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西塚助手

【天皇賞・秋回顧】自分の競馬に徹したエフフォーリア&横山武騎手の凄さが際だった


先週の天皇賞・秋はG1馬が5頭出走する好メンバーで行われ、唯一の3歳馬として参戦したエフフォーリアが、古馬を相手に堂々たる競馬で勝利を収めました。

今回のレースを見て、ファンの皆さんはどう感じられたでしょうか。僕自身はレースで乗ったことがありませんので、あくまで見た感想になるのですが、上位に入った3頭のコース取りから各馬の思惑が見てとれるようで、とても見応えがある競馬だったと思います。

最初に話をしたいのは、2着に惜敗したコントレイルです。騎乗していた福永さんも話していますが、ゲートで頭を下げた時に若干出遅れ、直線でもモタれる面を見せたようでした。ただ、そんな中でも福永さんはベストを尽くしたと思いますし、上手く対応されていたと思います。

コントレイルは、大阪杯以来約7ヶ月ぶりの出走でした。厩舎スタッフとしての自分の立場で置き換えて考えると、休み明けの馬の場合はゲートをしっかり出られるように対応しますが、それでも簡単ではないんですよね。

最後にモタれる面を見せなければ、もしかしたら別の結果になっていたかもしれませんが、ゲートを含めて休み明けの影響があった可能性がありそうです。ここは、陣営も悔しいところかもしれません。

ジャパンCがラストランと伝えられていますが、一度使われたことで変わってくるでしょうし、ここから陣営がどう対応するのか、注目したいと思います。

一方、グランアレグリアは3着でしたが、レース内容、ルメール騎手の騎乗、馬のコンディションを含め、申し分なかったのではないでしょうか。それでも敗れたのは、やはり距離なのかなあ、という印象を受けました。

普通の相手なら2000mはこなせるかもしれませんが、今回先着を許したエフフォーリアコントレイルの2頭は超がつくほど強い馬で、この中に入ると若干長かったということなのでしょう。この2頭がいなければ勝っていたという内容ですから、改めて力を示した、ということなのではないでしょうか。

これまで、グランアレグリアについては何度か話をしていますが、同じ関東馬で、普段の調教を見る機会が多いんです。そこでいつも感じるのは、普通キャンターがすごく速いんですよ。

この点こそ、グランアレグリアを管理する藤沢和雄先生の凄さがあると思っています。馬の状態と気持ち、そして能力を見極めて判断しているのでしょうけど、これが意外に簡単なようで、なかなかできることではないんです。

普通キャンターというとだいたいハロン17~18秒くらいですが、グランアレグリアは普段からハロン15秒を切るくらいで坂路を登っています。普通はそれで「はい、OK」とはなかなかならないもので、テンをもう少しゆっくり入ることはできないのか、とか、時計にもっと細かい指示を出すとか、そういう注文を入れがちです。

たとえば行きたがる馬をハロン17~18秒で、となった時に、ゆっくりキャンターをさせようとすると、わざと馬のバランスを崩して乗る方法があります。しかし、そうすると時計は合うかもしれませんが、馬への負担も大きくなる可能性があります。これでは時計を合わすだけで、決していい調教とは言えません。

しかし、グランアレグリアの調教を見ていると、そういう意識をあまり感じさせません。だから、調教で速いタイムが出ても、馬にはそこまで負担になっていないんじゃないでしょうか。

そこからも推察できるように、藤沢先生はいい意味で時計を大きく捉えているように思います。それは馬の本質を見極めているからこそできることで、時計に関してもドンと構えていられるんじゃないか、と思うんですよね。

実際、乗っているスタッフの方に伺っても、極端に速くならない限り、そこまで細かくは言われず、あくまで馬の行く気と状態を重んじているそうなんです。

僕もそうですが、同じことをできる方はなかなかいないと思っています。藤沢先生はどこが凄いのか、といろいろ言われますが、個人的にはそこに一番凄さを感じます。

最後は、勝ったエフフォーリアです。武史(横山武騎手)の騎乗ぶりは、本当に見事でした。

騎手の方々とレースについて話をしていて、いつも感じることがあります。競馬には相手関係、枠順、馬場状態などさまざまな要素があって、たとえ乗っている馬の力を発揮するために一番良いのが何か分かっていたとしても、その通りにレースを進めるのはなかなかできない、ということです。

僕も、G1を勝ったこともある騎手から伺ったことで、特に印象に残っているのが、一番大事なのはその馬に最高のパフォーマンスを発揮させることで、枠や馬場、相手関係とか、そういうことを言っている時点で半分負けてしまっているんだ、という言葉です。

今回は先に話が出たようなコントレイルグランアレグリアという強いライバルがいましたが、武史はエフフォーリアの競馬に徹することだけに注力していたように見えました。

武史はまだ22歳で、この年齢でこんなことができるのは、本当に凄いことだと思います。これからどんな経験、キャリアを積んでいくのか、本当に楽しみです。

最後になりますが、前回も好評をいただいた僕に対する質問コーナーを、近いうちにまたやってみたいと思っています。軽い質問でもお答えしますので、ぜひお送り下さい。お待ちしています。

※西塚助手への質問、「指令」も募集中。競馬に関する質問、素朴な疑問をお送り下さい! 「こんな人と対談してほしい」などのリクエストも歓迎です!


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