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西塚助手

【対談・山田敬士騎手④(終)】今度は、良い意味でインパクトを残したい


山田敬士騎手…以下[山]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]ところで、山田くんは最近、地方交流レースによく乗っているイメージがあるんですが、そこで聞いてみたかったのが、美浦の調教コースについてなんですよ。今は南のウッドチップが改修工事中で、北馬場のBコースで追い切りとかをやるケースがあるんですけど、あそこって地方競馬と同じくらいのサイズ感ではないですか?

[山]同じくらいですよね。

[西]ブッチャけますけど、難しくないですか? 特に内から抜いていく時とか。

[山]思ったより早くコーナーが来たりして、なかなか難しいところがあります。内から抜くのは遠心力がかかりますから、決して簡単ではないですよね。

[西]外を回すのは私でもできます。でも、併せ馬で内に入れるのは、それほど簡単ではないですよね。

[山]コーナリングで馬を御さなければなりませんからね。

[西]そう。でも、御すとブレーキがかかってしまいますよね?

[山]出しながら御すという、一見相反するような動きをしなければなりません。

[西]そういう意味で、最近、山田くんは地方競馬によく乗っているから、慣れているんじゃないかと思って。

[山]個人的には、盛岡が好きなんですよ。

[西]盛岡は広くて、比較的簡単なんじゃないですか?

[山]でも、芝コースは内ですから。

[西]確かに、芝は難しそうだね。

[山]しかも、芝は生えているんですけど、フワフワした感じがあって、なかなか手強いです。あと難しいのは浦和ですかね。

[西]確かに、浦和はみんな言う。そういう意味では、そこで毎日乗っている騎手たちの方がコースを熟知しているはずだよね。

[山]セオリーというか、仕掛けのポイントがJRAとは全く違います。JRAはコースが大きく、直線も長いので、よーい、ドンで間に合ったりします。

[西]しかも内に潜り込むこともできるし、いろいろ対応することができますよね。

[山]コースももちろんですけど、調教も違うように感じます。JRAは1戦1戦キッチリと作るようなイメージですけど、地方競馬はレースを走らせながら仕上げていく感じがあるように思います。

[西]言いたいことはわかります。実際、JRAと地方の交流レースを見ていて、地方の競馬場だと地方馬がJRA所属馬に勝つケースがありますが、JRAの舞台で行われる交流レースで勝つケースはほとんどありません。レース数の違いもあるのかもしれませんけど、調教の違いもあるように思うんですよね。あ、地方で思い出したんですが、失礼ながら地方で放馬されていませんでしたか?

[山]してしまいました。笠松で、初めての重賞レースだったのに……(※2019年1月24日ゴールドジュニア)。

[西]どういう状況だったんですか?

[山]引っ掛かってノーコントロール状態になってしまって、出入口に突っ込んでしまったんです。

[西]あれ、テレビで見ていたんですよ。元々、そういうところがある馬だったんですかね。

[山]乗る前に、地元の騎手の方から、口が利かなくなるからラチに向けて返し馬をするように、と教えていただいていて、その通りにしました。ところが、一瞬ハミが当たって、その瞬間からコントロールが利かなくなってしまったんです。

[西]手綱を目一杯引っ張っていました? 少し行かせたんじゃないのかと。

[山]大丈夫そうだったので、ほんの少しだけ行かせる感じにした瞬間でした。

[西]片方だけでも抜けていれば、大丈夫だったんだろうけどね。

[山]最初は左右とも大丈夫だったんですけど、一瞬で両方抜けなくなってしまったんです。最初にやっていたように、ポコポコとゆっくりした感じで行っていれば良かったんですよね。

[西]いやあ、そういう微妙なところが馬乗りの難しさだったりするよね。話は戻りますけど、今回、北馬場で乗ってみて、南のチップや大外のDコースの簡単さと、小さいコースの北馬場の難しさを実感したんですよ。南のチップは船橋と同じくらいの広さがあるように思います。

[山]そうかもしれません。しかも、JRAのコースはそれよりも大きいですからね。

[西]その中でも、函館や札幌、福島といったローカルは小さいですけど、地方から比べれば大きいわけですからね。

[山]そういう感覚で言えば、福島で乗っていると、地方競馬に似た感じはあります。エンジンの掛け方というか、動いていく感覚は似ているかもしれません。東京などは、やはりよーい、ドンなんですよね。

[西]以前、内田(博幸)さんが"東京では俺の腕が活きない"と言っていたんですけど、その意味がよくわかりますよね。大井をはじめ、地方で培った3コーナーから4コーナーでの攻め方が、直線の長い東京では意味がないということなんだと思います。

[山]どうしても直線で間に合ってしまいますからね。逆に、そこがローカルの面白いところでもあると思います。少し足りない馬が、勝つチャンスが出てきますので、そこを狙う楽しさはあります。

[西]これだけ地方競馬に乗っていると、南関東はだいぶ理解できているよね?

[山]まだまだですけど、徐々に慣れてはきているように思います。

[西]先ほど話に出た浦和競馬場って、特に3コーナーとかが難しいと言われますよね。

[山]3コーナーは過去に事故も起きています。少し独特の路盤で、コーナーもキツくて、歩様が硬い馬とかだと躓いてしまう可能性があります。しかもコーナーということで砂の摩耗も激しくて、もし転倒した場合は見えづらい、ということもあると思います。

[西]なるほどね。その浦和競馬場は小回りなのに、外から差しが決まるケースが多いようなイメージがあるんですけど。

[山]外を回っている馬は勢いがつきやすいのに対して、内で逃げている馬は確かに距離のロスはないんですけど、コーナーがキツイ分、スピードに乗り切れないというか、マックスでスピードが出せない感じなんだと思います。

[西]それはあるかも。

[山]内の馬は、直線に向く手前くらいから一気に加速していくしかありません。それに対して、外を回っても早めに加速してトップスピードに乗ることができていると、差し馬にもチャンスが出てくるように思います。実際に乗っていてそう感じますし、そういう作戦で行くケースもありますよ。

[西]最近、地方交流に多く乗れているのは、地方の未勝利、1勝クラスの交流でも減量が認められたことも影響しているかもしれませんよね。

[山]それは大きいと思います。

[西]あとは、小桧山先生や青木先生もたくさんチャンスを与えてくれていますしね。

[山]本当にありがたいです。

[西]そもそも、なぜ小桧山厩舎に決まったんですか?

[山]僕の場合は、関東と関西は決めさせてくれましたけど、所属先は学校の方で決まりました。親が調教師の人は、その意向で決まるようです。

[西]なぜ関東にしたんですか?

[山]関東出身ということで、関東にしました。

[西]関西だったら(武)豊さんに会えたのに(笑)。

[山]関東でもお会いすることはできますから(笑)。

[西]豊さんとは会ったことがあるの?

[山]食事の席をご一緒させていただく機会がありました。

[西]どうだった?

[山]最初は何も話ができませんでした。競馬のときより緊張しました(笑)。

[西]はははは。そうなんだ。

[山]でも、食事は美味しかったのは覚えています(笑)。

[西]山田くん、面白いね(笑)。ではそろそろ、これから目指す騎手像みたいなところを聞いてみたいんですが。

[山]これはデビューしたときからずっと思っていることなんですけど、ひとつでも上の着順を狙いたいんです。人気はファンの皆さんが付けるもので、それぞれの馬の力だけが反映されたものではないわけですよね。人気がなくても、騎乗させていただく馬が持つ力を出し切れるようにしたいですし、ふた桁着順を8着、5着、さらに馬券圏内から勝つことを目指して乗る騎手になりたいんです。そうすることで勝ち鞍も増えていくと思っています。

[西]よくデビュー前に聞かれるんだろうけど、目標は誰だったんですか?

[山]もちろん武豊さんです。競馬を知らない人たちでも、名前を知っていらっしゃいますよね。でも僕自身は、逆に良くないことで有名になってしまったので、新しい目標を考えなければならないと思っています。

[西]面白いよ、面白い(笑)。冗談が言えるようになったんだから、安心したよ。あとはもう二度と同じ失敗をしないように、頑張っていくしかないからね。

[山]そこは絶対だと思っています。

[西]あの件を背負って頑張っていかなければならないという、その思いこそが山田くんを奮い立たせる部分もあるんだろうし、あの失敗をプラスに変えるように頑張ってください。

[山]良い意味でインパクトのある勝ち方をすることができるように、頑張りたいと思っています。あくまで山田敬士として、自分なりに自分にしかできない方向性と言いますか、特徴を出せるように頑張っていきたいと、最近は思うようになりました。

[西]そう思えるのも失敗があったからだと思います。そういう意味で、何か頑張っていることはあるんですか?

[山]なるべくお世話になっている厩舎には乗せていただいた翌週、火曜日とかは交流があったりしますが、どこかのタイミングで伺うようにしています。

[西]それは大事かもしれないね。松岡さんや田辺さんも若いときにはそうやっていました。西塚厩舎時代、田辺さんは通り道ということもあったけど、松岡さんはわざわざ来てくれたりしていました。一度「ウチなんか来なくても大丈夫だよ」と言ったんですけど、勝負服を返すついででも来てくれていました。勝負服を騎手が返しに行くのは個人的には反対なんですけど、馬の様子を気にかけて足を運ぶというのは、意外と大事なことでもあると思いますよ。

[山]できれば火曜日に行きたいんですけど、水曜日とか木曜日になってしまったりするんです。でも、必ず行くようにはしています。

[西]いやぁ、そういう意味において、僕が思うのは松岡さんが最強ですよ。他の人も来てくれるんですけど、松岡さんの対応はある意味神でした。それは今でも変わらなかったりするから、これが凄いと思うんですよ。

[山]ぜひ見習って、負けないように頑張りたいと思っています。

[西]今日は本当にありがとうございました。またぜひ。

[山]ありがとうございました。


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