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速攻レースインプレッション

統一王者に就いたイクイノックスが、来年の日本競馬を引っ張っていく

文/木南友輔(日刊スポーツ)、写真/チェスナット


有馬記念が今年も終わった。終結はまだまだ先になりそうだが、コロナとの戦いが落ち着きつつあった1年。日本馬、ホースマンたちは日本で、そして、世界で素晴らしいレースを見せてくれた

海外では2月のサウジアラビア、3月のドバイでルメール騎手、矢作厩舎が大活躍。中距離路線はシャフリヤールが日本のダービー馬として初めて海外のG1(ドバイシーマC)を制した。夏以降、中距離路線に限れば、シャフリヤールプリンスオブウェールズSに敗れ、凱旋門賞に挑んだ4頭の日本馬、タイトルホルダーディープボンドドウデュースステイフーリッシュが敗れた。

凱旋門賞は、レース前の大雨という厳しいコンディション、条件下ではあったものの、天皇賞・春宝塚記念を圧勝した古馬の大将格タイトルホルダー、ダービー馬で3歳世代を代表するドウデュースの大敗にショックを受けたファンは多かったのではないか。記者もそう。日本と欧州の馬場の違いは、その差が年を重ねるごとに大きくなっている。中距離の国内最強を決めるレースは天皇賞・秋なのか、ジャパンCなのか。それとも、高額賞金に一番の価値を見出すべきなのか。

海外の競馬に選択肢が増えたことで、日本馬が目指すべきレースを問われると、個人的にだが、意識のブレが生じている気がする。BCクラシックケンタッキーダービーを日本馬が勝つところが見たい。凱旋門賞も武豊騎手に勝ってほしい。オールウェザーでヴィクトワールピサが制している一方、ダートでは日本馬がまだ勝ったことのないドバイワールドカップ、新興のサウジCもある。一方で、レーティングを上げ、評価を上げてきた日本のG1が空洞化し、価値を下げてしまうのもいただけない。

ベルトが乱立する古馬中距離路線の統一王者を決めるのが、今年の有馬記念だった。

G1初挑戦だったヴェラアズールジャパンCを快勝。天皇賞好走組を中心に香港カップに遠征した日本馬5頭が地元のニューヒーロー、ロマンチックウォリアーに完敗という状況。凱旋門賞帰りのタイトルホルダーディープボンドが参戦し、秋の天皇賞を制した皐月賞&ダービー②着イクイノックスが参戦。ジャパンC覇者ヴェラアズールに、エリザベス女王杯完勝で覚醒したジェンティルドンナの娘ジェラルディーナ、3歳クラシック最終戦の菊花賞から転戦してきたボルドグフーシュジャスティンパレス。役者はそろっていた。

今週の中山の芝はとにかく上がりがかかった。タフな馬場で分があるのは、3歳馬か、それとも、菊花賞天皇賞・春を押し切っているタイトルホルダーか。スタート直後のタイトルホルダーは二の脚がつかず、ピタッと後続にマークされる形の逃げになった。向正面もなかなか後続との差を広げられず、4角で早めに他馬に進出される形となった。こうなると、厳しい。

中団の外を進んでいたイクイノックス手応えが全然違った。積極策で復活を期したエフフォーリアを一気に抜き去り、直線の坂の途中でセーフティーリード。最後は迫るボルドグフーシュに2馬身半差の完勝だった。

3歳のワンツー決着。記者が狙ったのは、もう1頭の3歳、◎ジャスティンパレス。5枠10番からマーカンド騎手が好位のインを奪いきったときは「おおっ」と思ったが、終わってみると、前に行った馬たちの方に厳しい展開になってしまった。

②着ボルドグフーシュは後方2番手を進み、2周目3角からのロングスパート。内枠の利を生かす競馬ではなかったが、馬のリズム、ポテンシャルを信じた福永騎手らしい好騎乗だったと思う。③着ジェラルディーナは痛恨の出遅れ。こちらは最後、外をまわさずに馬群をさばいて伸びてきた。2歳時、3歳時からレースでは高い潜在能力の一端を見せてきたが、この秋の本格化は明らか。まだ4歳。三冠牝馬ジェンティルドンナの娘が来年、どんな勲章を手に入れるのか楽しみだ。

初年度産駒からイクイノックスという大物を出したキタサンブラックは、さらに種牡馬としての評価を高め、来年は種付け料が500万円から1000万円に倍増することが伝えられている。ポスト・ディープ、ポスト・キンカメという時代にあって、今後のイクイノックスの走りが「キタサンブラック時代」を到来させる可能性はゼロではないだろう。もちろん、自身が種牡馬入りした後の可能性も含めて…。

統一王者を決める有馬記念を制したのはイクイノックス。その強さは圧倒的だったが、現在の日本の古馬中距離路線の全体的なレベル&層の厚さはどうなのか、という点をあらためて考える結果になった。有馬記念は負担重量で恵まれる3歳馬が強いレースで、3歳が強いということは順調に世代交代が進むということだが…。

イクイノックスを管理する木村厩舎は昨年、調教師が調教停止処分を受けた期間があった。それでも、昨秋はオーソリティジャパンCで②着に好走し、今春はサウジ遠征で結果を出した。皐月賞ではジオグリフイクイノックスのワンツーがあり、香港カップにはジオグリフで遠征した。

香港カップのレース後、シャティン競馬場の検量室前で木村師と話した。「遠征で結果は出ていませんし、申し訳なく思っています。ただ、厩舎スタッフは海外に挑戦することで、素晴らしい経験をさせていただきました。この経験を来年生かしたいと思います」イクイノックスダービーで②着に負けた直後、追い切り中に半兄ヴァイスメテオールが命を落とす事故もあった。その日の調教後、「助けてあげられず、命を落としてしまいました。申し訳ありません」と神妙に話す調教師の姿があった。

来年の日本の競馬界を、まずは先頭に立って引っ張っていくのはイクイノックス。目標がどこになるのかはわからないが、木村厩舎、ノーザンファーム、シルクレーシングの挑戦、それを応援するファンの熱気を伝えていきたい。


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