独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

西塚助手

星野先生、蛯名さんの引退に寄せて


先週で2月の競馬が終わり、調教師や騎手を引退される方々とのお別れの時期が来てしまいました。関東では、星野忍調教師蛯名正義騎手が引退されました。

僕自身、引退される先生や騎手の方が最終週を迎えると、その出走馬をチェックして、どの馬にチャンスがあるのかな、と考えるようにしているんです。星野先生は土曜に1頭、日曜に2頭出走させていらっしゃいましたが、中でも最後の出走馬となる、日曜の中山8Rに出ていたカイアワセはチャンスがあるんじゃないか、と思ったんです。

なのでレース前、先生の息子さんで助手をやっている薫さんに「良さそうではないですか?」と言うと、「感じはいいと思うよ」と返ってきました。騎乗した脩斗(小林脩騎手)とも「勝ってこいよ」「頑張ります」という会話をしていたんですよね。

西塚厩舎時代、星野厩舎とは同じ並びで、運動でもよく会いましたし、薫さんとは、騎手と調教師の息子として同じようにトレセンで育った間柄です。この世界に入ってからも、よく面倒をみていただき、お世話になっていますので、最後のレースは身内のような感覚で応援させていただきました。

そして、カイアワセは期待通り、1番人気に応えて勝ってくれました。星野先生が調教師として最後に出走させた馬で勝つことができて、本当に良かったです。

そして、蛯名さんです。騎手としての功績は皆さんご存じの通りで、いまさら僕が話をさせていただく必要はないでしょう。ですから、僕が騎手としての功績と同じくらい、ひょっとしたらオンリーワンの功績じゃないか、と思っていることを話すことにしたいと思います。

それは、騎手という立場から、騎手全員のことを考えて、活動をされてきたということなんです。

蛯名さんは日本騎手クラブの副会長や、関東本部長を長年務められました。そこでは、騎手の労働環境や立場などを守り、そして向上させるために、それこそ自分の立場を犠牲にしてまで頑張ってこられたんですよ。

たとえば、以前は騎手の調教騎乗料や競馬場に向かう交通費が支払われないケースがありましたが、そういった問題の対処。怪我のために引退し、調教師を受験できなくなってしまった騎手の生活をどうするのか、そういった部分のケア。以前からあった、騎手を取り巻く厳しい環境に対して、JRAはもちろん調教師会や馬主会とも折衝をしてこられました。

蛯名さんも現役騎手でしたから、もしかしたら自分自身の立場が悪くなり、乗れなくなってしまった馬もいたかもしれません。それにもかかわらず、若手や、そして乗れない騎手のことも考えて活動されてきたんですよ。

以前、蛯名さんから“レースに乗れない騎手たちの生活もしっかりと考えないと、絶対にダメなんだ。そういう人間が裏で頑張っているからこそ、良くなる馬も多い。彼らが競馬を支えていることを忘れてはいけない"という話を聞いたことがあります。

トップジョッキーであると同時に、そういう思いで活動するというのは、なかなかできることではありません。そういえば、引退式に金髪で登場した松岡さんが話題になりましたね。松岡さんもそうですが、それだけ蛯名さんを慕い、共感する騎手が多かったということなんですよ。

蛯名さんは3月から調教師になったわけですが、それほどの方が引退されてしまった影響は、もしかしたら小さくないかもしれません。

こういうことは、ファンの皆さんには伝わりづらい部分だと思いますので、この場をお借りして話をさせていただきました。僕も、騎手としてだけでなく、騎手全体のために頑張ってこられた蛯名さんの姿を忘れることはないでしょう。

お疲れさまでした。これからは調教師として活躍されることを、心から願っています。

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!


TOPページに戻る