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西塚助手

馬場を運で片付けず、味方に付けることもできるんです


先週から函館開催が始まったことで、いよいよ夏競馬本番という感じですね。

その函館ですが、今年は新型コロナウイルスの影響を受けて、やはり例年とは違っています。厩舎関係者の外出時間が決められていたり、それ以外にもさまざまな規制があるようです。そのあたりの詳しいことについては、現地の話を総合してから、来週以降に改めてお話しします。

今回は、先週の東京の馬場を見ていて思い出したことがあったので、それについて話をしたいと思います。

先週の東京と阪神は雨模様で、特に東京は馬場が悪く、芝、ダートともに終始不良馬場で行われました。そんな馬場の影響を受けてか、人気を集めていた馬が馬券圏外に敗れ、極端な人気薄の馬が好走するケースも見られました。

僕自身、そんな雨中のレースを見ながら、こういった馬場状態になることも含めて競馬には運の部分がどうしてもあるなあ、ということを、改めて考えていました。

競馬で運が関わる部分といえば、まずは枠順でしょう。実際のところ、例えば東京の芝のレースにおいては基本的に内枠が有利で、外枠が有利なケースはほぼないと言えます。もちろん、レース、あるいは馬によっては外枠の方が良いこともあるでしょうが、基本的には内枠の方が良いはずです。

だから、みんなが内枠に入りたいと思っても、そこは抽選ですから、内枠に入ることもあれば外枠になることもある。それは運を天に任せるしかないわけです。

もうひとつは、ゲートです。出遅れは、それだけで大きな不利になりますから。

とはいえ、しっかりとゲート練習をして、練習では何の問題もなくレースに送り出したとしても、いざレースでは上手に出ることができない、あるいは行き脚が付かず置かれてしまうことはよくある話。それは騎手がどんなに対策しても、そうなってしまうことはあるんです。

あとは、先週のような馬場状態です。道悪馬場をこなせるように人間がどうにかしようとしても、なかなかできないでしょう。もし、調教で常に不良馬場を走らせたとしても、それで道悪が不得意だった馬が得意になることはないはずです。

ただ、枠順、ゲート、馬場は結果に大きく関わってくるのも事実ですが、このように人間の力が及ばない部分を我々が敗因にしてしまうと、何の進展もないんじゃないか、とも思います。

運の部分も含めて競馬。それでも、運ではない部分をどうにかして、勝利に近づけることが、僕たちの仕事なんだと思っています。

ただ、先週の競馬を見ていると、運が勝敗に大きく影響を与えていることを、改めて実感させられます。万全な状態で送り出すことができたとしても、先週のような馬場では力を出せないケースもある。逆に、強い相手で厳しいと思われていたのに、あのような馬場を味方にして好走することもあるわけです。そこも競馬の面白さのひとつですよね。

と、ここまで話したことを覆すようですが、馬場が悪いのを運で片付けず、人間の方から味方に付けて勝ったことがあったんです。冒頭で話した“思い出した"のは、そのレースです。

それは、重馬場で行われた2007年のスピカS(中山芝1800m)でした。菅原泰夫厩舎が管理していたヨイチサウスという馬に江田照男さんが乗って、最内枠からラチ沿いを逃げて押し切ったんです。

あのレースの直後、菅原先生が僕に解説をしてくれたのですが、あのレースは「作戦通り」とのことでした。

ちなみに、安全確保の観点から、ラチから1頭分のスペースは通らないことが暗黙の了解というか、騎手の間でのマナーになっています。特に、後ろから来た馬がそこを通ってくると、逃げた馬の脚が鈍った時に避けるスペースがなくなって危ない。だから、そういう行為をすると、他の騎手から厳しく指摘されるそうです。

ただ、逃げた馬がそこを通っても、まっすぐ走っている分には他馬に迷惑をかけることはあまりないし、後続にとっても避ければいいわけですから、そこまで問題にはならない。ですから、そこまで厳しく指摘を受けることはないようです。

菅原先生曰く、それを利用するテクニックがあるそうなんです。馬場が悪くなる中、比較的状態の良い内ラチ沿いを逃げる、という作戦がズバリ当たったとのことで、引き上げてくる馬を待つ枠場で、先生が熱い口調で話してくれたことを今でも思い出します。

これは、人間の方から道悪を味方に引き寄せた、いい例なのではないでしょうか。皆さんがレースを推理する時にも、参考になるかもしれませんね。レースを見られる環境の方は、ぜひ見てみて下さい。

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