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西塚助手

意外と知られていない? 調教時計の正しい見方とは


すでに新聞などで報道されているので、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、美浦トレセンでは7月27日(火)からウッドチップコースにおける調教タイムの自動計測が開始されました。

皆さんが予想する時に、調教タイムを気にされる方もいらっしゃると思います。そういう方たちの参考にもなると思うので、調教タイムをどう見るべきか、この機会にお話ししたいと思います。

これまで、新聞などに載る調教タイムは坂路のみが自動計測でした。ウッドチップ、ポリトラックなどのフラットコースは、新聞社の方々がストップウォッチを使って手動で計測してくれたものが掲載されていたんです。

ただ、手動だとどうしても誤差が出るということもあり、僕たち調教助手の多くは、メトロノームを装着して騎乗することで、時計的な誤差をなくすように努めています。このあたりは、以前お話ししましたね(記事はこちら)。

実際、メトロノームを使って坂路で乗ると、自動計測されたタイムとだいたい一致するんです。遅いと思ったのに速くなる、あるいはその逆というのも圧倒的に少なくなっているんですよね。逆に、予想以上に速くなったり、遅くなっているときには体感として分かるものなんです。

そんな中、ウッドチップでも自動計測が始まりました。僕も実際に乗ったのですが、体感として、以前と同じ感覚で乗っていると、直線のタイムは手動で計測されたタイムより速くなっているんじゃないかと感じたんです。

自動計測が行われる前は、たとえばこちらはハロン17秒で行ったつもりが、18秒と言われることが多かったりしたんです。その時は、僕が数え間違えたのかな、と思っていたんですよ。

しかし、自動計測となってからは、見事に時計ひとつくらい速くなりました。つまり、メトロノームの計測や僕たちの体感が合っていた、ということなのでしょう。

ところで、ウッドチップコースで最後の3ハロンの調教時計が13-13-12という馬がいたとします。この場合、最後の1ハロンが1秒速く、伸びていると思われるかもしれませんが、そうでもないんですよ。

というのも、コース形態を考えると、最後の1ハロンが速くなるのは当たり前のことなんです。

たとえば、ウッドチップコースで4ハロンを追い切る場合、3コーナーの手前から出ていって、3コーナー、4コーナーとカーブがふたつ続き、直線に入っていきます。

そして、通常の調教なら、コーナー部分で内ピッタリを走ることはあまりありません。ですから、直線部分の方が走る距離が短くなるわけです。

つまり、最後の1ハロンの時計は、速くなっていて当たり前ということなんです。たとえば、最初の1ハロンを15秒で入ったとして、同じスピードで直線に向くと、14秒くらいになるはず。馬場の六分どころを半マイルから15、14、13、そして終い伸ばして、ということになると、最後に11秒台が出るのはむしろ自然になってくるでしょう。

逆に言うと、たとえばウッドチップコースで4ハロンの調教時計が15-15-15-15だったとすると、最後は乗り手が引っ張っているか、馬がバテてしまっているのではないか、と考えられるということです。

一方で、時計を同じにするテクニックもあります。僕自身も試してみましたが、コーナーで極端に内側を通って15で走り、そのままのスピードを維持すると、最後もだいたい同じ15になるんですよね。同じ時計であっても、走ったところによってそれだけ変わってくるということです。

つまり、たとえば13、12と来て、最後が12だったとすると、走ってきたところにもよりますが、伸びていない、もしくはバテているのではないか、と思った方がいいかもしれません。スピードを維持していれば11秒くらいにはなるでしょうし、本当に鋭く伸びる馬なら、もしかしたら10秒台さえ出てくるかもしれませんね。

読者の皆さんが予想するときに注意していただきたいのは、やはり最後の3ハロンの時計だと思います。

栗東でも12月には自動計測が導入されるようですから、この機会に調教時計にも目を向けていただけると、さらに競馬が面白くなるのではないでしょうか。

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