独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

西塚助手

【対談・井上騎手③】騎手同士でしか分からない感覚は、確かにある


井上敏樹騎手…以下[井]
西塚信人調教助手…以下[西]

※収録日・3月5日(木)

[西]レースの流れが関東と関西で違うということで、さらに聞いてみたいんですけど、その違いって、具体的にどんな感じなんですかね?

[井]極端な言い方をすれば、関東はペースに緩急があって、関西は緩急が比較的なくて、淀みなく流れていく感じなんです。ですから、関東では遅くなったときにどう対応するか、ということがポイントになるように思います。たとえばペースが遅いときに馬群の外側にいるとして、マクって行くのか、それとも我慢した方がいいのか、ということですかね。淀みなく流れてくれれば、流れに乗っていくことができるように気をつける、という感じです。

[西]そう言われてみると、関西のレースを見ていると、マクっていくケースが少ない気がしますね。

[井]第三場だと、ガンガン関西馬がマクって行きますよね。恐らく、ペースが遅く感じるからだと思います。

[西]福島とか、北海道でよくみかける光景です。しかも、それで残ったりするんですよね。

[井]そう、残りますよね。

[西]あと、未勝利や1勝クラスだと、関西の方が力が拮抗していると聞きました。極端な言い方をすれば、関西は10番人気くらいまでチャンスがあったりするけど、関東は上位3頭、多く見積もっても4、5頭くらいまでしかチャンスがない感じのレースが多いと聞きます。

[井]確かに、そういう印象はあります。関西でお世話になっていた頃に、大久保先生のところで勝たせていただいた馬も、たしか11番人気だったはずです。

[西]人気通りに決まりづらいというか、それだけ力が拮抗している、ということですよね。逆に関東では、上位人気馬と10番人気では大きな差があって、上位人気の馬が多少ミスしたくらいでは逆転できない。

[井]もちろん、何とかチャンスが出てくるように、付け入る隙を狙って、いろいろ考えてレースに向かうんですけど、なかなか難しいですね。何とかしたいと思っているんですけどね……。

[西]それが関西だと、人気馬が少しミスってくれれば付け入る隙が出てきて、人気薄の馬が勝ったりするんですよね。それに関して、ひとつ聞きたいんですけど、関西は普通キャンターが速くて、関東は比較的遅いですよね。この違いは、そのあたりが影響しているんじゃないかと思うんですけど、どう思いますか?

[井]個人的な考えですが、あると思います。坂路で言えば、傾斜が関西の方がきつい。それなのに、傾斜が緩い関東の方が普通キャンターのスピードが遅いとなると、関西の方が負荷がかかっていることになりませんか?

[西]そういうことですよね。無理矢理抑え込んでまで、緩いキャンターを踏むべきなのかな、と思うことがあります。

[井]そこは考え方、なんじゃないでしょうか。速いキャンターもひとつの考え方ですし、逆もまた、ひとつの考え方だと思います。



[西]でも、昔の人たちに聞くと、美浦でも普段から15-15をやって、さらに追い切りもしていた厩舎もあったと聞きます。それができなくなったのは、馬が弱くなったからだ、と言う人もいましたけど。関西の人や、関西に行ったことがある人と話をすると、そうでもないと。調教量や強さについては、もうちょっと意識した方がいいのかもしれませんよね。

[井]関東でも坂路、コースが改修されるので、それでどうなっていくかというところもあるんじゃないですかね?

[西]確かに。あれ? そういえば、まだ寮に住んでいるんですか?

[井]そうです。

[西]そろそろ、外にマンションとかを借りないの?

[井]一緒に住む人もいませんし、寮でいいですかねぇ。

[西]いるじゃないですか。石川が。

[井](笑)気持ち悪いこと言わないでくださいよ。周りから「お前、絶対女性を好きじゃないだろ」って言われるんですから。やめてくださいって。

[西]本当に、女性に興味があるんですか?

[井]だから、やめてください。女性が好きですよ!

[二人](爆笑)

[西]それにしても、石川とよく一緒にいるイメージがあるんですよね。

[井]一緒にいることは、確かに多いですけど。といっても、好きなのは女性です!

[西](笑)。そういえば、デビュー当時に目標とする騎手は誰だったんですか?

[井]武豊さんですね。

[西]自分自身から見て、騎手としてのいまの自分をどう見ていますか?

[井]どうなんですかね? ただ、周囲からは個性がない、と言われたりします。

[西]騎手としての個性、ということ?

[井]はい。

[西]そうなのかなぁ。でも、騎手としての個性って、どういうことを言うんだろうね? 例えば、できるだけ前に行くとか、後ろから脚を溜める競馬をするとか、あるいはインに拘る、ということなのかなぁ。

[井]たぶん、そういうことだと思いますよ。

[西]でもそれって、馬にもよるし、状況にもよりますよね? そもそも、これは自分自身の考えなんだけど、確かに助手とかは馬には乗れるけど、レースには乗ったことがないわけですよ。だから、レースがどんなもので、どんな感覚なのか、ということは分からないと思っています。もっと言えば、あの騎手のどこが上手いとか、本質的な部分でわかるのは、騎手同士だけだと思うんですよ。



[井]レースと調教で、それぞれの違いは確かにあるとは思います。

[西]昔、ある騎手が別の騎手について「あの人は上手いよね」と言っていたので、「どこが上手いと思うんですか?」と聞いたことがあったんですよ。すると、「行きたがる馬をうまくなだめるんだ」と言われたんです。我々にとって、それを判断することだけでも難しいし、どういう動きがそうしているのかも分からない。実際、そういうことが分かる人って、少ないと思うんです。その後、その「上手い」と言われた騎手の人と直接話したときに、それとなく話を振ると、「指と手綱の感覚で駆け引きをしている」と言われたんですよ。

[井]あっ、指なんですね。知りませんでした(笑)。

[西]指らしいですよ(笑)。冗談は置いておいて、指の動きなんか我々には分かりませんし、もっと言えば脚で馬とのコンタクトを取っていることさえ、見ただけで分かる人なんていないと思います。

[井]確かに、騎手以外の方にはなかなか分かっていただけない感覚はあるかもしれませんね。

[西]あ、そういえばもうひとりいました。昔、(村田)一誠さんに(横山)ノリさんの上手なところを聞いたんですよ。すると、中山の2500とかで行きたがる馬に乗っていたとしたら、1周目のゴール板で馬にゴールしたと錯覚させるために、一回手綱を放すんだ、と言われたんです。

[井]それは確かに、見ているだけではなかなか分からないかも。

[西]手綱を放すと言っても、プランプランにするだけじゃないはずです。それこそ指だけで緩めることだってあるわけで、それは見ているだけでは分からないですよね。騎手の人たちがやっていることというのは、かなり高度なことだと思いますし、凄いことです。でも、そのことが忘れ去られてしまっているような気がするんですよ。

(※次回へ続く)

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!


TOPページに戻る