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西塚助手

【対談・田辺騎手④(終)】ベテランの強みは、気持ちの強さと引き出しの多さ


田辺裕信騎手…以下[田]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]いやぁ、それにしても、田辺さんとこういうまともな話をするようになったんですね。

[田]いよいよ調教師だ。でも、去年は試験の1週間前にサッと焼肉に来ていましたからね(笑)。

[西]だから、それはもういいって(笑)。あ、そういえば去年は試験の1週間前くらいに、体調がおかしくなってしまったんですよ。

[田]えっ、焼肉の食べ過ぎで?

[西]違うよ(笑)。健康診断で引っかかってしまったんですよ。

[田]ストレスですか? 何年もやっていて、勉強しているだけなのに。それだけ追い込まれていたんですかね?

[西]いや、分からないですけどね。けっこう大変なものなんでしょうね。そういうのは初めてでしたから。

[田]それが最後の直線で、焼肉だったわけですね(笑)。

[西]いや、頑張りが足りませんね。

[田]俺の方が早く合格しちゃうんじゃないの(笑)?

[西]えっ、田辺さん、受験するつもりがあるんですか?

[田]全くありません。

[二人](爆笑)

[西]いまはなくても、将来とか。

[田]ない、ない。だって調教師の息子じゃないもん。



[西]それは関係ないんだけどさ。じゃあ、今ベテラン騎手の方たちは50歳を超えても乗っている人が多いけど、そこを目指そうという感じですか?

[田]いやぁ、そういう感覚もありません。波もありますからね。ケガだってあるかもしれませんし、健康でも乗り鞍が全然なくなって、騎手を続けている意味がなくなる日が来るかもしれないじゃないですか。下からもドンドン入ってきますし、外国からも続々と来ていますので、どうなっていくかは誰にも分からないわけですよ。そういう中で、ベテランの人たちも乗り続けているわけですから。

[西]もう、みんなバリバリ乗っていますからね。

[田]以前は1000勝したら一次試験免除というのがありましたので、時期が来たら調教師に、という人たちが多かったように思います。デビューした頃は、40歳を過ぎたら調教師に、というイメージみたいなものはありました。でも、いまは全く違った世界になっていますよ。蛯名さんは受験しているけど、今乗っている人たちのほとんどは、調教師のことは考えていないように思います。

[西]それは分かる気がする。そういう意味では、時期になったら調教師に、という流れは、関西の方が残っているように思います。

[田]ただ、そもそも中学校卒業の自分たちが、大学を出た助手の人たちと一緒に同じ勉強をして受験するというのは、絶対的に不利があります。もっと言えば、そこを目指してきたわけではない。騎手になること、そして騎手として活躍することを目指して頑張っているわけですから、そこで同じ条件で試験となると、厳しいのは当然でしょう。

[西]貢献度は加味される、とは言われますけどね。

[田]でも、それだったら乗れるところまで乗っておこう、ということで、皆さん頑張っておられるんだと思います。

[西]田辺さんはどうなんですか? もちろん、いろいろな波はあるんでしょうけど。それこそ人気の部分もありますしね。

[田]よく去年はどうだったとか、いろいろ数字の話をされますけど、ずっと良かったら永遠に勝ち続けるわけで、そんなことはあり得ません。その年や時期によって自分自身の波もあるでしょうし、馬によっても違ってきますし、それこそ馬の調子の波もあるかもしれません。それで少し結果が出なくて、年齢が影響してきたのか?と思われると、ちょっと不利かも、とは思います。

[西]そういう部分もあるんですかね?

[田]気持ちは全く変わっていない。でも、年齢的な部分を評価されて、数や質が落ちてしまうことはあり得るでしょうね。

[西]ただ、どうなんでしょう。いろいろなスポーツがありますけど、どのスポーツも選手寿命が延びたと言われます。若さは勢いという武器がある一方で、ベテランには技術とか、対応力という武器がある。では、騎手はどうなんでしょう。経験というのは武器なんですか?

[田]経験は大きいですよ。メンタル面で言えば、大きいレースに数多く乗って、勝ってきた人たちは場数を踏んできていますので、人気馬や高額馬に乗ったときにブレない気持ちの強さを感じます。それと、馬を雑に扱いません。だから、そのレースがダメだったとしても、後遺症が少ないということはあると思います。それに対して若い人たちは確かに勢いがあって、ガムシャラさに溢れています。それは大事なことでもあるんですけど、一方で馬にとってはマイナスな面もあります。ガムシャラになることで、馬自身がレースで嫌な思いを持ってしまって、それを引きずってしまう可能性があります。

[西]確かに馬を最後まで頑張らせるのは大事なんですけど、ただステッキを入れ続けることとはちょっと違いますよね。

[田]ステッキを入れることだけが、頑張らせることではありません。ただ、後方でステッキを入れ続けられた馬が、次のレースをどのような気持ちで迎えるのか、ということは考えなければなりませんよね。そういう意味で、ベテランの人たちはそこまで見通して、馬の個性も見て、それに合わせて乗っているように思います。

[西]それは感じます。

[田]特に牝馬などは、1回嫌な思いをしたら、2度と能力を出そうとしなくなってしまうケースさえあります。1回のみの結果だけで云々と言ってしまっては、馬もかわいそうなところがあります。

[西]牝馬は難しいよね。そういう部分を、ベテランの人たちは経験から判断する。その引き出しが多いということだよね。

[田]若い人も判断はするんだけど、引き出し、つまりは経験値の差があるということです。

[西]勝ち負けももちろん大事だけど、そのためにも馬のメンタルは本当に大事だと思いますよ。

[田]そりゃ、そうでしょう。そういう部分が、普段のメンタルや輸送など、様々な面に影響してくるんじゃないですかね。車に乗って運ばれたら競馬場なんだと思ったとき、苦しくて嫌な思いがあったら、ドキドキしてしまうかもしれないし、萎縮してしまうかもしれない。どちらにしても、決して良いことではないはず。だから、競馬は嫌なものなんだと思わせないような乗り方をしなければならないですし、ベテランの人たちはそういう部分をしっかりと意識しているはずです。

[西]ちょっと話が逸れるけど、例えばゴルフだったり、あるいは競艇だったり、そういうスポーツは個人の実力がそのまま評価というか、結果となります。それに対して騎手の場合、ブッチャけ実力だけではない部分があるわけですよ。馬がいて、調教師がいて、そして馬主さんがいます。そこで技術的な部分というか、本質的な部分が評価されないケースが多いように思うんです。

[田]そういう感じはあるよね。

[西]音楽で言えば、いい音楽と売れる音楽の違い、みたいな感じかなぁ。もちろん、誰でも親しめるくらい簡単であることも大事な要素なのかもしれないけど、技術力ということとは違ったりするわけです。先日、(柴田)善臣さんが愛知杯を勝ちましたけど、当然と言えば当然の結果です。あれほどの技術と体力がある方が、それなりの馬に乗って結果を出すことは自然なことですよ。でも、この1、2年は乗り鞍に恵まれない現実がありました。善臣さんと話をしていないので、何とも言えないですけど、そこにジレンマがあったりしないのかな、と思うんです。



[田]善臣さんは、馬に乗るのが好きだと言っていますよ。昔の自分に似ていると思うところでもあるんですけど、走らない馬に乗ったときに、どうやって着に持ってくるかと考えるそうです。信ちゃんと昔よく「この馬、どうやってお金稼がそうか」という話をしましたけど、善臣さんもそういうことを考えているそうで、「それはそれで面白い」って言っていました。

[西]それでいながら福島とか、ローカルに行くと勝つわけですよ。

[田]数は乗っていないし、人気もなかったりする中で勝ったりするでしょう?

[西]そう、そうなんですよ。

[田]そこでさすがだな、と思うのは、ブレないところ。早めからマクっていく馬がたくさんいたりしても、ジッと我慢して動かず、そして最後は来たりしますからね。言うのは簡単ですけど、なかなかできることではない。改めて、ベテランの方々にはケガをしてほしくないな、と思います。

[西]騎手の人たちは技術的な部分と、言い方は適切ではないかもしれないけど、水商売的な部分、両方ないとダメだから大変ですよね。でも、うまく話を聞くとか、愛想が良いのとは違うというか、別問題のはずなんです。しかしながら現実は、都合が良い騎手が、上手い騎手になりつつあるように思うんですよ。

[田]そうは言っても、難しい部分はあると思います。そもそも馬のレベルがわからないのに、馬の値段を決める世界ですからね。

[西]まあね。そう言われればそうだけど、それだけだとどうか、と思うわけですよ。

[田]よし、わかった。そのためにも、"キャバクラ・ノビー"をオープンしましょう。キャストは誰にするか、考えましょう。

[二人](爆笑)

[西]そのあたりについては、またの機会に詳しくということで。田辺さんも、ますます頑張ってくださいよ。

[田]信ちゃんこそ、今年こそは合格してくださいよ。

[西]頑張りますよ。

[田]1週間前に、また焼肉に誘いますから(笑)。

[西]やめて、お願いだから(笑)。というか、今年はどんな年にしたいですか?

[田]毎年のことで、みんなにまたかと言われるかもしれないけど、それでもやはり1年間ケガせず、無事に、そして騎乗停止にならないようにしたいですね。

[西]あ、去年は多かったですね。

[田]そうなんですよ。結局、騎乗停止は5週間、つまり1ヶ月以上レースに参加できていませんでした。今年はそういうことがないようにしたいです。

[西]それと、今年はあと1回登場していただけるように、お願いします。

[田]今度こそは鰻ね。

[西]大丈夫です(笑)。本当に忙しい中、ありがとうございました。

[田]ありがとうございました。

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