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西塚助手

競走馬はすべて、厳しい調教を経てレースに出ているんです


今回は、先週行われた天皇賞・春から振り返りたいと思います。

従来の京都とは違い、今年は阪神競馬場で行われましたが、レースを見ていて、やはりコースが違うと展開が変わり、求められる能力も違ってくるんだな、と改めて思いました。

皆さんご存じの通り、京都の外回りコースには3コーナーに下り坂があります。京都ならじっくり構えて4コーナーを上手く回ってから……という意識になりがちで、少なくとも、3コーナーの下りで手綱を放して全開で加速していく人はほとんどいないと思います。

それに対して、たとえば天皇賞・春でいえば、昨年は前半1000m通過が63秒0だったのに対し、今年は59秒8。ペースが流れ、上がりがかかる競馬になったことで、そういう競馬に合う馬が台頭する結果になったように思います。

京都の外回りコースで行われるG1は天皇賞・春だけではなく、秋に行われる菊花賞エリザベス女王杯もそうです。これらのレースがすべて阪神の内回りコースに替わるわけですから、展開もこれまでのものとは違ってきそうです。皆さんにとっても、参考にできる点があるかもしれませんね。

さて、今回は別に話をさせていただきたいことがあるんです。それは、4月18日にばんえい競馬において、騎手や厩務員が馬の顔を蹴った件についてです。

僕自身、ばんえい競馬をよく知っているわけではありませんが、ご存じない方のために簡単に説明させていただくと、能力検査において障害を越えられず座り込んでしまった馬に対し、騎手や厩務員が頭を蹴ってしまった、ということのようです。

同じような事案で過去に処分が下った例があるそうで、この件の騎手や厩務員についても戒告処分が下されています。処分が下されたということからも分かるように、許される行為ではありませんし、僕も馬の顔を蹴るという行為が許されることではないと思います。

ただ、僕自身のことを振り返ってみると、決して他人事ではないな、とも思うんです。

たとえばゲート試験。馬が競走馬になるための第一歩は、ゲートに入ることです。もちろん、何をしなくてもゲートに入り、駐立をして、そして発馬ができるようになるのが理想です。

しかし、枠場に入ると、怖さや苦しさがあって、暴れる馬も現実にいます。そういう場合であっても、どうにかしてゲートに入ることができるようにするのも大事なことで、それを乗り越えないと競走馬になれないんです。

立ち上がる馬に対してステッキで教えることもありますし、ゲートの枠場に縛り、慣れさせることも選択肢のひとつです。もちろん、そういった行動は馬が憎いとか、イライラをぶつけるためではありませんが、見る人によっては不快に思うかもしれません。

馬の顔を蹴るという行動に出た今回の騎手や厩務員の方と、僕がゲート試験や競馬に向けて思っている『なんとかして競走馬にしたい』という気持ちには大きな差はないような気がします。

他人事ではないというか、その精神性は同じかな、とも思うんです。

ばんえいだけでなく、日本中の地方競馬で馬を調整している人も、中央競馬で働く僕も、同じような責任感の中で日々馬に向き合っています。そう考えると、今回の件で行動自体は不適切だったかもしれませんが、騎手の方がされた『イライラしてやったわけではない』というコメントは僕には理解できるし、何とかしたいという気持ちだったのではないか、と思います。

中央では毎週、地方ではほぼ毎日競走馬が走っていますが、そういった馬たちは厳しい調教を経てレースに出ています。それは決して簡単なことではない、ということは皆さんご理解いただきたいと思います。

僕としては、馬に対する感謝を忘れないことと、少しでも長く競走生活を送ることができるように精一杯頑張らなければと、改めて思います。

最後に、レディアイコの話もさせていただきたいと思います。放牧を経て、だいぶ成長しているようですが、それでも思ったように体重が増えていないようです。

今後について、先生からまだ何も言われていませんが、現状ではさらなる成長を期待したいと思っています。

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