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西塚助手

高速馬場による“日本競馬のガラパゴス化”は議論の余地あり


今開催の東京の芝コース、特にB、Cコースに替わってからは全体的に時計が速く、ヴィクトリアマイルは1分30秒5のレコード、オークスは2分22秒8、ダービーは2分22秒6、安田記念は1分30秒9というタイムで決着しました。

G1だけでなく、条件戦でも多くのレースが高速決着になっていて、ファンの皆さんの間で話題になっているようですね。

このような状況について、僕たち現場で働いている人間としては、提供されている馬場状態でやっていくしかない、というのが正直なところです。

ただ、僕個人の印象としては、走り終えた馬のダメージがいつも以上に大きいとか、周りを見ても故障する馬が多いような実感はありません。

競馬を走ったことに対するダメージの大小は、速い馬場以外の要因も考えられますし、故障に関しても、馬場が直接の原因とは言い切れないと思います。統計的にも、時計が速い馬場で故障率が上がっている事実はなかったと記憶しています。

そもそも東京に限らず、今のJRAの馬場は"馬の脚元に負担が少なく、走りやすい、安全な馬場"を追い求めた結果です。クッション性を高め、できる限り凹凸の少ない安全な馬場を追求し、さまざまな試行錯誤の結果で現状がある、ということだと思うんです。

その馬場で高速タイムが出るのはあくまで結果であって、JRAとしては、タイムを速くするために馬場の改良を行っているわけではない、と思うんですよ。

これは想像ですが、同じように時計が速い馬場でも、硬くて、凹凸があれば馬の疲労は増加するはずですし、恐らく故障率も高くなるでしょう。

そういう意味では、いまの速い時計が出る馬場状態が、馬にとって良くないのかどうか。僕自身の考えだと、これはイコールではないように感じています。

とはいえ、現状の馬場がすべて良い、ということではないと僕も思います。近年は海外に遠征する日本馬が増えていますが、競馬の国際化は日本以外でも急速に進んでいます。そんな中、これほど速いタイムが出る日本の馬場状態は、世界から見てもガラパゴス化しているのではないか、ということです。

ヨーロッパ、特にイギリスやアイルランドは自然の地形をそのままコースに使用している競馬場が多く、その点で日本とは違います。しかし、日本と同じようにトラックコースでレースが行われているアメリカや香港の馬でさえ、日本に来るケースがほとんどありません。日本馬のレベルが高くなったという側面もあるでしょうが、馬場が違いすぎるから、という指摘には一理あると思います。

大きいレースで結果を残すことは、繁殖に上がってからも大きな武器になります。つまり、日本では速い馬場で結果を残した馬が種牡馬や繁殖牝馬として評価されるわけで、血統的にもそれに適した馬が増えていくことになるはずです。

一方、アメリカやヨーロッパではその国の馬場に適した馬が繁殖として評価される。その差は年々大きくなっていくかもしれません。日本馬が海外で結果を残すためには、今のままの馬場で果たして良いのだろうか、とは思います。

そのまま日本は独自の馬場で行くんだ、という方針ならば、それはそれで良いでしょう。ただ、そうなれば当然海外とは違う馬場ですから、日本で結果を残した馬が海外では思うような結果を残せない、また逆のケースも多くなってくるはず。パート1国として、それで良いのかどうか。

僕自身、昨年のジャパンCは衝撃的だったと思います。3歳牝馬のアーモンドアイが2分20秒6という時計を叩き出したわけですからね。そんな馬でさえ、凱旋門賞遠征を断念したと伝えられています。この事実が持つ意味は大きいと思います。

これまで凱旋門賞に挑んだ日本馬は、日本で結果を残した馬ばかりです。それでも、惜しい結果はあってもまだ勝てていない。その理由としては、日本と欧州の馬場差と、適応能力の差が大きいと感じるんですよね。

高速馬場に対して議論されるべきは、故障とか疲労という部分ではなく、国際化を目指す上でどうなのか。その点においては大いに議論されるべきでしょうし、JRAが目指すのはどこなのか、方向性が示されるべきだと思います。

現状の馬場をそのような視点で考えると、ファンの皆さんは今後どうしていくべきだと思われるでしょうか。海外に近づけていくべきか、日本独自の馬場を追求するべきか。日本の馬場を世界標準にすることを目指そう、ということでも良いでしょう。ご意見がありましたら、ぜひお寄せください。

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