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西塚助手

“ジャパンCに外国馬ゼロ”は、自然な流れかもしれません


先週、今年のジャパンCに外国調教馬が出走しないことがJRAから発表され、ファンの皆さんの間でも大きな話題になりました。

直前まで、英国調教馬で、先日のメルボルンCでも繰り上がり2着となったプリンスオブアランが出走する意向だと伝えられていました。ところが、ゲートの中で落ち着かせるために着用する"バリアブランケット"という馬具を日本では使うことができないため、出走を断念することになったとのことです。

外国馬が来ない理由として、レース日程、馬場の違いなどが挙げられますが、このようなルールの違いもそのひとつだと思います。

例えば、日本馬はトレセンで調教できるのに、外国馬は競馬学校や競馬場でしか調教できない。また、レース当日の天候などによって、もし馬場状態が合わないと思ったら、海外ではスクラッチ、いわゆる出走取消ができますが、日本では馬場を理由にした取消は認められません。

また、速い日本の馬場に対応できたとしても、そのことが繁殖に上がった時に自国で評価されるかというと、そうでもない。僕自身が外国の方から聞いたところだと、そういった理由もあるようです。

実際、それらも要因のひとつなのでしょう。しかし、そういった馬場やルールの違いはあっても、かつては外国馬が日本に来ていたわけです。

ここで改めて、自分たちのような厩舎の人間の立場に置き換えてみると、遠征するかどうか検討する時に、そういった要因よりも先に見極めるべきことがあります。

それは、"勝ち負けになるかどうか"です。

確かに、ジャパンCは招待レースですし、費用面での負担も少ない。かつては、"それならば行ってみようか"と、勝ち負けを度外視して参戦することもあったかもしれません。

ただ、出走させる、まして海外となると、当然リスクがあります。これは海外遠征に限りませんが、基本的には馬を出走させる時にまず考えるのは、勝ち負けになるかどうか、もっと言えば、勝てるかどうかが最も重要なはずです。

日本でも、スプリンターズS安田記念などは、招待レースではないにもかかわらず、香港やオーストラリアから参戦するケースがあります。それは勝てる見通しがあるからでしょうし、実際に好成績を残す馬もいます。

逆に日本馬も、先月はオーストラリアのG1をメールドグラースリスグラシューが制したように、チャンスがあると思われる海外のレースに挑戦して、結果を出すようになっています。

つまり、外国馬がジャパンCに参戦しない最大の理由は、東京芝2400mという舞台では日本馬に勝てないから、だと思うんです。

ジャパンCが始まった当初は、日本から見ると"外国に追いつけ追い越せ"という時代で、失礼な言い方をすれば、世界的にはそれほどの実績のない馬でさえも勝つことができました。

それが年を経て、日本馬が健闘するケースも出てきて、今では一流の実績馬が来日しても、日本馬に返り討ちにされる。そういうことが繰り返されて、ついに出走馬がいなくなった。これは自然なことなのかもしれません。

改めて振り返ると、ジャパンCは日本競馬、そして我々関係者にとっても、本当に大きな意義のあるレースだったんです。

馬づくりの面においても、外国との力差を推し量ることで、どうするべきかを考えて頑張ってきた。実際、その結果として日本競馬がレベルアップしたと思います。また、ジャパンCを見たことがきっかけでJRAに入った勢司先生のように、この世界を目指す人を増やしたという一面もあったと思うんです。

外国馬がいないジャパンCが現実となって、そのレースの存在意義を問う声が大きくなってきているようです。確かに、今までの役割を終えたという見方もできるのかもしれません。しかし、だからと言って、これまでにこのレースが残した功績は、決して消えるものではありません。

ジャパンCというレースについては、何か形を変える必要があるかもしれません。例えば、かつては競馬先進国の馬に来てもらって挑戦する立場だった日本馬が、今度はいろいろな国の馬を迎え撃つ立場になる、とか。

それと同時に、馬場そのものの違いを含め、日本の競馬が目指すところがどこなのか、改めて考えるいい機会なのかもしれませんね。

次回からは、今年最後の対談をお送りする予定です。今回は久々にベテランのゲストをお迎えしますので、お楽しみに。

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