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西塚助手

“薬物問題”を二度と起こさないために、できることはまだある


少し前のことになりますが、禁止薬物であるテオブロミンを含んだ飼料添加物、いわゆるサプリメントを摂取した可能性がある馬が判明したため、6月15~16日の開催で合計156頭が競走除外となる出来事がありました。

あれから1ヵ月ほど経ち、JRAから原因と対策が発表され、また除外となった馬に対する補償も行われることになり、今回の件に関する対応が一段落ついたようです。周りの話も聞いて状況が見えてきたので、ここで改めて話をさせていただきたいと思います。

まず、今回問題になった飼料添加物は"グリーンカル"というもので、簡単に言えばカルシウム摂取を目的としたものです。これは新しいものではなく、かなり昔から販売されています。

実際のところ、我が尾関厩舎で使用したことはありません。ただ、これだけ多くの馬が影響を受けたことからも分かるように、成長期にある若駒に対して与える厩舎もかなり多いようです。

今回の件は、製造元が検査結果を待たずに販売したために起こったことのようですが、現場で働いている我々は、飼い葉やサプリメントは検査を受けて、禁止薬物は使用されていないと証明されているものが売られている、と思っています。そう言われている以上、どうすることもできないというのが本音です。

いまは検査技術もかなり上がっていて、禁止薬物を使用すれば、簡単に発覚します。そういうことは誰もがわかっているわけですから、誤って摂取してしまうことはあっても、故意に使う人はいないはずです。

その後、原因が特定され、除外された156頭に対しても出走するはずだったレースの3着相当の賞金が補填されることになりました。改善策も発表されていますが、その中では製造元だけではなく、JRAも管理が不十分だったことの責任を認めていて、そのことは大きいと思います。

一方、現場で話を聞いたところ、ひとつ問題点が残っているのでは、という声も聞こえてきました。

今回も話題になった、飼い葉やサプリメントに対して競走馬理化学研究所が行う薬物検査。これは無料で行うものではなく、1回につき8万円がかかることになっているんです。

今回については製造元とJRAとのロット番号(※製造時の生産単位ごとに付けられる番号。どの工場のどの生産ラインで作られたか追跡するために使われる)の管理と、薬物検査に対する認識の違いがあったことが原因のひとつのようで、検査費を"ケチった"ことが原因ではないようです。

ただ、商品によってはこの検査費が利益に大きく影響してしまって、それが価格にも影響するケースがあるようです。

いま、JRAでは馬主さんに対しての補助金をはじめ、関係者に対しての手当も増額されています。そういう取り組みはいいのですが、こういう部分に対しても補助があっていいはず。さらに言えば、無料化されてもいいのではないでしょうか。

JRAは再発防止策として、検査の徹底をあげています。確かに、ロット番号の厳正な管理と検査の徹底でこのような事態を防げるはず。検査を徹底するためには、それをより積極的に受けられるように、無料化を考える価値はあるはずです。

さらに言えば、検査費が価格に上乗せされることもなくなり、買う側の我々にも良い点があります。そうなれば、預託費の削減に繋がるかもしれません。いろいろなところにメリットが出てくる可能性があります。

今回は一般紙でも報道される事態になりましたが、このようなことは二度と起こしてはいけません。JRAにとっては費用がかさむでしょうが、何よりも大事な公正競馬のための必要経費として考えてもいいのではないか、と思うんです。

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