走を見送ったが、昨年の覇者カフェファラオをはじめ、過去にフェブラリーSで3着以内に入っている馬が5頭も出走してきた。

レース前に注目されていたのは「1番人気がどの馬になるのか」という点だった。昨年の有馬記念でエフフォーリアが勝った以降、重賞での1番人気馬は前日のダイヤモンドSまで19連敗。年始から18連敗というJRA新記録だった。そのジンクスは直前に行われた小倉大賞典のアリーヴォがようやく終止符を打ったが、単勝10倍以下が6頭もいる大混戦の中、1番人気馬が3連勝しているフェブラリーSファンがどの馬をもっとも支持したのかは注目の的だった。

東京競馬場の天候は時折雨が降り、ダートコースは6R以降は重馬場。同じコースの9RヒヤシンスSの勝ちタイムが1分35秒3と脚抜きの良い馬場になったこともあり、マイル実績はないもののスピードのあるレッドルゼルが3.9倍の1番人気に推された。昨年好タイム勝ちのカフェファラオが2番人気(5.1倍)。アルクトスが直前で3番人気(7.0倍)まで上がったのも、一昨年の南部杯で1分32秒7(稍重)という驚異のタイムがあったからだろう。

ソダシのゲート入りは先入れで比較的すんなりと収まり、スタートは各馬大きな出遅れはなく、きれいに決まった。まずサンライズホープが先手を取ったが、2F目付近でテイエムサウスダンが外から主張してレースを引っ張った。ソダシサンライズホープを交わして2番手に上がり、直後にカフェファラオ。その後ろにアルクトスレッドルゼルが付け、前半4F46秒8のやや速い流れとなったが、人気馬はほぼ前目に付けた。

4コーナーを回るとカフェファラオの手応えが断然に良い。2番手のソダシ、逃げ粘るテイエムサウスダンを早めに交わして先頭に立つと、そのまま2馬身半突き抜ける完勝。2014&15年のコパノリッキーに続く史上2頭目の連覇を達成した。勝ちタイムの1分33秒8はレースレコードで、コースレコードタイ。ゴール前でソダシが懸命に前を追ったが、②着テイエムサウスダンに半馬身届かず③着。レッドルゼルは伸びが見られず⑥着だった。4角3番手から抜け出したカフェファラオの上がり3Fはメンバー中最速の34秒3なのだから、これでは後方の馬が届かないのも仕方がない。

カフェファラオは昨年、明け4歳ながら1番人気でこのレースを制覇。そのままダート界の頂点に君臨するのかと思われたが、圧倒的な支持を集めたかしわ記念で1番人気⑤着敗退。夏は芝の函館記念に挑戦して⑨着、立て直して臨んだチャンピオンズCは⑪着と大敗した。デビュー4戦目に無傷で臨んだジャパンダートダービーも単勝1.1倍の1番人気で⑦着に敗れたように、成績的にアテにしづらい面もある馬だが、東京ダート1600mに限ればこれで4戦全勝。まったく危なげのないレースを見せている。

福永騎手は今回がテン乗りだったが、カフェファラオの気分を損ねないように砂を被りにくい位置をキープし、抑えることも押っ付けることもせずに回ってくる完璧な騎乗だったと思う。香港での骨折から復帰し、先週土曜(2月12日)は阪神で1日5勝の固め打ち。そしてG1制覇を成し遂げた。香港のレースをテレビで見ていた時にはどれほどの大けがを負ってしまったのかと肝を冷やしたが、もう完全復活と言っていいだろう。素晴らしい回復力と精神力だ。

カフェファラオが今後、どういうローテーションを組むかはわからないが、米国の歴史的名馬アメリカンファラオ産駒で、兄姉には米国芝G1勝ち馬(リーガルグローリー)がいる超良血馬だけに、芝・ダートに関わらず幅広い選択肢で可能性を試す道もあるのかもしれない。いずれにしても、来年のフェブラリーSで3連覇を果たす可能性も十分あるのではないだろうか。

テイエムサウスダンはこれまで1600m戦では⑤着、⑨着と馬券圏外に敗れていたが、思い切った逃げの手で新味が発揮できた。岩田康騎手の好判断と言えるが、サウスヴィグラス産駒だけにやはりベストは1400m以下という気もする。昨年はダート1400mの地方交流重賞で3勝を挙げていたが、ダート1400m以下の地方交流重賞は複数あるので、今年はさらに磨きのかかった先行力を武器に、勝ち星を量産していくに違いない。将来的にはサウスヴィグラスの最良後継種牡馬として大きな期待が膨らむ。

ソダシはダート2戦目で変わり身を見せた。もちろん1600mの距離が向いていたこともあると思うが、速い流れを楽に好位で追走できたスピードは、もし今後ダート路線を進んだとしても大きな魅力になるし、ヴィクトリアマイルなど芝路線に進んでもG1・3勝目のチャンスは十分にありそう。1番人気のレッドルゼルは目立った不利はなかったと思うので、この⑥着はやはり距離が敗因と考えられそうだ。



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