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西塚助手

【対談・宮里調教助手②】“同期”でも、先生とはいい関係だと思います


青木厩舎・宮里智彦調教助手…以下[宮]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]厩舎の初G1挑戦となったウインゼノビアは、オークスにも出走したんですよね。その時もみんなで行ったんですか?

[宮]オークスは、自分自身も所用があったりして、みんなで、ということにはならなかったんですよ。

[西]そうでしたか。そういえば、青木厩舎といえば印象深いことがあるんです。谷原厩舎から青木厩舎に転厩したエムアイグランツが前開催の新潟1レース(5月11日)に出走していましたよね。そこで5着に来たんですけど、それを青木先生がスタッフの方と一緒にすごく喜んでいて、その姿が印象的だったんです。

[宮]そんなに盛り上がっていましたか(笑)。

[西]かなり盛り上がっていました(笑)。その光景というか、そういう感じがとてもいいなぁ、と思えたんですよ。

[宮]勝ち負けだけではない、過程の部分でも大事なことがあると思います。確かに勝ちたいし、勝つつもりでみんな頑張っているんです。でも、競馬は負けることの方が多いですから、その過程というか、馬とどのように接して、どうやってレースに向かっていくか、というところも本当に大切だと思います。



[西]そこなんですよ。結果だけ追い求めても、絶対に上手くいかない。そういうことは、みんな分かっているわけです。

[宮]馬にも個体差があって、それぞれの馬にどうやって、何を積み上げていくか。人間はそれぞれの馬が持つベストを求めて、日々やっていくことしかできないように思います。

[西]青木先生には、『5着でもずいぶん喜ぶんですね(笑)』と言ったりして、憎まれ口っぽいですが、自分なりにお祝いの気持ちをお伝えしたつもりです。あの光景には、本当に考えさせられました。

[宮]ウチは、みんなそんな感じかもしれませんね。

[西]いい雰囲気だなぁと感じましたよ。また、そういう雰囲気を青木先生も求めているように思います。青木先生とは競馬学校も同期なんでしたっけ?

[宮]そうなんですよ。僕自身は22歳で競馬学校に入学したんですけど、"サンタン生(※)"の希望を出さず、6ヵ月生だったんです。経験になると思って。一方の青木先生は"サンタン生"として入ってきたんです。

(※)競馬学校厩務員課程にある、"3ヵ月短縮制度"のこと。校長が騎乗技術について特に優秀と認めた者について、前期課程(基本馬術・中間試験)を免除し、修業期間を3か月短縮することができる制度。

[西]あ、そうなんだ。確かに、"サンタン生"というのは、馬術に秀でているとか、何かないとダメですよね。青木先生は、馬術部とかじゃないですよね? 勉強が鬼のようにできたとか、そういうことなのかなぁ。

[宮]理由は良くわからないんですけど。馬術部とかではないと聞いています。でも、僕自身は馬術から競馬に入っているんですよ。

[西]そうでしたか。

[宮]全国乗馬倶楽部振興協会という団体がありまして、そこの技能認定審査にいろいろなカテゴリーで5級から1級まであるんです。僕は障害2級で、学生の頃から障害馬術の大会に出場したりしていました。ただ、改めて学びたいと思って、競馬学校では6ヵ月コースを選んだんです。

[西]ということは、宮里さんが先に入学して、3ヵ月後に青木先生が入学してきたのかな?

[宮]そうです。同期で、年齢も一緒で、もっと言うと出席番号も、僕が22、先生が23で、点呼でも必ず横にいる、みたいな感じでした。それから、もう15年以上の付き合いになりました。

[西]宮里さんや青木先生の世代は、同期会があって仲良くしているよね。ちなみに、俺たちの世代はないんだけど(苦笑)、ずっとそういう感じで続いているんですか?

[宮]ずっと、ですね。波長が合うというか、みんな仲良く付き合いが続いています。

[西]端から見ていても、全員同じ年齢で、タイプというか、雰囲気も似ているように感じますよ。忘年会とかも毎年やっていて、厩舎スタッフだけなく、騎手やJRA職員まで、いろいろな方々がいらっしゃいますよね。確か、僕が入った年くらいからやっているから、もう15年近くということですか。凄いですよ。何人くらい集まるんですか?

[宮]30人くらいですかね。しかも、今でも人数が減っていないんです。

[西]青木先生は、調教師になってからも参加しているんですか?

[宮]もちろんです。もっと言うと、調教師になった最初の忘年会のときに、全員で厩舎にある"青木厩舎"という大きい木製の看板をプレゼントしました。そのお礼として、忘年会の費用はすべて青木先生持ちだったんです。

[西](笑)。太っ腹ですね。

[宮]昨年も来ていましたし、変わらず余興もしっかりとやってくれています。

[西]青木先生といえば、結婚式などの余興で張り切りすぎるイメージがあって。いつだったか、日本エレキテル連合の"ダメよ~、ダメダメ"をやっていたことが印象に残っています。余興が始まる前ではなくて、結婚式が始まる前から顔を真っ白に塗って(笑)。

[宮]やっていましたねえ(笑)。お祭り男的なところがあるんですよ。

[西]こういう言い方をしたら失礼ですけど、同期からお給料を貰うことについて、抵抗はなかったですか?

[宮]僕は、線引きできるという自信がありました。それまで所属していた厩舎が解散になったんですけど、そこで僕から青木先生に声をかけたんです。すると先生も「来てくれると思っていた」と言ってくれて、転厩することになったんです。

[西]実際働いてみて、どうですか?

[宮]雇用主と雇用される側との線引きはできていると思います。それでも、先生は"同期"という部分を考えてくれているのか、仕事のときなどにも敢えて冗談を言ってくれたりもしますので、いい関係だと僕自身は感じています。

[西]自分自身、調教師試験を受験していて、それこそ青木先生がまだ受験していた頃から一緒に勉強したりしたんですけど、人間として素敵というか、立派だと思うんです。調教師になった途端に変わる方もいらっしゃいますけど、それは変わらざるを得ない状況なのかもしれないし、元々からそういう人間なのかもしれません。でも、青木先生は全くそういうところがありません。ということは、元々人間が立派だからだと思うんですよ。人としての魅力と、器の大きさを感じるんですよね。



[宮]一緒にいて、分け隔てなく人と付き合うことができる人だと思います。トレセンあるあるというか、一般社会でもそうなのかもしれないですけど、同じ年齢とか、昔から仲が良い人同士が一緒に仕事をすると、喧嘩別れしがち、という話があります。でも、そういう感じにはならないと思います。

[西]確かに、そう思いますね。青木先生の人間性から考えて、もし厩舎から離れることになったとしても、人間的な関係性は壊れないと思います。

[宮]人間というのは、仕事がうまくいっているときは機嫌も良くなるものですし、逆もそうです。感情の起伏があるのが自然ですから。今年は勝ち星が少ない現実を考えれば、いろいろ考えるだろうし、小言のひとつも言いたくなることもあるんじゃないかと思いますけど、一切ありません。苦しいときに見せる姿こそ本当の姿という言葉を聞いたことがありますが、変わらないんですよね。

[西]我慢強いんだと思いますよ。それと、人間に対して情があるというか、思いがあるように感じます。

[宮]馬場の中をよく歩いていますけど、いろいろな人から声をかけられても、いつも同じような感じですからね。

[西]青木先生の先輩たちから"おい、青木"と声をかけられても普通に話をしていますよね。なかには、調教師になったとたん"先生と呼べ"みたいなことを言う人もいるそうだから。

[宮]これは僕の想像ですけど、逆に構えてほしくないんじゃないかと。それまでと同じように接してもらいたい、と思っているんじゃないですか?

[西]確かに、この間の対談でもそんなことを言っていました。

(※次回へ続く)

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