独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

西塚助手

【対談・青木孝文師③】敬意や尊敬は、強要からは生まれない


青木孝文師…以下[青]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]調教師として、成績ももちろん大事です。でも、それと同じくらいに"思い"も大事だと思うんです。ブッチャけて言わせていただくと、勝ち星を積み重ねることだけで、お客さんや馬主さんが満足できるか、楽しみを感じられるかというと、それは必ずしも100%イコールではなかったりするんですよね。僕自身は、西塚厩舎のときにそういう感覚を覚えたことがありました。

[青]そこも考えないとダメだと思います。確かに、馬主さんにとって勝ち星を挙げることは絶対に大事なんですけど、ただ勝てばいいかといえば、決してそうではないところがあるんですよね。

[西]とにかく勝てばいいという馬主さんもいらっしゃいます。ただ一方で、それだけではなくて、人間的な部分でのしっかりとした繋がりを求めている馬主さんもいるんですよ。実際、西塚厩舎はそういう馬主さんしかいなかったかもしれません(笑)。そうじゃなかったら、僕みたいな馬もよくわかっていない若造が、調教師の代わりにする説明を相手にしないですよね。しかも、その中にはいわゆる有名馬主さんに負けないくらいの資産を持っている方々がいらっしゃったりするんですよ。所有馬の頭数、値段、血統だけが馬主さんの実力ではない、ということなのかもしれませんけどね。

[青]確かにそういうところはあるかもしれません。本来は、すべてのお客さまのニーズに応えていくべきなんですよね。

[西]僕自身はそう思いますよ。あ、話は変わりますけど、青木先生はよく角馬場に来ていらっしゃいますよね。個人的には調教師の中で一番か二番くらいに多いように思います。自分では乗られていないので、なるべく近くで感じたい部分があるのかな?と思うんですけど。

[青]いや、万歩計の数値を増やしたいんです(笑)。今日も2万歩歩いているんです。

[西]そういうこともあるのでしょうけど(笑)、あそこまで角馬場に来る調教師さんって、いませんよ。

[青]自分の厩舎のスタッフだけでなく、他の厩舎の人たちとも話がしたいんですよね。あとは塚さんが言ったように、スタンドで双眼鏡で見ているよりも、馬の雰囲気などを感じたい、というところもあります。入る時などは確認しますけど、手前を替えたところなどの細かい部分はスタッフに確認すればいいですから。スタッフたちが本当のことをしっかりと伝えてくれることは、自分自身が一番よく知っていますしね。引き上げてきたときの率直な感想を聞いて、自分が見て、感じた雰囲気と擦り合わせるんです。実際にそうした方が、馬主さんに報告するときにもしっかりと伝えられるんですよね。



[西]分かる気がします。追い切りの息づかいなども、そうですよね。

[青]実際の息づかいはもちろんですけど、引き上げてきたときの雰囲気やスタッフの言葉も、判断する上で重要なんです。例えば、出掛けは硬さがあるけど、すぐにほぐれるから大丈夫、という馬がいます。もちろんそれも馬主さんに伝えるんですけど、傍にいるからこそ、よく分かるんですよ。ハッキリ言って、見ているだけで完璧に馬の状態を把握しようとしてもなかなか難しいです。

[西]藤沢和雄先生はよくスタンドの外に出て、コース間近で追い切りをご覧になっていますよね。でも、角馬場に関しては、青木先生は一、二番だと思いますよ。

[青]いや、他にもたくさん先生方がいらっしゃっていますよ。ただ、皆さんと話を多くしているのは、確かに私が一番かもしれません(笑)。

[西]それは間違いないですよ(笑)。確かに調教師になられて3年が過ぎようとしていますけど、持ち乗り時代と全く変化することなく、みんなとお話をされていますよね。それは凄いと思います。

[青]まだ歩いているけど、変わらなく太ってるね、とか言われていますよ。

[西](笑)。でも、そこが変わらないのは本当に凄いと思いますし、なかなかできることじゃないと思います。

[青]ウチのスタッフたちも、もちろん気を遣ってくれます。あとは、調教師になってから、気を遣ってくれるようになった人たちもいます。それはそれで素直に対応させていただきますけど、周りが変わる必要もないと思うんですけどね。

[西]調教師は経営者という立場にもなりますから、調教師側が変わらざるを得ない部分もあるんでしょうけどね。経営者として、舐められてはいけないという立場的な部分とか。でも確かに、相手が接し方を変える、ということはあると思います。

[青]自分自身ではそうではないと思っていますけど。恐らく、皆さんの方はそうなんじゃないか、と思います。

[西]制度的な理由もあるのかもしれないけど、人間同士ですから、一般社会と同じでいいと思うんですよ。調教師の先生たちは経営者としての責任と義務があって、従業員はその立場での責任と義務がある。そのなかで、それこそ青木先生が言う"お互いさま"の気持ちで頑張っていけばいいと思うんですよ。



[青]本当にそう思います。調教師が従業員に対して、指示はしても威張る必要はないですし、逆に従業員も調教師は経営者であり、上司である以上は、指示された仕事をしっかりやらなければならないわけで、そのなかでお互いが思いやりを持って、一緒に頑張っていくことが大事なんです。

[西]社長さんが、会社の外で『俺を誰だと思っているんだ』と言ってしまった、というような失敗談を聞いたことがあります。でも、それは通用しないんですよね。競馬の世界でもそうで、有名な調教師の先生でも、競馬を知らない人だったら『アンタ、誰?』と笑われてしまいます。

[青]でも今は、そういう人っていないんじゃないですか? 威張ったり、従業員に対して高圧的な態度で接したり、いまで言うパワハラをしても、何も生まないということはよくわかっています。ですから、いい意味で変わらないように、ということは意識していますよ。みんなに話しかけられる調教師でなければならない、と思っています。本当の敬意とか、尊敬というのは、強要からは生まれません。それは自分の言動と行動から人が判断するものであって、お互いが付き合いながら、認め合わなければ絶対に生まれないと思うんです。

[西]間違いなくそうだと思います。

(※次回へ続く)

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!

TOPページに戻る