独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

西塚助手

関東のホープ・横山武騎手、藤田菜騎手の強みとは


先週は、横山武史騎手フローラSを勝って初重賞制覇を飾り、土曜の福島1Rでは藤田菜七子騎手がJRA通算100勝を挙げ、関東の若手騎手の活躍が目立ちました。

同じ関東所属として、彼らの活躍は僕にとっても嬉しいことなので、今回はこのふたりについて話をしたいと思います。

まず武史ですが、所属している鈴木伸厩舎と我が尾関厩舎は同じブロックで、運動場が同じなんです。なので、僕も武史のデビュー前からよく知った仲だったんですよね。

きっかけは、今でも覚えています。中央から地方交流レースに出走する馬がいて、そのレースが火曜だと、月曜に調教が行われることが多いんです。でも、月曜は基本的には全休ですから、調教しているのは火曜に出走させる陣営だけ。馬が少ない分、馬場入りする時間はだいたい同じくらいになるんですよ。

そこで、競馬学校生という立場で実習に来ていた武史と、馬場へ向かっていくときに、よく一緒になったんです。そうして頻繁に顔を合わせるうちに話をするようになって、仲良くなっていったんですよね。

どんな話をしたかというと、まずはもちろん、お父さんのノリさん(横山典騎手)の話です。ゴールドシップにノリさんが乗ってジャパンCに挑んだ時(2015年)に、まだ競馬学校生だった武史と一緒に関係者席で観戦したこともあります。

実は、僕個人としては、テレビやパトロールビデオの方が分かりやすいと思っているので、競馬場に行ってもレースを生で見ることはあまりないんです。でもその時は武史がいましたから、『一緒に観戦するか?』ということになったように記憶しています。

僕自身が武史にどんな印象を抱いているかというと、最近の若手の中でも一番元気が良い、ということでしょうか。

最近の若手は、みんな挨拶などもしっかりとできるし、良い子たちなんです。ただ、言い方は適当ではないかもしれませんけど、良い子過ぎる面もあるかな、とも思います。

大人の世界に20歳前後の青年が入る時、皆さんが大人の立場としてまず何を教えるかと言われると、まずは礼儀正しく、ということではないでしょうか。でも、もちろん礼儀は大事ですが、良い子過ぎるだけでいいかというと、それは少し違うように思うんですよね。

例えば冗談を言われて、それに対して冗談で上手に返すことができるようなタイプ。そういう人間の方が、我々のような世界では可愛がられるんじゃないかと思います。

武史は最近には珍しく、そういうタイプのように思います。しかも、それはデビュー前、全休日の朝に運動に乗っていた頃から、そういう感じなんですよ。もちろん、それは今でも変わっていません。

それを見て、生意気に感じる方もいらっしゃるのかもしれません。でも挨拶なども含めて礼儀はしっかりしていますし、そうでいながら自分の意見をしっかりと言うことができる。そんな人間なんです。

武史自身としては、お父さんを超えたいという思いが強いみたいです。実際、武史は今年4年目ですが、現時点で関東リーディングに立っていて、3年目までの勝ち星はノリさんよりも多いそうです(横山典騎手65勝、横山武騎手102勝)。

これで本番のオークスを勝てば、ノリさんの5年目(90年エリザベス女王杯キョウエイタップ)より早いG1制覇になります。簡単ではないでしょうが、本番も武史らしい騎乗で、お父さんをひとつ超えることができたら、僕としても嬉しく思います。

また、5年目の藤田菜七子騎手は、女性騎手としては初めてJRA通算100勝を達成しました。単純に、これは凄いことですよね。

その100勝の中には、僕自身が担当した馬で挙げた勝ち星もありますし、それ以外の尾関厩舎の馬に乗っていただいたこともあります。ですから、藤田騎手もデビュー当時からよく知っています。

そんな藤田騎手が一番凄いのはどこかと聞かれると、変な言い方かもしれませんが、いい意味で図々しいことでしょうか。言い方をかえると、度胸があるというか、肝が据わっています。

どんなところでそう感じるかというと、たとえば普通の新人が“逃げろ"という指示をされていたとします。でも、実際は逃げることができなかった。すると、普通の新人だと、そこから強引に行ってしまうことが珍しくないんです。でも藤田騎手は、行けなかったとしても、そこで冷静になり、動かないでじっとしていることができるんですよ。

負けてしまいましたけど、コパノキッキングと挑んだ昨年のフェブラリーS(5着)も、もう少し前に行くべき、という意見もあるのかもしれません。でも、恐らく本人は、少し長いと思われる1600mで勝つにはこの乗り方しかない、という思いで控えたんじゃないか、と映ったんです。

前に行ければ格好は付きますし、そういう選択肢があったことは彼女もわかっているはず。でも、そうすれば掛かってしまう可能性も出てくるわけです。そういったリスクを考え、G1の舞台で腹を括ってああいうレースをするのは、本当に凄いと思うんですよね。

関東からこのような若手騎手が出てきたことは、僕自身としても本当に嬉しいことです。彼らはこれからも活躍を続けてくれるでしょうから、僕も期待したいと思っています。

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!




TOPページに戻る