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西塚助手

【対談・井上騎手②】美浦と栗東で感じた、施設やレースの違いとは


井上敏樹騎手…以下[井]
西塚信人調教助手…以下[西]

※収録日・3月5日(木)

[西]調教といえば、しばらく栗東に行っていましたよね?

[井]はい、行っていました。一昨年の暮れと、昨年の初めです。

[西]ずいぶん見かけなかったですから、だいぶ長く行っていたイメージがあるんですけど。

[井]それぞれ3ヶ月で、合計で6ヶ月という感じでした。北海道から続けて行っていた時期もあったからじゃないですか?



[西]そういうことか。デビューから、大きい怪我とかで長期間休んだこともないの?

[井]大きい怪我はないですね。顔を踏まれたくらいですか。

[西]あ、顔が腫れていたことがあったよね。思い出したよ。でも、競馬は乗っていましたよね?

[井]1週間だけ休みましたけど、あとは乗り続けていました。

[西]あれは、落馬で踏まれたんだっけ?

[井]そうなんです。メチャクチャ痛かったです。

[西]そりゃ、痛いよ(苦笑)。そういえば、落馬した武史(横山騎手)の顔、見ました?(※2月22日、小倉2Rにて)

[井]見ました。見ただけで、こちらまで痛くなってしまいます。

[西]口が横に裂けたようで、手術もしたみたいなんですけど、いまでも少し腫れが残っていますよね。

[井]あそこまでになると、傷とか腫れとかが残ってしまうかもしれませんよね。

[西]本人は頭を蹴られなくてよかった、と言っていたみたいなんですけど、十分重症ですよね。調教に話を戻すと、栗東へ行ったきっかけは、何だったんですか?

[井]お世話になっている馬主さんが、社台グループの方に話をしてくださったんですよ。それで須貝先生にお願いをしていただいて、お世話になることになったんです。

[西]ブッチャけて聞いてしまうんですけど、最近は中谷、長岡、あるいは国分優作のように、関東から関西に移籍する騎手もけっこういますよね。そういうことは、選択肢にはなかったんですか?

[井]全くない、ということではありませんでした。ただ、なかなか決断するだけの活躍が……といいますか、波に乗り切れないところがありましたから。

[西]でも行ってみると、いろいろ美浦との違いも感じたはずですよね。

[井]いろいろな部分で、感じることはありました。

[西]具体的には?

[井]まずはいろいろな方が仰っていますが、施設ですよね。坂路に行くまでに強制的に逍遥馬道を通らなくてはならず、この逍遥馬道がとにかく馬にはいいんですよ。栗東は乗り運動が圧倒的に多いとか、そういう違いもありますけど。

[西]栗東に行った人たちは、みんな同じような感想を言うよね。坂路の長さや勾配だけでなく、逍遥馬道の違いもよく聞きます。



[井]小島茂先生もよく仰っていましたが、そういう部分だと実感しました。確かに坂路も違いますけど、逍遥馬道は美浦と栗東では別次元です。とにかくアップダウンがあって、タフなんです。力がないと坂路まで辿り着けないくらいですから、行くだけでも自然と力が付いてくるはずですよね。その差は大きいと感じました。

[西]実は、僕自身は栗東に行ったことがないんですよ。

[井]あ、そうなんですか? でも、北海道とか小倉とか行かれていますよね?

[西]北海道は1週間程度だし、小倉も同じようなものですよ。しかも、小倉に行ったといっても、施設などで違いを感じる部分はないに等しいです。

[井]夜の街の違いくらい、ですか(笑)。

[西]その通り(笑)。小倉にはいいお店がたくさんありますよね。いや、そんな話はいいんです(笑)。栗東でお世話になっていた厩舎って、須貝厩舎以外ではどこかあったの?

[井]大久保先生をはじめ、角居先生のところもお手伝いさせていただきましたし、あとは村山先生ですかね。

[西]競馬にも乗せてもらっていましたよね?

[井]はい、乗せていただきました。

[西]競馬、レースの違いについては、何か感じましたか?

[井]どうなんでしょうね? ひとつ思ったのは、関西の方が流れの淀みがないレースが多いように感じました。逆に関東の方が、ペースの緩急があるように思います。

[西]あ、同じことを言っていた人がいましたよ。

[井]誰か言っていましたか?

[西]去年、川又くんに来ていただいたんですけど、同じようなことを言っていたんですよ。ふたりが同じことを言うんだから、それは確かにそうなんだろうね。あと川又くんから聞いたのは、関東の先生たちの方が、レース後のコメントをより詳しく求められると言っていました。

[井]あ、それはあるかもしれません。

[西]いや、本当にそう思いますよ。逆に、僕たちが関西の騎手の方々に乗っていただいて、レース後に「どうでしたか?」と聞くと、「頑張っているよね」、「悪くないよ」という程度で、それ以上は出てこなかったりするんですよ。良し悪しではなくて、そういう傾向があるということで。

[井]言っていること、よくわかります。

[西]そう考えると、(横山)ノリさんとかは、特によく話をしてくれます。他にも、蛯名さんとか、(柴田)善臣さんとかも、調教師や助手さんによく話をしてくれますよ。

[井]僕たちにも、聞けばいろいろ教えてくださいますよ。

[西]そういう意味で、コメントについては危険な部分もあるというか、ちょっと気をつけなければならないと思うんですよ。厩舎サイドやオーナーから求められるから、騎手の人たちは、いろいろ話をしてくれるし、言葉を選んで伝えてくれるわけです。でも、ブッチャけさせていただければ、現実的にはどう頑張ったって8着さえ厳しい馬だっているわけで、そういう馬はコメントどうこうじゃないわけです。もちろん我々の仕事は、そういう馬をなんとか8着、掲示板、そして勝つことを目指して、できる限りのことをやっていくことなんですけど、その現実を直視せず、責任転嫁されることがあるような気がするんです。

[井]コメントする時に、伝え方が難しいことはあります。

[西]関東でいえば、北村(宏司騎手)は本当に丁寧に説明してくれます。直接本人にも、パトロールのところで「今日もよくしゃべるねえ」と言うことがあるくらい(笑)。

[井]そんなことを言うんですか(笑)。

[西]言うんですよ。いわば"劇場型"みたいな。でも、そういったコメントでも、言葉を選んで話をしてくれているということを忘れてしまうと、本質の部分が見えなくなってしまう。これは、いろいろな騎手の方たちと話をさせていただいて、強く感じます。それに対して田辺のように「ノブちゃん、走んねぇ」から始まって、「じゃあ、どうしようか?」と続くタイプもいますけどね(笑)。

[井]それで済んでしまうならば、簡単ですけどね。

[西]ブッチャけさせていただくと、いまの時代は、騎手の技術、あるいは馬に合うか合わないかというだけじゃなくて、そういう部分も重要視されているんじゃないか、と思うことがありますよ。パトロール室で聞いていて、凄いと感心するくらい、臨場感があるときがありますからね。少なくとも、あれは田辺さんにはない。

[二人](笑)

[西]繰り返しますけど、良し悪しではないんですよ。そういえばコメントについては、以前驚いたことがあって。ある外国人騎手に乗ってもらったときに、調教師の指示で「外を通ってほしい」と伝えたんです。結果的には負けてしまったんですけど、引き上げてきて「外を通っていなかったら勝っていた」と言われたことがあったんですよ。外国人騎手は、こちらがリクエストすると、なるべくそう乗ろうとしてくれます。でもその一方で、ハッキリと思うことも言ってくるんです。もちろん好き嫌いの話ではなくて、「責任はそちらにあるんだぞ」という意思。それをハッキリと示してきます。

[井]確かに、外国人騎手は、ハッキリと意思表示をしてきますよね。

(※次回へ続く)

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