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西塚助手

【対談・武士沢騎手②】馬に生かされているからこそ、馬に対する思いを忘れてはいけない


武士沢友治騎手…以下[武]
西塚信人調教助手…以下[西]

[武]改めて思うんですけど、僕たちは馬に生かしてもらっているんですよね。

[西]以前、馬インフルエンザで開催が中止になったときに、よく1週だけの中止で済んだと思いましたよ。震災にしても、賛否両論ありましたけど、関西では1週だけの中止で開催されましたからね。競馬が開催されるということは、凄いことなんだと思っています。

[武]あの震災のときには、本当に頑張っているなと思いました。

[西]競馬があってこその我々であって、そこに馬と馬主さんと、そしてファンの方々がいないとダメなわけですよね。

[武]それぞれのポジションの方々が、それぞれしっかりと頑張っているからこそ競馬が行われているわけで、そこで我々は生かされているんですよ。

[西]そういう意味でも馬は絶対に欠かせない存在ですし、馬に生かされているということですよ。馬は難しいけど、だからこそ理解しようとしなければダメだと思うんです。武士沢さんは、歩様の悪い馬とかによく乗っていらっしゃいますけど、いろいろ感じるでしょう?

[武]素朴なことなんですけど、相当な能力があったとしても、骨格や体型などを人間の思い通りに改善することはできないわけですよ。歩様は骨格や体型などと深い関わりがありますから、そのことを理解した上で、馬に合わせた調教や対応をしていかなければダメなんです。実際乗っていて、背中は本当に良いけど、脚が保たないだろうな、と感じる馬もいます。

[西]それを何も考えないで進めてしまえば、故障、いや命さえ落としかねないということですよね。

[武]それがここ10年くらい、馬に苦しい部分を押し付けてしまう形というか、流れが加速してしまっているようには感じます。

[西]必要不可欠なのに、言葉をしゃべらない馬にだけ優しくないと感じますよね。

[武]そこに愛はあるのか、って。

[西](笑)。いい台詞ですね。

[武]また経済動物の話に戻ってしまうんですけど、もちろん勝負ということは分かりますし、お金がかかっていることも分かります。でも、馬を壊すために僕たちが乗っているわけではありません。何の異常もない馬でもレース中に故障するケースはたくさんありますし、乗っている者として、そこは最低ラインとして受け入れなければならないのですが、それでも悲劇を起こしたくはない。だからこそ、せめて馬に対する思いだけはなくしてはいけないんじゃないかと思うんですよ。



[西]ブッチャけさせていただきますけど、危ない馬を平気で出走させている現実がありますからね。

[武]言い方は適切じゃないかもしれませんけど、単身の事故ならまだしも、巻き込んでしまう可能性があるわけですから。

[西]競馬ですからね。

[武]怪我だけで済まない、それこそ人馬ともに命がかかっているんです。

[西]そういう意識が薄くなっているように感じている人は、多いと思います。先日、ある調教師さんが"武士沢さんと調教と競馬について、いろいろやり取りしながらやっていくことは、凄く意味があることなんだ。だから武士沢さんにお願いする"と仰っていたんです。それを聞いて、まだまだニーズありますねぇ、と思ったんですよね。

[武]いやいや、声をかけていただければ、できる限り頑張りますよ。でも、自分だけではどうにもならないこともあるんです。例えば能力はあっても、馬自身が危険を感じて加減をしてしまうこともあるんですよ。

[西]それはあるでしょうね。でも、そういうところはマスコミの人でも意外と分からなかったりするんです。

[武]それも騎手の責任として追及されるというか、そういう風潮はあるかもしれません。

[西]そういう意味では、マスコミの方々の取材する姿勢にも大いに問題があると思いますよ。

[武]ひとつあるのは、少し時計が出たりすると"どう走る?"、"勝てる?"といきなり聞かれるんですよ。昔の人たちは、そういう馬を見つけようと、普通キャンターから調教を見て、追いかけて、それから"動きそうなんだけどどう?"と聞いてきたものです。それがいきなり"どう?"って聞かれても。

[西]そこで答えなきゃ、武士沢は生意気となるし、それで負ければ武士沢が下手となるわけですよね。

[武]まさにそう。自分では負けても上手に競馬をしたと思っているのに、取材にも来ないで、"前が詰まって"とか、"引っ掛かって"というような書き方をされたりするんですよ。どこが詰まったのか、どこが引っ掛かったのか教えてくれよ、って言いたい。

[西]それは酷いですね。

[武]せめて僕に確認くらいはしてほしいですよ。

[西]確認さえしないわけですか。尾関厩舎になって、重賞に出走馬を送り出す機会が多くなって感じることなんですけど、そういうときだけ取材に来る記者の方には心を許すことができないんですよ。

[武]それはもちろんだし、本当にそう。

[西]専門紙の記者さんと日刊紙の記者さんでは違うんだろうし、やりたくてもできないのかもしれません。でも、僕自身の感情は人間として間違っていないと思っていて、普段から未勝利もオープンも関係なく、毎週厩舎に来ている人たちにいい話をしてあげたいと思ってしまいます。もうブッチャけさせていただきますけど、重賞のときだけ来て調子の良いことを言ったって無理。しかも、コメントを大々的に載せて、次会ったときに"コメント見てくれた?"と聞いてきたりして。まるで自分の名前が載っていることを喜んでいるだろう、みたいな感じで話をされると……。意地悪かもしれないんですけど、元々の人間関係がなければダメだと思います。



[武]本当にそう思いますよ。僕で言えば、確認にも来ない。だから、そこまで手応えを感じていないのに、たまたま追い切りの時計が良いという理由だけで、人気になってしまうようなことが起こるわけですよ。

[西]G1の週になると、5、6人でぞろぞろと厩舎に来て、話をください的な形で来るのはどうなんでしょうか。

[武]それで同じコメントが並ぶことになるんですよね。話をする手前、そうしてほしい人間もいるのかもしれませんけど、どうかとは思いますよ。しかも、その中には普段は挨拶さえしない人間もいますからね。

[西]毎週とは言わなくても、普段から厩舎に来ているならまだいいですけど、顔を知らない人にそう簡単に本心を話すことはできません。ご批判を受けるかもしれませんけど、僕自身はそれでいいんじゃないかと思ってしまいます。

[武]下手したら名前さえ名乗らない人がいます。そうなると、言い方は失礼ですけど、どこの馬の骨かわからないわけで、怖いですよ。

[西]でも、武士沢さんは外面が良い系統ですからね。

[武]いや、マスコミの方々には嫌われているかもしれません。聞かれるのはいいんですけど、いきなり名前も名乗らず、"どうなの?"といきなり聞かれるのは嫌なんです。

[西]気を遣いながら話をしなければなりませんからね。

[武]昔、言ってないことを書かれたことがあったんです。そういうことが結構あって、人を見ながら話をするようにはなりました。

[西]そうなりますよね。でも、こういう話を記者の人たちに直接すると、"あなた方にはファンの方たちに情報を提供する義務があるんです"とハッキリ言われたりするんです。ちょっと待ってください、となりますよ。

[武]義務というならば、記者の人たちはしっかりファンの方々に伝えてくれていますか?っていうことになりますよね。

[西]それで言っていないことを、確認もせずに書いたりするわけですからね。そもそも、ファンの方々に情報を、というのは言われなくてもわかっていますよ。でも、だからと言って、そういう態度で良いんですか、ということになりませんか。馬を追わずに負けると批判されますが、やらないことには間違いなく意味があるはずなんです。馬券を買っているファンがいると言いますけど、そんなことはわかっているはず。代弁者というならばやらない理由を聞きに行くべきですよ。

[武]恐らくは状態とか、あるいは未完成で無理させられないとか、何か理由があるはずですよ。他の関係者もいるから、全部を書くわけにはいかないのかもしれないけど、せめて話は聞きに行くべきでしょう。追う、追わないということで言えば、ヨーロッパは手応えのない馬を追ったら逆に制裁ということもあるみたいですからね。

[西]そういうことで言えば、同じパート1国ならルールも同じにしないとダメだと思います。でも、日本はファンの馬券で成り立っていて、違う部分もあるわけで、なかなか同じにできなかったりするんでしょうね。

[武]馬に対する思いという話に戻りますけど、追ったら馬が壊れてしまうという状況はありますからね。それを追えと言われても……。ベテランならまだしも、若い騎手ならまだ加減が分からない。それでいいのかと思ってしまいます。

(※次回へ続く)

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