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西塚助手

一度暴れだした馬の制御は難しいからこそ、落ち着いて臨むことが重要なんです


先週の天皇賞・秋ダンビュライトが馬場入場後に放馬して、発走除外となってしまいました。この件は各所で話題になっていて、メッセージもいただいています。G1の舞台で、それだけ反響が大きいということなのでしょう。

経緯を聞いたところ、ダンビュライトは入場時に馬場入りを嫌がって暴れて、その際に担当厩務員の方が怪我をされたとのことです。そこでJRAのスターターの方が代わって誘導して馬場入りしましたが、そこで馬が暴れて戸崎騎手が落馬して、放馬してしまったようです。

僕自身も、返し馬に向かうところまで映像で見ていましたが、馬自身が完全に我を失ってしまっていて、これは人間ではどうすることもできないのでは、という印象を受けました。

馬の引き方や放し方が悪い、と指摘する声もあるようですが、あれだけ制御不能だと、そういう部分の問題ではないように思います。上手い下手とか、そういう部分の話ではなくなってしまうんです。

もし自分があの場所で馬を引いていたと考えたら、対処方法はふたつしかないと思っています。

ひとつは、地下道などどこか別の場所で馬が落ち着くまで待って、馬の状況を見ながら少しずつ進めていくという方法です。

ただ、これは時間的な制約がありますし、G1の日の競馬場となると独特の雰囲気があって、効果が出るかどうかは難しいと思います。

そこでもうひとつの対処法ですが、僕自身の経験から感じるのは、こういうタイプの馬は、恐らく走り出すと大丈夫なんじゃないかと思います。走っている途中にピタッと止まって暴れることはあまりないはずです。

実際の例だと、ハクサンムーンは馬場入場時に激しく旋回したことで知られていますが、走り出した後に急激に止まって旋回するようなことはありませんでした。

ですから、なるべく立ち止まることなく、返し馬に入っていくという方法を考えます。止まるからより激しく暴れてしまうわけですから、なるべく止まらず、早く返し馬に向かうようにする、ということです。

実際に見ていると、上手く馬場まで引いていくことができていたように見えました。しかし、離される瞬間にタイミング悪く馬が立ち上がり、そこで戸崎騎手が落馬してしまったようです。

タイミングと敢えて言ったのは、これだけ暴れてしまうと、こうやれば落ち着く、という方法はないんです。ちょっとしたタイミング、言い方は悪いかもしれませんが、運としか言いようがないんですよ。

できる対処法としては、馬の仕草や行動を見ながら対応して、馬をそこまでの状態に持っていかないようにするしかないんだろう、と思います。

それでも、防ぎ切れない部分もあります。競馬に向かうわけですから、パドックを回避することもできませんし、馬場入りをしないわけにもいきません。

そういう馬ということは分かっていたはずですから、担当の方はこれまでの経験から最善を尽くしていたはずです。ご批判を受けるかもしれませんが、そこで我慢できるかどうかということも、普段とは雰囲気が違うG1において、勝負のひとつなんだと思います。

調教でも、どんな状況でも我を忘れずに、人間に従順であることを目指していますが、馬の性格として、それがなかなか難しい馬もいるのが現実です。

そういう馬に対して、どうしていくか。それを考えるのは我々の義務だと思いますが、決して簡単なことではなかったりするんですよ。実際馬に携わっている者として、ああいう場面だと命の危険さえ感じることもしばしばですから、そう考えると見直すべきところはあっても、批判はできません。

こういうシーンはあまり多くありませんし、実際に馬に接していないと理解していただくのは難しいかもしれません。しかし、そういうものなんだということは、読者の方々に知っていただきたいと思うんです。

さて、長らく間が空いてしまいましたが、近日中にまた対談をお送りする予定となっています。ゲストは誰になるのか、お楽しみに!

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!




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