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速攻レースインプレッション

徐々に距離を縮め、ついにビッグタイトルを獲得

文/浅田知広


秋のG1開幕戦・スプリンターズS。今回のポイントはまず、平地G1での1番人気の連敗がひと夏を越したことで止まるか否か……だと月曜あたりには思っていたのだが、どうもあまり話題にあがっていなかったようだ。

それにかわってよく目にしたのは、1、2番人気が予想されたメイケイエールナムラクレアの父ミッキーアイルの名前。現役時は2014年のNHKマイルC、2016年のマイルCSとマイルG1を2勝した名マイラーだが、国内スプリントG1にも計4回出走して高松宮記念が③着、②着、スプリンターズSでは④着、②着(ともに2015~16年)という結果を残している。

その着順は別にして、どちらかといえばスプリンターズSのほうが勝機があった印象だったため改めてレースを見直すと、やはり高松宮記念の2回はゴール手前150mあたりではちょっと勝てないかな、という態勢。これに対しスプリンターズSの2回、特に2016年(優勝馬レッドファルクス)はぎりぎりまで先頭で粘る非常に惜しい競馬だった。

この父の無念を晴らせるかどうか。1番人気に推されたメイケイエールは体力的にはマイルでも問題ないはずだが、折り合い面からスプリンターというタイプ。一方2番人気のナムラクレアは桜花賞③着もあるが、今のところはスプリンター寄りという印象だろうか。この2頭が単勝2倍台の2強ムードで、3番人気シュネルマイスターは離れた8.5倍という人気上位3頭でレースを迎えた。

そのスタートは、逃げ争いが予想された快足馬テイエムスパーダが出遅れ、1ハロンほどかけて巻き返してハナへ。注目のメイケイエールは少しくらい押っつけて出しても1200mであればひどく掛かることはなくなった、という春の印象通りで好位追走。ナムラクレアはその直後、③着に敗れた北九州記念よりは前につけて今度こそは、という態勢だった。

その他、各馬の動向を見ている間に馬群は3~4コーナー中間へ。前に目を戻すとメイケイエールが掛かり「気味」ですらなく、逆にこれ大丈夫か、と思った瞬間に池添騎手の手が激しく動きはじめた。そんなメイケイエールを外から交わしていったナムラクレアにも、一気に前を追うほどの勢いはない。

あれ、これ前が残るのか、と思った残り300m。逃げるテイエムスパーダを抜群の手応えで交わし去っていったのは、ベテラン7歳馬ジャンダルム。馬群から伸びたウインマーベルや、外目から強襲のナランフレグに最後は際どく追い詰められたものの、そのまま押し切って見事に初のG1タイトルを獲得したのだった。

そのジャンダルムの母は2002年のスプリンターズS優勝馬ビリーヴで、母子制覇を達成。レース前に見直すべき「過去のスプリンターズS」はこっちだったか。いや見直すまでもなく、新潟で代替された2002年のスプリンターズSはかなりの名勝負で、ビリーヴ、アドマイヤコジーン、ショウナンカンプの3強が④着以下を大きく離した大熱戦。G1で3強がこれほどガッチリぶつかり合う競馬もめったにないので、未視聴の方はぜひ一度ご覧あれ。

そんなビリーヴは引退後にアメリカで繁殖入りし、ファリダット(安田記念③着など)やフィドゥーシア(アイビスSD②着)を送り出してきたが、今回のジャンダルムが産駒によるG1初制覇だ。

3歳春(2018年)はクラシック路線を歩んだジャンダルム。その秋からはマイル、2020年秋から1400mと徐々に距離を縮め、昨春の春雷S(①着)以降は1200m一本。今年はオーシャンSでデイリー杯2歳S以来となる重賞制覇を達成した一方で、他の3戦はふた桁着順に終わっていたが、重賞を制したコースに戻ったここでビッグタイトルを獲得。そして手綱をとる荻野極騎手はそのオーシャンSがJRA重賞初制覇、そして重賞2勝目がこのG1・スプリンターズSということになった。

さて、そのジャンダルム。次はどこへ向かうのだろうか。1200m戦一本という流れからすると、思い当たるのは香港スプリント。母は2002年のスプリンターズS後に遠征して⑫着に敗れており、その雪辱を期し……という選択もあるかもしれない。

一方、1番人気に推されたメイケイエールは⑭着、そして2番人気のナムラクレアはじりじり伸びたものの⑤着という結果だった。これでJRAの平地G1では昨年の有馬記念を勝ったエフフォーリアを最後に1番人気が[0.1.1.12]14連敗。次の秋華賞は牝馬三冠がかかるスターズオンアースの1番人気が予想され、今度はさすがに話題にもなりそうだが、さてどんな結果になるだろうか。


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