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西塚助手

“降級制度”の廃止とクラス分けの変更は、競馬を変える可能性がある


来年から施行される大きなルール上の変更点として、先週お話しした"スリーアウト制度"ともうひとつ、大きなものがあります。ご存じの方も多いかもしれませんが、競走馬のクラス分けについてです。

まず、今年までは4歳の夏競馬開始時点で平地収得賞金を半分にする、いわゆる"降級制度"がありましたが、これを来年からは半分にしなくなります。つまり、降級がなくなるということです。

また、これまでは条件馬のクラス分けとして500万下、1000万下、そして"準OP"とも言われる1600万下というクラスがありました。これがそれぞれ500万下1勝クラス1000万下2勝クラス1600万下(準OP)3勝クラスという呼称になります。

さらにOPクラスにも変更があって、これまでにはなかった"リステッドレース"が行われることになります。これまではOPのレースは重賞とOP特別の2種類がありましたが、来年夏からは格が高い順に重賞、リステッドレース、OP特別と分類されることになるわけです。

そのリステッドレース、海外競馬に詳しい方はご存じかもしれませんが、日本では"準重賞"と表記されることがあります。簡単に言うと、重賞に次いで重要な格付けのレースで、セリ名簿でも重賞とリステッドレースの勝ち馬は太字で記載されるんです。

なぜこのようなクラス分けをすることになったか。また、我々現場の対応についてもお話ししておきましょう。

まず降級制度ですが、降級が行われた直後は高条件の馬が減ることにより、夏競馬やローカルで高条件のレースが組みづらくなる。また、高条件のレースも少頭数になる。そして未勝利戦や500万、少頭数のレースは売り上げが伸びづらい、という点がJRAにとっての問題だったようです。

それが、来年からは降級がなくなることによって、上から下に降りてくる馬がいなくなる。すると、上のクラスに馬が溜まることになります。

それに対して、番組編成上どうするか。まずは500万下(1勝クラス)のレースを減らして、1000万下(2勝クラス)を徐々に増やしていきます。そうして1000万下(2勝クラス)の馬たちが増えると、今度は準OP(3勝クラス)の番組を増やすという対応になるでしょう。

やがて準OP(3勝クラス)のレースが増えれば、自然とOP馬が増えます。それに対応をするために、OPのレースが増える、という流れになることが予想されます。

いままでは、準OPを勝った馬がOP馬という扱いでした。今後は3勝クラスを勝った馬たちがOP馬となるわけですけど、原則として、3勝クラスを勝った馬は、まずはOP特別に出走できるようになる、という感じで理解してもらえれば良いかと思います。

もちろんリステッドや重賞でも、フルゲートでなければ出走できるわけですが、今後JRAとしては、基本的にOP特別を勝った馬やリステッド勝ち馬が、重賞に優先的に出走できるようなクラス分けにしたいようです。

OPをより細かく分類することで、重賞そのものの価値を高めるとともに、OPクラスの中でも馬を分散させる意図がある、と僕は理解しています。

最初はOP特別の馬が溢れ返ってしまう可能性はあるかもしれませんが、空きがあれば重賞にも出走できるでしょうから、そのあたりは徐々に解消されていくのではないでしょうか。

ただ、除外の取り方など、まだ詳細まで決定していないようですので、僕としても未知数の部分があります。とはいえルールが変更されることは間違いないので、それに現場も対応していかなければなりません。

具体的な話をすれば、3勝クラスを勝ったばかりの馬がいたとき、条件の合うOP特別がなくて、リステッドならあるとします。フルゲート割れするようならばいいのですが、除外の可能性があると調整も難しくなります。ですから、馬の状態と状況の見極めがより重要になっていくはずです。

前回お話しした"スリーアウト"と同様に、これらクラス編成の変更によって、日本の競馬そのものが変化していく可能性を持つと思います。

先ほども触れましたが、これまでは未勝利、500万下のレースはあまり売れないと言われていました。その中で槍玉に挙がっていたのが"降級制度"でした。

これまでの制度だと、降級した馬は上のクラスで走っていたわけですから、下のクラスに行けば上位に入る可能性が高くなります。頭打ちになった馬が賞金を獲得できる可能性が高くなるという点で、馬主の方々の保護という面では、降級制度はあった方が良いとは思います。

ただ、降級制度の廃止によって、上のクラスのレースが充実するはず。そのことで売り上げアップが見込め、賞金を増やしやすくなる、という可能性はあるでしょう。

僕としては、とにかく競馬が盛り上がってもらえることが一番だと思っています。ファンの皆さんも最初は慣れが必要かもしれませんが、上手く対応していただければ、と思います。

※次回更新は12月29日(土)を予定しています。

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