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西塚助手

土曜福島メインの返し馬で見せた、横山典騎手の“凄さ"とは


先週から福島、小倉、函館が開幕して、夏競馬本番というムードになりましたね。僕も、週末は所属する尾関厩舎の馬に帯同して福島に行ってきまして、土曜日のメインレース(テレビユー福島賞)をアカノニジュウイチで勝つことができました。

前提として、アカノニジュウイチという馬について話をさせていただくと、なかなかクセが強くて、尻っ跳ねがすごく、競馬場でも返し馬から引っかかる馬なんですよ。

ロデオマシーンをイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんが、実際の馬はあんなものではありません。実際、人間が乗った状態で尻っ跳ねを繰り返されると、簡単に落馬してしまうんです。

そのような馬に対処する方法のひとつとして、引っかかるくらいの勢いで走らせる、ということがあります。もし自分がそういう馬にウッドチップやダートで乗ってくるように言われたら、間違いなくそういう対応をします。アカノニジュウイチはそういう馬なんです。

今回レースで乗っていたのは、これが6回目の騎乗となる(横山)ノリさんでした。なので、以前からこの馬のことを知っているノリさんがどうするのか、跨がるところから返し馬まで、傍らで見ていたんです。

というのも、現在の福島競馬場は先日の地震の影響により、お客さんのエリアが復旧工事中ということで、無観客競馬になっています。普段より刺激を受ける要因が少なく、またトレセンと違って周りにいる馬の数が少ない状況の中で、ノリさんがどうやって返し馬をするのか、すごく興味があったんですよね。

最初は馬場入りです。ノリさんはまず馬にハミをかけて、頭を下げさせながら馬場に入り、そのままの状態で内ラチ沿いにダクを踏ませて、ゴール板に向かっていきました。

その行動がどのような意味を持つのかというと、馬と約束事の確認を行いつつ、馬自身に対して我慢をさせることで、エネルギーを温存させる。そのことを馬にも理解させたからこそ、大人しく頭を下げてダクを踏むことができた、というわけです。

そのようにしてゴール板のところまで来ました。そこで、僕は反転してキャンターに降ろしていくんだろうな、と思っていましたが、ノリさんはそうしませんでした。外ラチまで頭を下げさせた状態のまま、本当にじっくりとダクを踏み、そこから本当に絶妙な速度で、返し馬に入っていったんです。

その一連の流れは、いつも返し馬から引っかかるアカノニジュウイチとは思えない、まさに人馬一体という感じでした。

人間が馬とコンタクトをとる方法は、おもに人間が持つ手綱と、それに繋がっているハミです。ハミにもいろいろ種類がありますが、それだけハミというのは微妙なもので、その使い方や指示の出し方こそが、乗り手の技術というわけです。

ここまで話したことで察していただけると思いますが、返し馬というのは、ただのウォーミングアップではありません。人と馬との決まり事について、最終確認をする場でもあるんです。

正直なところ、僕はノリさんが見せた一連の行動について、本当に凄いなあ、という感想しか出てきませんでした。僕はレースに乗ったことがないので、レースにおける技術は分かりませんが、今回のことについてはその凄さが分かるんですよ。レースでも鮮やかな末脚を見せてくれましたが、正直なところ、僕が印象に残ったのはその前の返し馬だったんです。

かつては全国リーディングを争うほどの存在だったノリさんも大ベテランの域に入り、勝ち鞍は以前ほどではありません。先週もアカノニジュウイチを含めて土日で3鞍だけの騎乗でしたが、その技術はまだまだ錆びることがありません。

そして何より、このコーナーを読んでいる方はお分かりいただいていると思いますが、騎手の技術の高さが勝ち星の数に直結するわけではないんですよね。そのことを、改めて痛感させられた週末でした。

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