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西塚助手

アーモンドアイのように、直前追い切りで騎手が乗る意味とは


先週の天皇賞・秋アーモンドアイが1番人気に応えて勝利し、史上初となる芝G1・8勝目を挙げました。

そのアーモンドアイは同じ美浦(国枝厩舎)所属ということで、僕も攻め馬で見かけることも多いんです。特に、Aコースで乗られるときに一緒になる機会が多いんですが、コースに入っていくときに激しく感情を出す馬なんですよね。

暴れながら馬場に入っていく感じではないので、たぶんそこで待っていると、落とされてしまう危険性があるんじゃないかと。今回のレース前も先出しされていたと思うんですけど、その様子を見ていて、もし僕が乗っていたら落とされてしまうかもなあ、と思っていました。

でも、そのときに見せる身のこなしや、今回のレースでも直線で抜け出してくるときの身体の使い方に、アーモンドアイの身体能力の高さが表れています。それが強さの源泉なんでしょうね。

そんなアーモンドアイの強さが際立った天皇賞・秋でしたが、僕個人としては、各馬の“追い切り"が気になったんですよ。

新聞をお持ちの方はご覧いただければ分かると思うのですが、今回の出走馬のうち、レースで騎乗する騎手が最終追い切りにも乗っていた馬が何頭かいました。アーモンドアイもそうですが、こういったケースは、特にここ数年で増えているように思います。

同じように騎手が追い切りに乗るのであっても、例えば大久保洋吉厩舎の馬に吉田豊さんが乗るとか、いまで言えば矢作厩舎の馬に所属の坂井瑠星騎手が乗ることとは、意味合いが違ってきます。

皆さんの印象として、直前追い切りに騎手が乗った方が仕上がりも良くなり、気合いも乗る、と思っている方も多いのではないでしょうか。でも、個人的には、どんなケースでもそれがベストとは言えないと思うんですよ。

レースで乗る騎手が追い切りに騎乗する理由として多いのは、その馬のクセや感触を確かめてもらいたいケースです。もうひとつは、レースに向けて気持ちを乗せたい、という時にも依頼することがあります。

騎手出身の助手は別として、現役で乗っている騎手は僕たちのような助手しか経験していない乗り手よりも格段に上手です。ですから、馬への影響力もとても大きく、期待する効果を得られる可能性も高くなりますよね。

そこで気をつけなければならないのが、効果がありすぎる危険性もあるということです。つまり、騎手が乗ることで想定以上に動いてしまう、あるいは気持ちが乗りすぎて、落ち着きをなくしてしまうことです。

我が尾関厩舎の例を挙げると、サクラゴスペルは当該週に騎手が乗ると気持ちが乗りすぎてしまう傾向があったんですよね。

ですから、もし騎手を乗せるのであれば、レースの当該週ではなく、1週前に乗ってもらうという選択肢が出てきます。今回の天皇賞だと、フィエールマンがそうでした。個人的には、特に馬のテンションの面で、当該週に騎手を乗せるかどうかは慎重に考えるべきだと思っています。

そこでアーモンドアイですが、直前追い切りでルメール騎手が乗って、勝利を収めました。それは陣営が考えて出した結論で、最高の結果がついてきたわけです。

一方で、自厩舎の馬の直前追い切りに騎手が乗って勝ったとしても、それがベストだったのかどうか、改めて精査するのがプロだと思います。ですから、前回は直前追い切りに騎手が乗っていたのに、今回はそうじゃない馬を見つけたら、陣営はそうする方が良いと感じた理由があるんだろうな、と思っていただきたいんですよね。

そういった目で調教欄を見ると、またひとつ競馬が面白くなるんじゃないでしょうか。

話は変わりますが、今回の天皇賞でもうひとつ印象に残ったのが、ウインブライトと松岡さんのコンビ復活でした。

今年のはじめ、松岡さんが骨折というアクシデントに見舞われたとき、僕が病院に荷物を持っていったんですよね。それから半年の間に手術を繰り返し、厳しいリハビリに耐えて、“ウインブライトに再び乗りたい"という思いで頑張っていました。

ウインブライト自身も休み明けということもあり、勝つことはできませんでした(10着)が、人馬ともに頑張る姿に、僕もこみ上げるものがありました。

松岡さん自身、歩く様子などを見ていると、まだ100%ではないはずです。それでも、本人の『魂を込めた仕事がしたい』というコメントの通りで、これから良い仕事をしてくれることを期待したいですね。

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