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西塚助手

【対談・青木孝文師①】今回は青木孝文師をゲストにお迎えしました!


青木孝文師…以下[青]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]今回の対談ゲストは、今年3月で開業3年目に入る青木孝文調教師をお迎えしてお送りさせていただきます。以前からお願いしていて、ようやく実現することとなりました。

[青]よろしくお願いいたします。以前からオファーを頂戴していたのですが、なかなかタイミングが合わなかったりして、いよいよということですね。



[西]この連載、読んでいただいたんですよね?

[青]知っている顔もよく出ていますし、拝見していますよ。印象に残っているのは、金子光希(2017年8月~9月。第1回はこちら)でしょうか。昨年末に武士沢さんでリアルなジョッキーの声を聞いて、田辺君で年明けを華やかにする。そうこうしているうちに9月になって調教師試験の反省、という流れだと理解しております。

[西]その通りでございます(笑)。対談相手に困った時は武士沢さんを呼ぶことになっているんじゃないか、という声もいただいているんですけどね(苦笑)。さっそく始めますが、青木先生は僕の1年前にトレセンに入っているんですよね?

[青]そうですね。私が今年38歳になるんですが、高校を卒業してBTCから牧場に入って、トレセンは15年目です。塚さんは大学院からですよね?

[西]中退ですけどね。ふと思ったんですけど、大卒ではなくて調教師試験に合格しているのは、ここ数年では誰がいましたっけ?

[青]知っている範囲ですと、田島(俊)先生、斎藤誠先生、あとは小島茂之先生ですかね。

[西]高校時代は、札付きのワルだった小島茂先生ですね。あ、これは言っても大丈夫です(笑)。あとは勢司先生ですか。考えてみると、決して多くはありませんよね。

[青]高卒で"攻め専"をやったことがない、持ち乗り上がりの調教師は私だけだと思います。(高橋)文先生も同じように持ち乗りから調教師に合格されていますけど、獣医師免許を持たれていることからも分かるように、大学を出ていらっしゃいますから。

[西]攻め専をやったことがない持ち乗りで最初に合格したのが高橋文先生で、その次が青木先生ですよね。そういうプロフィールでも、合格したんですから凄いですよ。私の場合、まだ合格していないので、何とも申し上げられないんですけど。

[青]調教師になってからの方が大事ですからね。

[西]プロフィールで思い出したのですが、大学の馬術部を出ている、もしくは大手オーナーブリーダーで働いた経験があるとか、そういったステータスを持っていることが調教師になるための第一歩、という雰囲気があるように思うんですよ。調教師にならず、いわゆる良い厩舎で攻め専でやっていくのにも、その2つのキャリアは武器になりますよね。

[青]確かにそうですし、言いたいこともわかります。そういうキャリアを歩んできて、その上で努力をされた結果、調教師になられている方々が多いのは確かですから。僕自身もビッグレッドファーム出身で、牧場時代も良くしていただきましたし、調教師になってからも良くしていただいています。ビッグレッドファーム出身で良かったと思っています。

[西]確かに、そこはブランドをお持ちでしたね。

[青]これは競馬会も言っていることですが、調教師にも多様性を求めているということのようなので、たまには私みたいな存在がいていいのではないでしょうか。そうやって自己弁護しているんですけどね(笑)。

[西]いや、本当にそう思います。みんなが、大学の馬術部出身では面白くないですから。似たような形で調教師になられた高橋文先生もそうなんですけど、青木先生のところも厩務員さんたちが働きやすいという話をよく聞くんです。

[青]そこは私自身、気をつけています。自分は騎手や攻め専をやったことはありません。でも、ずっと馬を触ってきた人間ですので、馬を触っている人の気持ちだけは、騎手や攻め専を長くやってきた人より分かると思っています。トレセンでの人数的にも馬に触っている人が一番多いですし、彼らがどのような気持ちで働いているかということも、自分自身の体でわかっています。それを活かしていきたいと思っています。

[西]青木厩舎を見ていると、それは本当に活きていると思います。

[青]私が考えるのはもちろんですけど、ウチのスタッフや周囲から見てどうかというのが一番大事だと思っているので、塚さんがそう感じているというのは素直に嬉しいですよ。

[西]スタッフを働きやすくするのは、簡単なようで難しいと思うんですよ。

[青]働きやすさも確かに大事なんですけど、だからと言って履き違えてはいけないことがあることも忘れてはダメですよね。何でも言うことを聞くとか、ひたすら楽にするということではありません。風通しが良いことと、"お互い様の心"をしっかり持っていることが大事だと思っています。そうでないと、お互いがただ不干渉になってしまいかねません。不干渉というのは、働きやすいのとは違います。自分のことだけで、仲間のことは知らないというのでは、厩舎として決して良いとは言えませんから。

[西]なるほど。

[青]ワークライフバランスという言葉があります。トレセンでも調教師が有給を取るように号令をかけるようになりましたが、その心意気だけでも、業界としては進歩したことになるのでしょう。しかし有給の取り方もそうですが、声が大きい人や自己主張が強い人だけが利益を受けやすい傾向がありますよね。でもそうなると、他のスタッフにしわ寄せが行ってしまいます。

[西]確かにそういう例は、この業界に限らず多いかもしれません。

[青]本当に休みたいと思っている人が気兼ねなく、必要なときに必要なだけ休みを取れるようでなければならないと、私は思っています。そこで必要不可欠なのは、かなり高いレベルで"お互いさまの心"を持って仕事をしていくことだと。そこに関してはスタッフだけに任せるのではなく、私自身もしっかりと話をしていかなければなりません。

[西]その部分は、我が尾関厩舎もしっかりしているんですよね。担当の2頭に対して、獣医に診せるとか、蹄鉄を打ち替えるなど、最低限の責任を持たなければならない部分はあります。でも、それ以外の部分に関してはシャッフルされていて、担当馬以外にも触ったり、乗ったりするんです。そうなると、みんながそれぞれの馬と、仲間に対する意識を持って、話をしながら仕事をしなければならない。そうすることで、休みが取りやすくなるんですよね。

[青]その点はウチも似ています。ウチはたとえ競馬でも、必要ならば休ませるようにします。

[西]必要なときはもちろんそうですよね。でも、働く側の心意気というものもあるじゃないですか。有給を取っていたけど、今週競馬だから有給を変更したい。そういう心意気もあるわけですよ。

[青]そういうちょっとした心意気は、こちらとしても嬉しいんですけどね。

[西]あとは、他のスタッフが怪我をして欠員が出てしまうことも決して珍しくなかったりします。そこで、"どうしても休まければいけないわけではないから"と出勤するのも、先生が言う"お互い様の心"だと思うんですよ。そういう部分の心意気に、先生たちが理解を示してくれるというか、『悪いな』というひと言もまた大事だと思うんです。

[青]まさにそういうことです。個々に対する配慮と、全体を上手に動かす配慮というのは別だと思いますから。

(※次回へ続く)

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