西塚助手
6月デビューの2歳馬が増えている要因とは?
今週末で、7月の競馬も終わり。3歳未勝利馬にとって正念場を迎えている一方で、2歳馬も続々とトレセンに入ってきています。
ダービーの翌週から2歳新馬戦が始まるようになったのが2012年ですから、今年で9年目。この日程も、すっかり定着した感があります。
“定着した"というのは、出走頭数を見ても分かります。この日程が始まった当初、特に東京や阪神の新馬戦では頭数があまり揃わないレースも多かったと思うのですが、今年はフルゲートのレースも見られるようになりました。
調べてみると、2012年は6月の東京&阪神の2歳新馬戦は12レースで125頭の出走があり、つまり1レースあたり10.4頭でした。それに対し、今年は18レースで225頭(※競走除外を除く)ですから、1レースあたり12.5頭。レース数が増えて、さらに1レースあたり2頭以上増えている計算になります。
この要因としては、我々厩舎側はもちろん、育成牧場、さらには生産者の方々まで含め、関わる皆さんの習熟度が上がったからだと思うんですよ。
現在の日程になるより前は、トレセンで2歳馬を見かけるようになるのがだいたいゴールデンウィークくらいで、その頃から続々と入厩してくるイメージでした。それが、今年は2月くらいから2歳馬を見るようになっているんですよね。
それだけ、早い時期から馴致が行われているのでしょうし、6月のデビューに向けて、トレーニングをどの程度すればいいのかということも、経験則で分かってきたんだと思います。
また、当時は早期デビューを目指して入厩してきたはいいものの、ゲートもままならず、人間からの指示に反応できない、人が乗るだけで暴れるケースもあったと聞きます。しかし、現在はそういった馬をほとんど見かけなくなりました。
実際、トレセンに入ってきてから調教に耐えられずに牧場に戻る馬も、アクシデントを別にするとかなり少なくなっているんじゃないかと思うんですよ。
もちろん、早く戦力になるのは馬主さんにとってもプラスですから、生産者の方々も早く生まれるような交配、仕上がりの早さを重視した配合を行うなど、いろいろな対応をされているんでしょう。
以前は厩舎で乗り馴らしを行っていた時代もありましたが、今の競走馬は生産牧場で生まれ、育てられ、育成牧場で馴致されて、我々厩舎に送り込まれ、そしてデビューしていきます。
実際、レースに行く頃には当たり前のようにできることでも、それをできるようにするには大変な労力がかかります。ファンの皆さんには見えづらい部分かもしれませんが、そこが本当に大変だし、凄いことなんですよ。僕自身、そういった部分に携わって下さる皆さんには、リスペクトと感謝の気持ちを常に持っています。
我が尾関厩舎にも、続々と2歳馬がやってきています。それまで携わった皆さんの思いを受け継いで、自分が携わる馬が能力をすべて発揮できるように、全力で頑張ります。皆さんも、応援をよろしくお願いします。
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