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西塚助手

馬房数と地理的な不公平感は、解決が難しい課題なのかもしれません


報道でご存じの方も多いと思いますが、先週金曜に栗東トレセンで火災が発生し、犠牲になる馬も出てしまいました。

JRA発表によると、現在のところ原因は不明とのことで、我々もその発表以上のことはまだ分かりません。被害に遭われた厩舎関係者と馬に、お見舞いを申し上げます。

また、同じく厩舎で働く者として、今回の件は決して他人ごとではありません。栗東トレセン開場から50年以上、美浦トレセンも40年以上経ちます。トレセンという性質上、一般家庭とは状況が違いますが、よくいままでこのような火災がなかったな、という思いもあります。

今後原因が特定されれば、我々にも注意喚起がなされるかもしれません。いずれにしても、改めて気をつけなければと、気が引き締まります。

さて、先週のこのコーナーで夏の3場開催がいよいよ始まる、という話をしましたが、それに伴って投票の方法が変わりました。

2週前までは新潟と札幌開催でしたから、新潟は関西馬も含めて、どの馬も出走の意思があれば投票できたんです。いわゆる、我々厩舎関係者で言うところの“追い込み"形式です。

この“追い込み"は、基本的にはその競馬場に滞在できない、しない、というのが大前提になります。

しかし、先週から小倉開催が始まったことで、それぞれの競馬場に各厩舎に割り振られた馬房と、他厩舎から借りるなどした馬房、つまり、あらかじめ準備した馬房がないと投票できない形式になったんです。

ちなみに先週、我が尾関厩舎は8頭(※すべて新潟)出走させていただきましたが、割り当てられた馬房は7つ。残りのひとつは他の厩舎から借りて投票しました。

函館や札幌であれば、関東と関西にかかわらず、各厩舎に馬房が割り当てられるんですけど、新潟は関東馬、小倉は関西馬を中心に割り振られます。

もちろん、新潟にも関西馬、小倉には関東馬にも馬房が割り振られますが、関西馬の小倉、関東馬の新潟に比べると、少なくなっています。

そういった状況ですから、関西馬が新潟に出走させたくても、馬房が足りないために出走できないケースも出てくるわけです。

また、小倉に少頭数のレースがあっても、関東馬は馬房がないと投票できませんし、逆に新潟でも関西馬は馬房がないと投票できない。

さらに、自ブロック制という制度により、下級条件馬は他ブロック、つまり関東馬が関西、関西馬が関東のレースに出走しにくくなっています。

ちなみに、先週土曜の新潟1R(障害未勝利戦)は関東馬だけで11頭、8R(1勝クラス)は関東馬だけで9頭という状況でした。一方、その日のメインは3勝クラスでしたが、関西馬が多く投票して除外になっています。

投票しているということは、馬房が準備できているはずですから、その馬が除外になると準備した馬房が無駄になってしまうんですよね。

このような状況はもったいないし、不公平だという声もあるようです。確かに、世界中で競馬が行われ、移動が当たり前の時代ですから、関東だ、関西だと言っている場合じゃないというご意見があるのはわかります。

とはいえ、関西馬にとって小倉には、関東馬にとっての新潟と同じように馬房があるわけです。また、特別馬房といって、出走するレースの1週前、あるいは当週に入厩できる馬房もあって、制度上の配慮もされているわけですから、そのこと自体が不公平ということになるのかどうか。

個人的に思うのは、新潟で行われる高額条件に出走する関西馬が多いのに対して、小倉に出走する関東馬が少ないという状況も、不公平感を抱かせる要因なんじゃないかと。

ただ、これについては地理的な条件が大きいでしょう。関西馬は栗東から小倉、栗東から新潟、それぞれ距離的にも無理なく出走できますが、関東馬が小倉に行くとなると、北海道より遠いわけです。実際に我々関東の立場だと、特にいまのような猛暑の時期に、投票してから小倉に向かって勝負をかけるとなると、やはりリスクは少なくありません。

今は、輸送してレースに出るのが当たり前の時代です。とはいえ、地理的な不公平感はどうしてもあるわけで、制度上の馬房数の不公平感とのバランスをどう取るか、夏になると考えさせられます。

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