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速攻レースインプレッション

注目の勝ち方はレースぶりも数字も驚異的だった

文/浅田知広、写真/森鷹史


「えぇ……、あの位置から勝っちゃうの!?」と呆気に取られた、という話は後にするとして。牝馬クラシックの第1弾桜花賞である。

昨年はクイーンC②着以来だったスターズオンアースが制したこのレース。2018年のアーモンドアイ(前走シンザン記念①着)以降、5年連続で「前走トライアル以外」の馬が勝利を飾っている。牡馬三冠のひとつ目、皐月賞も昨年まで4年連続で同様の結果となっており、牡牝とも1冠目はレース間隔の開いた馬が勝ち続けているのが近年の傾向だ。

しかし。ある程度の賞金を持っている馬が、みんな間隔を開けて本番に向かおうとすればどうなるのか。当然、あまり賞金を持っていなかった馬がトライアルで多く優先出走権を獲得し、賞金順による出走のハードルは高くなってしまう。

それが今年の桜花賞で、エルフィンSを制していたユリーシャが出走馬決定順21番目(特別登録段階)で除外。当初は阪神JF②着のシンリョクカも除外対象となっていたが、回避馬が出たことで出走となった。

どうしても出たいならトライアルを使えばいいという話なのか、それともトライアルの優先出走枠を減らすべきなのか。あえて言うならば後者寄りかという筆者だが、たとえばトライアル③着馬が除外になり、夏の2歳ステークス②着馬が出走できればいいのか、と言われればクビを縦には振りがたい。みなさんはどうお考えだろうか。

ともあれ、今年の上位人気は「優先出走権持ち」ではなく、そんな「賞金順」を突破した馬たちだった。中でも単勝1.6倍の断然人気に推されたのは2歳女王リバティアイランド。アルテミスSは直線で包まれたのが響いて②着に敗れたが、前走の阪神JFは圧巻の差し切り勝ちだった。

大きく離れて8倍台でライトクオンタム(シンザン記念①着)が2番人気、ハーパー(クイーンC①着)が3番人気で続き、12.0倍の4番人気がドゥアイズ(クイーンC②着)と、ここまでが「非トライアル」組。トライアル組の最上位人気が、チューリップ賞③着で権利を取った1勝馬ペリファーニアだったというのも今年の流れの中では興味深い。

こうしたオッズからみても、一般的には「リバティアイランドがどんな勝ち方をするのか」が注目どころだったわけだが、冒頭に戻ってまさかこんな勝ち方をするとは、という話である。

1枠から6枠あたりまでの各馬が全体的に良い出脚を見せた中、内めでは唯一リバティアイランドが出遅れ。そのまま後方の内めで包まれ、外に出せた頃にはもう4コーナーも目前に迫っていた。コーナー通過順は「15-16」だったが、外を回った分もあり、直線に入ったあたりではシンガリになっていた場面もあったのではなかろうか。

しかも、前では2番手から抜け出そうとするコナコーストと、好位からこれを追ったペリファーニアが残りそうな雰囲気で、リバティアイランド以外の中団~後方の各馬は伸びあぐねていた。そんな展開を、リバティアイランドは大外から上がり32秒9の脚で一気に差し切った。

上がり3ハロンタイムやゴールでのタイム差から計算すると、勝ったリバティアイランドと②着コナコーストには、残り600地点で1秒4ものタイム差があった。2020年には後の三冠牝馬デアリングタクトが②着レシステンシアとの1秒4差を逆転した例もあるが、このときは重馬場でレースのラスト2ハロンは12秒6-13秒8も要していた。今年はこれが11秒3-11秒8。レースを見ても驚異的な勝ちっぷりだったが、この数字を見るとリバティアイランドがいかにとんでもない脚を使ったかがわかろうかというものだ。

もっとも、レース運びとしては決してベストではなかったことは明らかだろう。新馬戦でも後手を踏んでいただけに、再びこういうこともあり得ることは頭に入れておきたいが、もちろん、それでもまた勝つ可能性は十分すぎるほどにある。

そしてオークスへ向けては②着コナコースト、③着ペリファーニア、④着ハーパー、そして⑤着ドゥアイズまでが優先出走権を獲得した。賞金順では出走できなかったであろうペリファーニア、微妙なラインだったコナコーストが入ってきた。こうなると、例年なら問題ないはずの忘れな草賞優勝馬グランベルナデットがどうなるか気になるところで、この先のステップレースの結果や賞金上位馬の動向次第となりそうだ。


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