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弥生賞ディープインパクト記念(G2)
中山11R 芝2000m 15時45分発走
先週はCコースからAコースに替わった2回中山の開幕週とあって、完全に「内&前優位」の傾向でした。
今週は、土曜の芝(5・6・8・9・11R)はいずれも「稍重」で行われました。3~4コーナーの内側は泥が飛ぶシーンも目立ち、8R・4歳上1勝クラス(芝1600m)は、中団追走から最終4コーナーでは4番手の外に進出した1番人気ダイシンヤマトが伸びて4馬身差快勝。勝ち時計1分34秒8は多少掛かっている印象。
9R・潮来特別(芝2500m)は逃げたシュブリームがそれなりに飛ばしたこともありますが、中団追走から4コーナーで4番手に進出していた6番人気キントリヒが伸びて快勝。8Rと似たような「差し切り」で、内が圧倒的優位だった先週と比べると、差しが利き出しました。勝ち時計2分34秒9と多少掛かっていることもあり、多少パワー寄りの馬場。
日曜は引き続き好天予報で、一段乾いて「良馬場」まで回復すると思いますが、時計がやや掛かる傾向は続くとみます。ここ2年は「2分0秒台」で決着しましたが、今年は2分1秒台に落ちる可能性も。
過去10年の人気別成績
とにかく、上位人気馬が圧倒的に強いレースです。人気薄での勝利は重馬場だった2019年のメイショウテンゲン(8番人気)ぐらい。
2015年サトノクラウン、2016年マカヒキ、2018年ダノンプレミアムが無傷の連勝で弥生賞を勝っており、過去10年の優勝馬のうちで弥生賞以前のキャリア成績で掲示板を外したことのある馬は2020年サトノフラッグ(新馬戦⑥着)のみ。
また、上記3頭の無敗優勝馬を含め、2014年トゥザワールド~2018年ダノンプレミアムまでは5年連続で連対を外したことがない馬が優勝しています。王道のクラシック前哨戦だけに大敗を喫してしまう馬では正直厳しいのでしょう。
僕自身は「高配当狙い」が好きなのですが、弥生賞に限ってはロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、サダムパテックなど断然の1番人気に◎を打ってきています。頭数的にも落ち着くことが多く、本命党向きの重賞といえます。
ご存じの通り、本番の皐月賞は序盤からピッチが上がって、消耗戦になる傾向が強いです。それとは対照的に弥生賞は前半が緩く、後半が速い後傾ラップになるケースがほとんど。
2019年、2020年は重馬場だったこともあって、ほぼMペースで推移しましたが、過去3年の前半3Fラップ~後半3Fラップは以下の通りです。
過去10年のレース前後半のラップタイム
序盤のペースが緩いので、当然ながら「先行~好位組」が有利です。
優勝馬の過去10年の最終4コーナーの位置取りは、1番手1頭、2番手4頭、4番手2頭、5番手2頭となっています。最終4コーナー6番手以下で勝ったのは2016年マカヒキ(最終4コーナー8番手)だけ。この年はレース前半3F34秒3~後半3F35秒1の前傾ラップでした。
今年の想定ペースは「S~Mペース」で、全体的にはS寄りとみます。流れが緩くなれば、前に行ける脚や、ペースが落ちても折りあえる操縦性が大事になってきます。
過去10年の優勝馬10頭中、前走①着馬が7頭。
2019年メイショウテンゲン(前走・きさらぎ賞⑤着)、2021年タイトルホルダー(前走・ホープフルS④着)、昨年タスティエーラ(前走・共同通信杯④着)のように、前走敗戦から巻き返して勝ったケースは例外なく重賞に使われていて、掲示板(⑤着以内)は確保していました。
2020年サトノフラッグ、2022年アスクビクターモアは、中山1勝クラス①着(どちらも弥生賞と同じ中山芝2000m)からの優勝。中山芝2000mの経験は絶対条件ではありませんが、コースを経験しているのは大きな強みにはなります。
今年は典型的な逃げ馬は不在。逃げるのは鞍上・西村淳騎手の積極騎乗傾向から、シュバルツクーゲルでしょうか。アドミラルシップ、コスモキュランダはスタート次第の面があり、ダノンエアズロック、ニシノフィアンスあたりが2、3番手候補。その直後にトロヴァトーレ、シンエンペラー。いずれにしても道中の出入りは少なく、最後は決め手勝負となりそう。
有力馬の中では前走(1勝クラス)が後方からの追い上げになったファビュラススターの位置はポイント。捌きやすい頭数とはいっても、ある程度の位置は確保したいところでしょう。
弥生賞ディープインパクト記念(G2)
中山11R 芝2000m 15時45分発走
人気の◎トロヴァトーレから買う以上は①着固定。先週ほどの「イン有利馬場」ではありませんが、逃げ候補シュバルツクーゲルの粘り込みアリとみて②着欄に入れます。
中山11R 芝2000m 15時45分発走
目次
- 今年の馬場傾向
- 過去10年の人気別成績
- 弥生賞と皐月賞の違い
- 直近ステップからの好走パターン
- 今年の展開予想
- 予想印入り出走表
- 有力馬・気になる馬の評価(無印含め11頭を解説)
- 万哲の決断馬券(買い目)
【今年の馬場傾向】
先週はCコースからAコースに替わった2回中山の開幕週とあって、完全に「内&前優位」の傾向でした。
今週は、土曜の芝(5・6・8・9・11R)はいずれも「稍重」で行われました。3~4コーナーの内側は泥が飛ぶシーンも目立ち、8R・4歳上1勝クラス(芝1600m)は、中団追走から最終4コーナーでは4番手の外に進出した1番人気ダイシンヤマトが伸びて4馬身差快勝。勝ち時計1分34秒8は多少掛かっている印象。
9R・潮来特別(芝2500m)は逃げたシュブリームがそれなりに飛ばしたこともありますが、中団追走から4コーナーで4番手に進出していた6番人気キントリヒが伸びて快勝。8Rと似たような「差し切り」で、内が圧倒的優位だった先週と比べると、差しが利き出しました。勝ち時計2分34秒9と多少掛かっていることもあり、多少パワー寄りの馬場。
日曜は引き続き好天予報で、一段乾いて「良馬場」まで回復すると思いますが、時計がやや掛かる傾向は続くとみます。ここ2年は「2分0秒台」で決着しましたが、今年は2分1秒台に落ちる可能性も。
【過去10年の人気別成績】
過去10年の人気別成績
人気 | 着別度数 |
1番人気 | [3.4.1.2] |
2番人気 | [3.2.2.3] |
3番人気 | [2.0.2.6] |
4番人気 | [1.2.2.5] |
5番人気 | [0.0.1.9] |
とにかく、上位人気馬が圧倒的に強いレースです。人気薄での勝利は重馬場だった2019年のメイショウテンゲン(8番人気)ぐらい。
2015年サトノクラウン、2016年マカヒキ、2018年ダノンプレミアムが無傷の連勝で弥生賞を勝っており、過去10年の優勝馬のうちで弥生賞以前のキャリア成績で掲示板を外したことのある馬は2020年サトノフラッグ(新馬戦⑥着)のみ。
また、上記3頭の無敗優勝馬を含め、2014年トゥザワールド~2018年ダノンプレミアムまでは5年連続で連対を外したことがない馬が優勝しています。王道のクラシック前哨戦だけに大敗を喫してしまう馬では正直厳しいのでしょう。
僕自身は「高配当狙い」が好きなのですが、弥生賞に限ってはロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、サダムパテックなど断然の1番人気に◎を打ってきています。頭数的にも落ち着くことが多く、本命党向きの重賞といえます。
【弥生賞と皐月賞の違い】
ご存じの通り、本番の皐月賞は序盤からピッチが上がって、消耗戦になる傾向が強いです。それとは対照的に弥生賞は前半が緩く、後半が速い後傾ラップになるケースがほとんど。
2019年、2020年は重馬場だったこともあって、ほぼMペースで推移しましたが、過去3年の前半3Fラップ~後半3Fラップは以下の通りです。
過去10年のレース前後半のラップタイム
年 | 前半3F | 後半3F |
2021年 | 36秒7 | 34秒5 |
2022年 | 36秒2 | 35秒2 |
2023年 | 35秒9 | 35秒0 |
序盤のペースが緩いので、当然ながら「先行~好位組」が有利です。
優勝馬の過去10年の最終4コーナーの位置取りは、1番手1頭、2番手4頭、4番手2頭、5番手2頭となっています。最終4コーナー6番手以下で勝ったのは2016年マカヒキ(最終4コーナー8番手)だけ。この年はレース前半3F34秒3~後半3F35秒1の前傾ラップでした。
今年の想定ペースは「S~Mペース」で、全体的にはS寄りとみます。流れが緩くなれば、前に行ける脚や、ペースが落ちても折りあえる操縦性が大事になってきます。
【直近ステップからの好走パターン】
過去10年の優勝馬10頭中、前走①着馬が7頭。
2019年メイショウテンゲン(前走・きさらぎ賞⑤着)、2021年タイトルホルダー(前走・ホープフルS④着)、昨年タスティエーラ(前走・共同通信杯④着)のように、前走敗戦から巻き返して勝ったケースは例外なく重賞に使われていて、掲示板(⑤着以内)は確保していました。
2020年サトノフラッグ、2022年アスクビクターモアは、中山1勝クラス①着(どちらも弥生賞と同じ中山芝2000m)からの優勝。中山芝2000mの経験は絶対条件ではありませんが、コースを経験しているのは大きな強みにはなります。
【今年の展開予想】
今年は典型的な逃げ馬は不在。逃げるのは鞍上・西村淳騎手の積極騎乗傾向から、シュバルツクーゲルでしょうか。アドミラルシップ、コスモキュランダはスタート次第の面があり、ダノンエアズロック、ニシノフィアンスあたりが2、3番手候補。その直後にトロヴァトーレ、シンエンペラー。いずれにしても道中の出入りは少なく、最後は決め手勝負となりそう。
有力馬の中では前走(1勝クラス)が後方からの追い上げになったファビュラススターの位置はポイント。捌きやすい頭数とはいっても、ある程度の位置は確保したいところでしょう。
【予想印入り出走表 】
弥生賞ディープインパクト記念(G2)
中山11R 芝2000m 15時45分発走
馬番 | 印 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 |
1 | アドミラルシップ | 牡3 | 57 | 戸崎 | |
2 | レッドテリオス | 牡3 | 57 | 津村 | |
3 | △ | シュバルツクーゲル | 牡3 | 57 | 西村淳 |
4 | エコロレイズ | 牡3 | 57 | 横山和 | |
5 | ○ | シンエンペラー | 牡3 | 57 | 川田 |
6 | ◎ | トロヴァトーレ | 牡3 | 57 | ルメール |
7 | △ | コスモキュランダ | 牡3 | 57 | M.デムーロ |
8 | △ | シリウスコルト | 牡3 | 57 | 三浦 |
9 | ☆ | ダノンエアズロック | 牡3 | 57 | キング |
10 | ▲ | ファビュラススター | 牡3 | 57 | 横山武 |
11 | ニシノフィアンス | 牡3 | 57 | 内田 |
【有力馬・気になる馬の評価】
◎⑥トロヴァトーレ
弥生賞と同じ中山芝2000mの新馬戦と葉牡丹賞を快勝。特に葉牡丹賞は残り1F付近で前が狭くなりながら、自らこじ開けて突き抜けました。道中の制御の高さや勝負根性は際立っていて、舞台適性を感じます。対戦相手が微妙との見方もあるようですが、葉牡丹賞の「2分0秒4」だけ走れば、例年ならば弥生賞優勝に届きます。父レイデオロも重賞初制覇は中山芝2000mのホープフルS(当時はG2)でした。パワーも兼備しているので、多少重めの芝もOKでしょう。重賞組に対して、能力は劣らないとみて推します。○⑤シンエンペラー
ホープフルS(②着)は全体的に速い流れの中、好位で運んで、直線では一瞬先頭に出る場面も。勝ち馬レガレイラの強襲に屈しましたが、底力は十分に示しました。2走前の京都2歳S(①着)も直線で前が詰まりながら差し切った内容は1分59秒8の時計も含めて、光っていました。ただ1点、懸念材料は最後の直線でフラフラする面が見られるところ。まだ遊び遊び走っているのでしょうか? 京都2歳S→ホープフルSが持続力勝負になった分、今回は一瞬の決め手勝負になった時には課題となりそうな気がしています。ただ将来性、潜在能力は、トロヴァトーレと比べて互角以上だと思います。▲⑩ファビュラススター
新馬戦は稍重の東京芝1600mで快勝。距離を延ばした前走も中山芝2000mで「1分59秒8」の好時計で勝利。直線で内にモタれる面を見せた点は気になりましたが、馬自体はかなり力がついて、スケールアップを感じました。何より、時計の裏付けが光ります。半面、前走は最後に詰め寄られたので、距離は1600~1800m辺りがベストなのかもしれません。それでもラスト1F11秒1で伸び切った最終追いは抜群でした。人気的にも狙い目でしょう。☆⑨ダノンエアズロック
前走・アイビーS(①着)が、超スローの2番手から上がり3F32秒7の強靭な切れ。もっと軽い芝レベルなら、◎まで考えていました。ただ、金曜までの雨の影響が残って、馬場はタフ寄り。母系を考えると、ベストは1600mや1800mあたりと考えられ、2000mへの延長は微妙かもしれません。ホープフルSではなく、こちらを選んだ選択がどう出るか? ちなみに弥生賞の過去10年で「前走が10月以前」だった馬の優勝はありません。乗り替わりも含めて、課題は同居しています。△③シュバルツクーゲル
先週の「インベタ馬場」だったら、大チャンスだったかもしれません。序盤の機動力に加えて、東スポ杯2歳S(②着)は厳しい流れの中、粘りました。決め手勝負になった時に不安はありますが、4コーナー手前から後続を離すような形が取れれば脅威。△⑦コスモキュランダ
ここ2戦はスタートに課題は見えますが、前走(1勝クラス・②着)でファビュラススターに迫った末脚は光りました。Sペースで位置を取れない恐れがあるのは気になりますが、うまくゲートを出て、好位で運べれば、パワー寄りの芝がマッチする可能性も。③着の穴候補です。△⑧シリウスコルト
使うごとに増え続ける馬体重は成長の証。ホープフルS(⑥着)はかなり前進気勢が強くて、完全に制御はできていないようでしたが、それでも内から伸びて見せ場十分。本質的に2000mは長いかもしれませんが、中間の調教にさらなる成長が感じられ、③着なら十分あるかも。①アドミラルシップ
ゆりかもめ賞は負けすぎ(⑦着)の印象です。ホープフルS(④着)は脚を温存してうまく後方から内を伸びましたが、当時の位置取りだと弥生賞は厳しいでしょう。今回は見送り。②レッドテリオス
不良馬場で外を回して勝った新馬戦は上々でしたが、いきなりここへの参戦は厳しいのでは。③エコロレイズ
未勝利戦がクビ差勝ち。前走の1勝クラス(④着)でここに出ているファビュラススター、コスモキュランダに完敗では荷が重いでしょう。⑪ニシノフィアンス
2戦目で挑んだ京成杯(⑤着)の内容は悪くないですが、今回の相手は京成杯よりも数段上と見ています。見送りでしょう。【万哲の決断馬券】
人気の◎トロヴァトーレから買う以上は①着固定。先週ほどの「イン有利馬場」ではありませんが、逃げ候補シュバルツクーゲルの粘り込みアリとみて②着欄に入れます。
券種・買い方 | 組み合わせ・点数 |
---|---|
3連単 フォーメーション |
各500円(計10,000円)
|
合計 | 10,000円 |
ご注意
レースに関する情報は、主催者発表のものをご確認ください。また、勝馬投票券の購入はお客様のご判断の元で行ってください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
記事の配信(発売)後は、出走取消・除外・騎手変更などがあっても、原稿の差し替え等は基本的に行っておりません。あらかじめご了承ください。
小田哲也 プロフィール
スポーツニッポン新聞社記者。コラム「万哲の乱」担当。2015年には宝塚記念で3連単52万馬券を当てるなど、万馬券メーカーであることから「万哲」という愛称で競馬ファンに親しまれている。2004年天皇賞・春のイングランディーレ(10番人気)、2009年天皇賞・春のマイネルキッツ(12番人気)、同年菊花賞のスリーロールス(8番人気)など長距離G1の本命馬激走多数。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」パドック解説を担当中。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。
【予想スタイル】
まず重視するのは好走した時の最大パフォーマンス。極論すれば、条件に合わない距離、競馬場、馬場状態、あるいは展開等での凡走は無視してOK。着順タイプは常に善戦型より、三振か本塁打か?の「1着型」を好んで狙う傾向あり。京都、阪神と馬券相性が良く、中山はダート1200メートルがとにかく好き。