西塚助手
新ルール“3歳未勝利馬の3戦連続9着以下で出走停止”で気になること
ここ数日で一気に冬らしくなり､今年もあとわずかですね｡武士沢さんとの対談をお送りしている間に､来年の番組編成と､それに伴うルール改正が発表されました｡
その中に気になったことがあり､読者の皆さんにも関係することだと思うので､今回はそのことについてお話ししたいと思います｡
それは秋の中山＆阪神で行われていた､いわゆる"スーパー未勝利"がなくなることと､『3歳以上の未出走馬および未勝利馬が､新馬競走を除いた平地競走において3走連続して9着以下であった場合,2ヵ月間平地競走に出走できない(※JRA発表による)』という新ルールなんです｡
このルール改正の目的はいくつかあるようで､ひとつは秋の中山＆阪神と東京＆京都開催の1週目あたりまで､500万と1000万のレースで頭数が激減する傾向が強くなっていて､そこでの頭数確保が目的だといわれています｡
すべてのレースで頭数を確保して､クオリティの高いレースを提供していくことは主催者として大事な仕事でしょうから､この点については理解できます｡
もうひとつの目的､これが僕が危惧していることなのですが､JRAに登録される馬が多すぎるから頭数を減らしたい､ということのようなんです｡
この改正を端的に言うと､言い方は悪いかもしれませんが､3戦して一度も8着以内に来ないような馬はJRAに登録しないでください､ということです｡
しかし僕自身､登録が多いことにどれほどの問題があるのか､という思いはあります｡登録を制限することでふるいにかける方法は､なかなか難しいと思うんですよね｡
読者の皆さんに関係する話だと､一口馬主に出資している方がいらっしゃると思います｡これは自分の出資馬が走ることが大きな醍醐味のはずで､その機会が減ることになってしまうわけです｡
厩舎経営という側面から言っても､当歳､あるいは1歳の段階で､預託を受けることがほとんどです｡そんな中､馬房に対してできる限り多くの預託馬を集めておかなければなりません｡
その段階でどの馬が走るのか､あるいはどの馬が故障するのかを把握するのは難しい｡ですから､ある程度余裕を持ってみておくケースが多いんじゃないかと思います｡
でも､もし預託頭数を減少させる傾向が強くなっていけば､JRAに登録されるはずだった馬が､JRAの次に賞金が高い南関東に流れて行くことになるでしょう｡
そうなるとどうなるか｡強い馬が南関東で活躍し､中央のG1馬を負かすような馬が出てくる可能性が増えます｡それはそれで競馬が盛り上がると思いますし､悪いことではないんですが､同時に南関東からJRAに出走させて勝負になるならそれでいい､と思う馬主さんが増えていく可能性がある､ということなんですよ｡
もちろん､現実にそうなっていくかどうかはわかりません｡また､JRAサイドとしても､JRAにはそれだけのステータスがある､というような考えもあるそうです｡
確かに､JRAは高い賞金と手厚い補助金がありますし､強い馬たちが揃っています｡その中で勝つことは大変ですが､それだけのステータスがあるでしょう｡
しかしその一方で､預託料は地方より高額で､なかなか出走できない現実があります｡一方で南関東は預託料が安く､出走回数もある程度確保されていると聞きます｡
そうなると馬主さんも､JRAより地方が楽しいと感じる方が増えるのではないか､と｡それで影響を受けるのはJRAの厩舎であり､JRAそのものだったりするはずなんです｡
いろいろな意見があるとは思いますし､心配しすぎなのかもしれませんが､僕自身としてはあまり軽く考えない方がいいんじゃないかと思うんですよね｡
実際､ここ数年､セールなどで馬がよく売れていますが､いつまでもこの状況が続いていくとは限らないわけです｡馬が売れず､登録頭数が想定以上に減ってしまい､少頭数のレースばかり､という状況になってしまう可能性もあるはずです｡
以前､預託可能頭数が馬房の3倍から2.5倍になったときに､簡単にはいかないと言われていました｡しかし､結果として成績の良い厩舎から溢れた馬たちが､下位の厩舎へすんなり流れていきました｡意外と､そういう部分は簡単なように思います｡
ですから今回の改正についても､いろいろな要素を見極めながら柔軟に対応していくことが大事だと思います｡1年ごとくらいの短い間隔でルールを見直してもいいのではないかと｡
先ほどお話ししたように､今回の改正は皆さんにも関係することだと思います｡ファンの皆さんの目線で見て､どのように思われたでしょうか｡
また､今回の改正については他にも気になったことがあったので､これは次回にお話ししたいと思います｡
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