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西塚助手

グランアレグリアを近くで見せていただいたことは、僕にとっての財産です


先週のマイルCSは、天皇賞・秋から中2週で臨んだグランアレグリアが連覇を達成。G1・6勝目を挙げるとともに、引退レースを勝利で飾りました。

グランアレグリアは今回で9勝目となりましたが、それまででもっとも短い間隔での勝利が、今年のヴィクトリアマイル(中5週)。それより間隔が詰まった時は、NHKマイルC(中3週、4位入線5着降着)、安田記念(中2週、2着)と勝てていませんでした。

これは僕の経験に基づく想像ですが、ローテーションが決まった段階で、グランアレグリア陣営の方々もそういったことは分かっていたはずですから、馬が力を出し切れる状態で送り出すことに専心したはずです。やるべきことをやって、あとは馬に頑張ってもらうしかない、という意識だったんじゃないかと。

結果はご存じの通り、強いのひと言でした。今年のマイルCSは、同じメンバーで何度やったとしてもグランアレグリアが勝ったんじゃないかと思います。

レースを振り返ると、グランアレグリアは連覇を飾りましたが、昨年と同じ阪神でも序盤のペースが大きく違っていました(昨年は前半3F34秒9、今年は35秒6)。

そんな中、グランアレグリアは昨年よりも後ろの位置取り。時計だけ見ると後半速くなっているように見えますが、実際のところは地力勝負の消耗戦で、マイルの競馬というよりも1800~2000mのような印象を受けました。遅めのペースでもこのような競馬になったことに、少し驚かされました。

2着のシュネルマイスターは、もう1列前で競馬をしたかったかもしれません。しかし、現時点ではグランアレグリアの方が上回っていた印象で、もう少しペースが速くなっていたら、さらに強い競馬をしていただろうと思います。

話が変わりますが、グランアレグリアは調教でも一緒になることが多く、個人的にもいろいろな面でインパクトが強い馬でした。

その中でも印象深いのが、良い意味で“攻めている"ローテーションです。牡馬と牝馬の違いはあるかもしれませんが、藤沢和雄先生がかつて手がけられたタイキシャトルは全13戦がすべて1600m以下だったのに対し、グランアレグリアはトップクラスのメンバーが集まる2000mに挑戦させていますし、2歳時は牡馬相手の朝日杯FSを選択されたりしています。

以前も話をさせていただきましたが、若い頃のグランアレグリアは普段の調教でも気性の激しさを見せていて、難しそうな印象でした。当時の姿を知る僕としても、そんな馬が古馬になってから2000mのG1、しかも牡馬相手でも好勝負を演じるようになるとは、思いもしませんでした。

藤沢先生はどこが凄いのか、僕なりに考えてみたのですが、すべての馬に対してレースの結果だけで判断をしない、ということが一番なんじゃないでしょうか。

言葉にすると当たり前に思われるかもしれませんが、これが簡単なように思えて、なかなか難しいものなんですよ。

誤解しないでいただきたいのは、レースの結果がそれほど重要ではないと言っているのではありません。皆さんもお分かりだと思いますが、前走が2着だったからといって今回も好走するとは限りませんし、前走10着の馬が勝つこともあります。着順は数字で表される分、一番分かりやすい指標ですが、それだけではないということです。

レースで見せた馬の姿、それを教えてくれるジョッキーの方々の言葉、普段の調教の様子、すべてをバランス良く観察して、馬の状態、能力、適性を的確に見極めること。それこそが、藤沢先生の凄さだと思うんです。

来年引退を控える藤沢先生ですが、今でもトレセンで馬の傍にいて、その様子を観察している姿を目にします。そういった姿勢で判断した結果が、グランアレグリアの戦績に集約されている気がします。

勝って当たり前と言われる中できっちりと結果を出すのは、簡単ではありません。同じく馬に携わる者として、グランアレグリアを近くで見せていただいたことは、僕にとっても財産だったと思っています。

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