西塚助手
レースがない、騎乗できない時期に騎手が行うこととは?
先週まで3週続いた新潟、札幌の2場開催が終わり、今週から新潟、小倉、札幌の3場開催が始まりますね。
ファンの皆さんもそうかもしれませんが、この3場開催を待ちに待っていたという厩舎関係者は、特に関東に多いんじゃないかと思います。
なぜかというと、特に新潟では3歳未勝利戦に関東、関西から馬が殺到して、なかなか使えなかったですから。ようやく小倉が始まるということは、関西馬がこちらに来る頭数が減るはずです。そうなると、ある程度使っていけるようになるんじゃないか、と期待しています。
それにしても、この2場開催の時期は、関西馬にコテンパンにやられました。新潟では12レース中、関西馬10勝、関東馬2勝という日もありましたから。
G1など上級条件では関東馬が盛り返している、と言われることがありますが、こういう結果を見せつけられると、まだまだ西高東低は変わっていないことを痛感させられます。関東も何とか頑張らなければ、という気持ちになります。
ところで、この2場開催に限らず、今年の夏はいろいろとイレギュラーなことがあって、話題になったところだと8月8日(土)は新潟芝直1000mのレースが組まれていませんでした。新潟で開催を行う時に直線競馬がないのは珍しいそうですが、8月15日(土)、22日(土)、9月5日(土)も同じように組まれていないんですよね。
また、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2場開催だった3週に組まれていた障害レースは、8月1日(土)に行われた新潟ジャンプSだけでした。
関東の厩舎関係者と同様に、障害を専門に乗る騎手も、この3場開催を待ちに待っていたはず。そんな中で、実はこの3週間を有効に使っていた障害騎手がいるんです。そのひとりが、我が尾関厩舎の調教を手伝ってくれている靖典(蓑島騎手)です。
靖典は新潟ジャンプSに騎乗していませんでしたから、3週間騎乗がなかったわけです。その期間に何をしていたかというと、以前鎖骨を骨折したときに入れたプレートを取り除く手術を受けていたんですよ。
靖典は2場開催が始まる直前まで追い切りを行って、それから手術をして、先々週、先週と休んで、今週から調教にも復帰しました。美浦の障害騎手だけでも、同じような手術を受けた人がほかに2名ほどいるそうです。
この2場開催の時期に、そのような時間の使い方をする人がいたことにも驚きましたが、プレートが体内に入った状態で騎乗している人がそんなにいたんだ、ということにも改めて驚いたんですよね。
このような行動は、もちろん障害騎手に限ったことではなくて、平地に乗る騎手も同じような感じです。たとえば騎乗停止になったタイミングとか、年末の有馬記念やホープフルSから金杯までの期間に、何らかの手術を受けたり、治療する方も珍しくはないんです。
騎手は怪我からの復帰が早い、ということをファンの方も感じるかもしれませんが、確かに体にメスを入れて2週間で復帰するというのは、なかなか普通の感覚で理解するのは難しいと思います。また、プレートが入った状態でレースに乗っているのも、本当に凄いと思います。
1年中開催が続き、ほとんどオフシーズンがない日本の競馬において、騎手の方々にとっては、手術を受けるタイミングもなかなかないというのが実情です。
僕たちもそうですが、騎手にとっても自分の体は大事です。レースがない、レースに乗ることができない時期も、その体をケアするために、時間を有効に使っているんですね。
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