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西塚助手

薬物の報道については、その内容を見て判断してほしいんです


先日、7月29日の岩手競馬に出走した馬が禁止薬物検査で陽性を示したことが報じられました。

我々も、馬から禁止薬物や規制薬物が検出されたという話を年に数回耳にしますが、今回はちょっと驚かされました。検出されたのがボルデノン、つまりアナボリックステロイドという筋肉増強剤だったからです。

今回は刑事事件になっていて、どのような経緯で摂取されたのかはまだ分かっていません。管理する側ではなく、外部の人間が故意に混入させた可能性もあると言われていることを前提として、聞いていただければと思います。

我々も、禁止薬物についての講義を受けることがあります。そこでは"禁止薬の中でも、筋肉増強剤を使用することの罪の重さは、他の薬物に比べても違う"とさえ言われます。

ちなみにJRAだと、アナボリックステロイドが検出された馬は6ヵ月間出走できません。今回検出された馬は失格になり、賞金の返還が行われました。処分の厳しさからも、重大さが分かっていただけるのではないでしょうか。

正直なところ、今回のニュースに、僕なんかは「えっ、まだアナボリックステロイドがあるの?」と思ったんです。実際、禁止薬物に指定される前には厩舎でも頻繁に使われていたそうです。ベテランの厩務員さんから聞いたところ、腰やトモが甘い馬などに投与したり、レースで能力を発揮させるためにも使用されていたようです。

しかし、禁止薬物に指定されて以降はもちろん使われていませんし、今では存在を耳にすることがないくらいになっています。厩舎関係者たちの中にも、絶対使用してはならないという意識が浸透していると思います。

一方、今の時代に検出される薬物は、ほとんどがニコチンやカフェイン、または馬が使う麻酔薬や痛み止めに含まれる成分です。

例えば、2年前の東京大賞典に出走したアポロケンタッキーから検出されたのは、デキサメタゾンという規制薬物でした。これは我々の世界ではポピュラーな消炎鎮痛剤に含まれる成分で、他人事ではないというか、自分たちにも起こり得る話でした。

想像するに、注射した日を間違えてしまったか、何か理由があって、薬が残留してしまったんだろうと思うんです。

また、麻酔薬に含まれる成分が検出されることも多いです。これも、ショックウェーヴという治療器具を使用するときに用いられますので、日数の計算違いが起これば検出されることになります。

それ以外だと、カフェインやニコチンはコーヒーやたばこなど、人間が日常的に摂取するものに含まれています。これらは、何らかの理由で飼い葉に入ってしまうケースがあり得るんです。

ただ、それでもあってはならないことですし、我々も細心の注意を払っています。それでも人間がやることですから、全くゼロにはなかなかならないのが現実ではないでしょうか。

今回の話で皆さんにお伝えしたいのは、競馬で薬物が検出されたというニュースが流れると、ネット上ではすぐに「ドーピングだ」などと書かれてしまいます。

確かに、禁止薬物、規制薬物はその名の通り、検出されてはダメなものです。

アナボリックステロイドは、能力の向上以外の目的で投与されることはありません。今回の件はどうか分かりませんが、もしそれが意図的に投与されたとしたら、別の目的がある薬の成分とは違って、通常の意味で使われる"ドーピング"でしょう。

しかし一方で、同じ禁止薬物や規制薬物であっても、治療の上で必要な薬や、競走能力に影響を与えないとされているものがあるのも事実なんです。そういった薬であっても、我々は細心の注意を払って使用しています。

このコーナーを読んでいる皆さんは、薬物についての報道を知った時、その内容をよく見ることで判断していただければ、と思うんです。

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