西塚助手
僕がパドックで見るポイントは? 今週も皆さんのご質問にお答えします
先週の水曜、調教師一次試験が行われ、僕も挑みました。手応えはというと、またか、と思われてしまうかもしれませんが……あまり出来がよくありませんでした。正直に申し上げて、今までの中でも一番できなかったと思います。
特に難しかったのが馬学で、ジャンル的には獣医学的な設問だったのですが、正直聞いたこともない感じの問題で、まったく手が出ませんでした。
毎年応援してくださる方々には、大変申し訳ないという言葉しかありません。もう少し頑張って、あがいてみたいと思っています。
さて、今回は先週に引き続き、皆さんからいただいたご質問にお答えさせていただこうと思います。
うらら。さん
「西塚さん、初めまして。西塚さんは馬体を見る際に、まずはどちらの部分に着目されますか?」
「西塚さん、初めまして。西塚さんは馬体を見る際に、まずはどちらの部分に着目されますか?」
1年に1、2度くらいですが、僕も地方競馬の馬券を購入するので、これは実体験からお話ししましょう。
まず最初は、全体的なシルエットといいますか、馬っぷりをチェックします。全体的な骨格に対して、肩やトモの筋肉の付き方や腹回りなど、それぞれのバランスを見る感じです。
最初からこう言ってしまうのは恐縮ですが、ここは本当に千差万別です。スラっとして脚が長いタイプを良い馬と思う人もいれば、脚が短めでガッシリとしたタイプを良い馬と思う人がいます。これはとても難しいですし、正解はありません。
ちなみに僕自身は、ガッシリとしたタイプが好きだったりします。それに加えて、肩やトモを含め、全体的な動きにスムーズさがあるかどうか、という感じで見ています。
僕たちJRAの厩舎関係者が購入するのは地方競馬ということになるので、ほぼレースはダートです。なので、次は適性を見極めるべく、動きなども加味して見ていきます。
たとえば、俗に言う“コトコトした"歩様の馬ならダートの方が良さそうですし、逆にバネがあって柔らかな歩様をしている馬は、どちらかと言えば芝への適性があるだろう、という感じです。
歩様に関して補足すると、パドック解説などでは“トモの踏み込み"とか、“前脚の出"というようなことが言われますよね。皆さんが自分でご覧になる時は、前脚の出の方がわかりやすいような気がします。
もちろん、トモを踏み込んだときの力強さも大事ですので、慣れてきたらそちらにも注意する、という感じが良いのではないでしょうか。
僕が馬を見る時は、だいたいこんな感じです。どちらかというと、馬体よりも動きに注目する、ということになるのかもしれませんね。
競馬のお供にサラブレさん
「グランアレグリアの出走間隔についての話がありましたが、現場ではいろんな苦労があるんだなと感じました。そこで質問なのですが、尾関厩舎にいるグローリーヴェイズについて、海外競馬に出走した場合、その後、検疫などで60日ルールみたいなものがあると聞きました。さらに60日と90日とでは、その後の競馬にも違いがある、みたいなことを聞いたことがあります。それはどのようなことなのか、お聞きできたらいいなと思います」
「グランアレグリアの出走間隔についての話がありましたが、現場ではいろんな苦労があるんだなと感じました。そこで質問なのですが、尾関厩舎にいるグローリーヴェイズについて、海外競馬に出走した場合、その後、検疫などで60日ルールみたいなものがあると聞きました。さらに60日と90日とでは、その後の競馬にも違いがある、みたいなことを聞いたことがあります。それはどのようなことなのか、お聞きできたらいいなと思います」
日本では競走馬などの輸出入に関して、衛生条件というものが決まっています。基本的には、60日以上海外に滞在してきた場合、帰国後3ヶ月間レースに出走することができなくなるんです。
これは種牡馬、あるいは1~2歳で輸入されてくる外国産馬に対しても適用されますし、凱旋門賞で長期滞在する場合など、60日以上滞在する場合は、着地検疫として3ヶ月間ひとつの場所で過ごさなければならない、となっています。
特例として、国際交流競走に出走した場合はこれが免除されます。ここでいう国際交流競走というのは凱旋門賞や香港ミーティング、ドバイミーティング、メルボルンカップといった日本馬が海外遠征するレースはほぼそれにあたると思ってもらっていいです。
免除というのは具体的に言うと、競馬学校で行われる検疫が10日間から5日間まで短縮されて、その後の着地検疫も、通常なら3ヶ月間のところが3週間まで短縮されます。グローリーヴェイズが出走した香港はこれに当てはまっていて、実際に短縮された、というわけですね。
ちなみに、最近はドバイから香港や、オーストラリアから香港といったように、2ヶ国以上転戦する場合、直接2ヶ国目に入らないで一旦日本に帰ってくるケースもあります。これは、この60日ルールをリセットするためにそうしている、と考えてもらっていいかと思います。
輸出検疫については、まだまだ細かいルールがありますが、ここでは省略させていただきます。大枠の説明はこんなところです。
今回はここまでとさせていただきますが、今後も定期的に質問にお答えしたいと思っています。真面目な質問だけでなく、軽い疑問や質問でも大丈夫ですので、引き続きお送り下さい。
最後になりますが、先日岩手に転籍したレディアイコについてもメッセージをいただいています。本当に嬉しいですし、ありがとうございます、という言葉しかありません。
9月19日には移籍初戦を迎え、結果は7着でした。ただ、着順よりもまずは無事に出走することができましたし、ゲートの問題などもクリアしていたようなので、それが何よりです。
もちろん、最初から勝ち負けできればいいのですが、環境に慣れて、競馬をすることで成長していくことも大事だと思っています。まだまだ成長途上ですし、そうして強くなってくれることを願っています。
僕自身も、これからもできる限り応援したいと思っています。皆さんも引き続き、応援をよろしくお願いします。
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